雪原に、突然ヘリコプターが現れました。
一瞬、救難ヘリかと思いましたが、山岳スキーを楽しむ観光客がチャーターしたようです。
近くの斜面にスキーのトレースが描かれていました。
何と優雅なスキーでしょうか。
ABC(アンナプルナ・ベースキャンプ)はもう目と鼻の先です。
繰り返し眺めてきたマチャプチャレを、もう一度振り返ります。
神々がお住まいになる峯は、御顔に雪も纏わず、周囲を見下ろしていました。
正面のあの岩壁は、オーバーハングになっているかもしれません。
しかし、その頃から周囲の山稜に雲が湧き始めました。
マチャプチャレの上にも雲が広がり始めました。
そんなころの、ほぼ12時、デオラリを出発して、約4時間後にABC 4130mに到着しました。
そして今夜の宿はサンクチュアリ(Sanctuary)「聖域」です。
チェックインを済ませ、「聖域」の庭に置かれたテーブルで雪景色を眺めながら昼食を摂ることにしました。
ボリュームたっぷりのベジタブルカリーを、達成感と共に味わいます。
食事を始めた頃は、テーブルの上に陽が射していたのですが、瞬く間に雲が広がり、マチャプチャレはとうとう雲の中に隠れてしまいました。
陽が陰ると急に、気温が下がるのが分かります。
そして、ABCの周囲は山肌を降りてくる雲に包まれてゆきます。
一時間も到着が遅れたら、雪交じりの雲の中を歩かされていたかもしれません。
昼食を済ませ自室へ戻り、午後はシュラフの中で安息の時を過ごしました。
夕刻になって、戸外に光を感じたので、テラスへ出てみると、薄く雲を纏った山の後に夕日が沈み始めていました。
そして空に米粒ほどの小さな月を残し、ABCは一日の記憶と共に、穏やかな夜の帳に包まれていきました。
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