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ヤマザキ、フリーターを撃て!

移民社会フランスの課題 ~貧困と差別の中で

2006-03-19 03:22:05 | ドキュメンタリーとかテレビ
 NHK-BS世界のドキュメンタリー「移民社会フランスの課題 ~貧困と差別の中で」を見た。 ベルギーのジャーナリストが作ったドキュメンタリー。フランスで起きた移民による暴動の前に作られてるが今にも荒れそうな雰囲気が漂っている。ヨーロッパの都市に共通する事。それは高級住宅街があり貧民街があり、都市の外れには工場があってその周りに移民の住む町があること。

 舞台はその移民地区だ。フランス北部のアミアンでは町外れにある大規模工場が利益が出なくなったという理由で一方的に閉鎖される。そして周辺の移民団地の住民は路頭に迷う。就職も差別されてほとんどできないが食事の配給はある。高等教育など受けることのできない移民の若者たちは群れてブラブラするしかない。そして工場のすぐそばに出来るのが刑務所だ。つまり刑務所に入れられたくなければ犬のように何もしないでいなさいってこった。生かさず殺さずで「ゆりかごから墓場まで」じゃなくて「ゆりかごから工場経由で刑務所まで」だ。

 団地で若者が誕生パーティーを開いていると突然警察が催涙弾を投げ込んでくる。わけもわからずに逮捕されていく。おそらく誰かが麻薬を持ってるとかそんな感じで。集まってると突然機動隊が登場して騒動になる光景がカメラに収められてる。そして何もなかったこととして警察は戻るのだ。

 刑務所の中にも番組は入る。檻の中から囚人がカメラに話しかけてくる。「もう刑務所に入ったら人生は終わりだ。一生這い上がれない。看守は意味もなく暴力を振るってきやがる」。12歳から刑務所に入れられてる青年は言う「家と家族がある人が羨ましいよ。おれは一日どうやって生きていくかということさえ悩むんだ」。精神的な発作が起きてる囚人は独房に押し込まれて薬をくれと叫んでる。

 刑務所の周辺では囚人の家族がスピーカーで叫んでる。幼い子供が泣きながら平和も正義もないと叫んでるのだ。騒動が起きてもおかしくない状況だ。移民が町の不平を言ってるとフランス人のおばちゃんが来てそんなに嫌なら国に帰れと喧嘩。そういう物言いが暴力を生んでるんだ。移民の子供たちは徐々に気づいていく。世の中では自分たちは差別される人間だと。彼らにとっては金を持つ階級とそうじゃない階級しかないので、法を犯してでものし上がろうとする。そして刑務所で人生の絶望に気づいていく。

 着々と建設される刑務所に壊される移民の国立住宅を映して終わる。どこまでも漂う閉塞感。社会はどこにもいけないように移民を押し込む。だから彼らは車を燃やしまくったのか。フランスという社会は学生時代にフラ語の先生が言ってたけど完全な階級社会らしい。特定の学校に行ってないと大学の教授や大統領になる権利はないらしい。そういう学校に貧しい人間が入れることもないし、言葉使いで育ちもわかるという。だからこそ大卒でも就職が景気に左右されるし、26歳未満の人間が理由を言う必要なく解雇できる法案に現在大反対してるのだろう。どこの社会でも常に若者に皺寄せしちまえばいい。


 日本でも移民がどうたらと誰かが提言している。何が問題かって移民を受け入れたらどうなるか、景気が悪くなると日本人の若年層を育てるつもりもなかった企業がどう扱うか見物だ。最近の移民はすぐにキレる、移民の心の闇に迫ります、また移民脳か、移民ヒルズ、移民周り先生、狂気は移民のようなものが使われた模様です、移民の多くが就職後2年以内に辞めるそうです、働かないならいっそのこと移民を農家にするのはどうか、移民リーマンでも国会議員になれるんです。こりゃ楽しみだ。知らぬ存ぜぬは許しませんっての。


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