Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

国立大劇場『歌舞伎教室 『国性爺合戦』』1等前方センター

2006年06月11日 | 歌舞伎
国立大劇場『歌舞伎教室 『国性爺合戦』』1等前方センター


第一部が亀三郎さんの解説『歌舞伎のみかた』。しごく真面目に歌舞伎の基本を説明。地のお声も良いですね。ちょっと野村万斎さんの声に似てるかも。解説は初心者、特に学生相手にするにはちょっと真面目すぎないかしら?とか思いました。こういうのって解説する方の個性で多少変わるのでしょうね。虎の着ぐるみが可愛かったです。あれは本来『国性爺合戦』で立ち回りする時の虎ではないですよね?二人一組でかなり動き回るというイメージがあったんですけど。余談ですが猿之助一座の『国性爺合戦』の時(1998年12月 歌舞伎座)は京劇の方にわざわざ出演してもらってましたよねえ。あれはほんとに凄かった。

第二部が『国性爺合戦』のなかの「獅子ヶ城楼門の場」「獅子ヶ城内甘輝館の場」の二幕四場。チラシをきちんと見ていなかった私が悪いんですが見たかった和藤内と虎との立ち回りの「千里が竹の場」が無かった。初心者向けの歌舞伎教室だから絶対この派手な楽しいシーンを入れてくると思っていたのに…ガッカリ。

錦祥女@芝雀さんが熱演。受けの芝居が一番しっかりしていて台詞に頼らないず体全身で心情を表していたと思う。後半もっと少し哀れさがあってもいいかな。

和藤内@松緑さん、一幕目が非常に良い出来でした。姿形が大きく、台詞回しもかなりきっぱり。二幕目はちょっと勢いが落ちた感じ。受けの芝居をもう少ししてくれると良いんだけど。母と姉が死んでるのに知らん顔ってどうなの?

甘輝@信二郎さん、髭も似合い美男子です。大将としての立場と妻を想う気持ちの揺れは丁寧に演じてらしたと思います。ちょっと格の部分で薄く感じてしまったのが残念です。

渚@右之助さん、一幕目がちょっとどうなの?という堅さで心配しましたが二幕目のしどころのある部分では頑張ってらっしゃいました。とても強い母、という造詣でしたがもう少し情味があるといいなあ。