奥入瀬渓谷から小岩井農場へと向かいました。
牧場や観光農場は北海道旅行などで、散々見飽きていますので、今まで小岩井農場を訪ねる気にはなれなかったのですが、奥入瀬渓谷を出るタイミングで、午後の時間を最も有効に過ごすにはと考え、小岩井農場を訪ねることにしました。
小岩井農場に入ると、正面に雲を被った岩手山が見えました。
案内表示版を見ると、乗馬やアーチェリー、トロ馬車などが楽しめ、牛舎や乳業工場も見学できるようです。
しかしここはやっぱり、家族連れか若いカップルで来る所だったようです。
どうしようかと周囲を見回すと、トラクターバスで森林エリアを巡る最後のツアーが出発時間を迎えていたので、それに参加することにしました。
トラクターバスは十数人の参加者を乗せて、通常は非公開の森の中へと入って行きます。
周囲には樹齢100年を数える杉が育っていました。
小岩井農場は創業120年ですから、創業当初から、畜産だけでなく林業も行なっていたことを初めて知りました。
小岩井農場の75%がスギやヒノキなどの山林で、100年以上の歳月を経た森は、キツネ、シカ、ツキノワグマ、アライグマなどが生息する、多様な生物の宝庫となっているそうです。
トラクターバスが停まると、乗客はバスから降りて、林の沢沿いの小道に案内されました。
沢の中の石を裏返すと、サワガニが慌てて逃げ去ります。
ガイドさんが「小石の間にカワシンジュガイが居るから、探して下さい」と言うので、サンダルを履いていた私はそのまま川に入って貝を探しました。
ガイドさんの説明では、カワシンジュガイ(大阪教育大学のページ)は冷たい綺麗な水の流れる小川に生息し、生息地で生まれた幼生は下流にながれ、そこでヤマメなどの鰓に付着して、上流に戻ってくるのだそうです。
また、寿命が非常に長く、10数cmを越える貝は100年の寿命を数えるとのことでした。
珍しいものを見せてもらいました。
この内容なら、800円のツアー参加費は十分に価値があると思います。
小岩井農場では牛が約2000頭、羊数百頭、鶏20000羽が飼育されているといった説明や、最近ではクリなどの果樹の植栽を進めているといった説明に興味を覚え、ツアー中はガイドさんに次々と質問を重ねてしまいました。
ツアーが終わって、トラクターバスから降りて農場内を見まわすと、園内に数種類の樹木が枝を茂らせていました。
私は今、木が枝分かれするときの姿に着目して木の葉や枝を観察しています。
周囲に邪魔するものがない場所に育つ木の形は、その木本来の姿だと思いますので、アカマツやドイツトウヒ、
ミズキなどの木々の枝振りを興味深く眺め続けました。
夫々の木の形は、枝の分かれ方によって決まる筈なので、その仕組みを考え続けます。
最近は花が咲いていなくても、今まで以上に「花の旅」が楽しめるようになりました。
木を知ることで、愛着が深まり、更に見つめ続け、新しい知識が得られ、大きな感動に包まれ、幸せな思いに浸ることができるようになりました。
相手を知り、愛着を深め、見詰め直し、心振るわせ、喜びを感じる。
全ての人やものに共通する、幸せへの方程式かもしれません。
※ 他の記事へは index をご利用頂くと便利です。