平川市を後にしたのは15時前でした。
国道7号をはしって、新青森駅が近づく頃に、仮の目的地に入力しておいた青森駅をoffにしました。
そこから後は、ナビの地図を見ながら、海岸に沿ってはしる松前街道、国道280号線に向かい、国道へ入ってから進路を北に向けました。
やがて、油川の町に差し掛かった頃、交差点で海水浴場の看板を目にしたので、右に折れて海水浴場の駐車場に入りました。
油川海水浴場に人影はなく、駐車場で一晩過ごしても問題は無さそうに思えます。
ここに車を停めて、油川駅から列車で青森駅へ行き、花火が終わる頃に、最終電車で戻る作戦です。
しかし浜辺を歩いてみると、火気、キャンプ禁止の標示が掲げられていました。
更に周囲を見回すと、海水浴場のすぐ近くに民家が建ち並んでいます。
このような、民家近くでの車中泊は避けた方が無難です。
逆の身になって、所在不明の車が家のすぐ近くの空き地に一晩中停まっていれば、気味が悪いと思うのは容易に想像できます。若い娘さんなどが居られる家庭であれば尚更でしょう。
不審者を疑われて、夜中に警察官から職務質問を受けたりすると厄介ですから、別の場所を探すことにしました。
という訳で、気軽で気ままに思える車中泊ですが、それなりのノウハウが必要で、明日からでもすぐに、誰にでもできるというものではありません。
ところで、油川から北へ向かうと、電車で青森まで往復するのに時間が掛かり過ぎて、面倒です。
再び松前街道へ戻り、青森市街に向けて車をはしらせました。
あてはありませんが、車が一晩中停まっていてもおかしくない、フェリーターミナル周辺を目指すことにしました。
これが正解でした。
フェリーターミナルのすぐ近くで、岸壁に車を停めて、多くの人達が釣り糸を垂らしている場所を見付けたのです。
釣り人は夜には居なくなるでしょし、朝は暗いうちにやってくるでしょうから、この場所なら一晩中車を停めておいても咎められることはなさそうです。
早速、近くのスーパーへ食料調達に行き、釣り人達の間に車をすべり込ませました。
キャンプ用の椅子を岸壁にセットして、膝の上に弁当を広げ、津軽ワインのコルクを抜きました。
そして、ふと気付くと、豪華客船アスカが、青森港の特等席に白い優雅な姿を見せていました。
やがて、青森港から、お囃子に合わせて「ラッセラー ラッセラー」の掛け声が聞えてきました。
ねぶたの海上運行が始まったようです。
でも、この場所からは距離があり過ぎて、姿がちょっと小さい。
なんでしょう、例えてみれば、外野席の一番奥の最上段から投手戦を見ているような、そんな雰囲気です。
しかし、辺りが薄暗くなって、花火が上がる頃になると、絶好のポジションであることが分かってきました。
この頃には、花火見物の車が岸壁を埋め、すぐ隣にワンボックスカーで乗り付けた家族が、椅子を並べ、花火見物を始めました。
周囲は地元ナンバーの車で溢れています。
この場所は地元では知る人ぞ知る、花火見物の穴場なのかもしれません。
7時前から始まった花火大会は、ワインが五臓六腑にまわり始めた頃、3尺玉などが夜空を染め、華やかで涼やかな、北国の夏祭りらしい一夜となりました。
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