巨大岩(ヒュージ ロック)と呼ばれる場所に着きました。
岩の下には4~5人程が雨露を凌げる空間があり、実際に誰かが火を使った跡もあります。
ここまでくれば、今日の宿泊地はもう目と鼻の先です。
登山路は崖の斜面を横切り、雲の中に続いていました。
そんな登山路に沿って、谷へ突き出た尾根を廻りこむと、目の前に突然大量の雪の塊が現れました。
雪は左手の斜面から雪崩れ落ちたようです。
雪の表面がザクザクしていて、デブリ特有の表情を見せていました。
その雪渓の上に、トレッカー達の足跡が伸びています。
この季節であれば雪崩れの心配はありませんが、この辺りがハイキング気分で来る場所でないのは確かです。
雪渓の上を歩きながら下を覗くと、デブリは累々と谷底へ続いていました。
そして、巾100m程の雪崩跡を越え、山肌に続く細い道を進み、
デオラリのGH(ゲストハウス)に到着しました。
デオラリには4~5軒のGHがありました。
デオラリで、ネパール人ガイドのサンデシュさんが予約してくれたのは理想郷を意味する「シャングリラ」と云う名のGHでした。
ドアを開けて中へ入ると、陽気な若者達が夕食の下ごしらえを始めていました。
彼らに名を告げて、予約を確認しました。
時刻は15時20分頃だったでしょうか。
誰も居ないダイニングルームに腰を据えて、ホットティーをオーダーし、しばし至福のひと時を過ごしました。
やや暫くすると、今日は一度も顔を見なかった韓国人の金さんが「シャングリラ」に入ってきました。
しかし、今日は満室だと断られています。
金さんのポーターが、慌てて他のGHへ確認に行きましたが、なかなか色好い返事が得られないようです。
私の横で金さんの表情が、かなり不安な様子に変わってきました。
金さんに、「心配しなくても大丈夫ですよ」と声を掛けました。
部屋なんかなくても、いざとなればダイニングルームに寝ることもできます。
山ではいつもそんなものです。
幸い、一軒のGHが部屋を都合してくれたようで、金さん達は安心した顔で別のGHへと移って行きました。
それにしても私は、サンデシュさんに予約をしておいてもらって本当にラッキーでした。
もしかすると私も、雨の中を右往左往していたかもしれません。
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