Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

サントリー大ホール『クレーメル&ツィメルマン デュオ・コンサート』 C席2階RA

2007年11月15日 | 音楽
サントリー大ホール『ギドン・クレーメル&クリスチャン・ツィメルマン デュオ・コンサート』 C席2階RA

ビックネーム二人、クレーメル&ツィメルマンのコンサートですがこれが予想外の演奏。大ホールでのコンサートを聴いたというより、この二人のプライベートサロンに招かれて演奏を聴かせてもらった、という感じでした。とても暖かくて優しい音色で、ふわ~っと音に包むこまれていくような感じ。非常にレベルが高い演奏なのだけど、テクニック部分を押し出すわけでなく、二人の好きな曲を気持ち良さそうに演奏しているという雰囲気でした。

そして何が予想外かって、まずクレーメル氏のヴァイオリンの音色が!とても伸びやかで、ひとつひとつの音がまろやかで優しく暖かい繊細な音色。CDで聴く鋭角的な音色とはまったく違う。ブラームス、こんなにロマンチックな曲だったっけ?と思ってしまった叙情溢れる開放的な演奏でした。いやはやビックリ。

またツィメルマン氏のピアノの柔らかで華やかな少し甘さのあるやはり優しい音色。以前リサイタルで生は聴いていますが、今回はリサイタルの時より音が伸びやかだったような感じ。で、ヴァイオリン・ソナタだとピアノはどうしても伴奏、という感じになるのですが、さすがはツィメルマン、ただの伴奏で終わらない。ピアノがしっかり主張して曲想が際立つ。でも邪魔はしない絶妙のバランスでの演奏。

それにしても、この二人の音色の合い方が素晴らしかったです。音色がとても似てるんですね。また音楽(曲)に対する方向性もたぶん一緒なんだと思われるほどピッタリ。ここまでヴァイオリンとピアノの音が揃ったソナタを聴いたのは初めてです。どこまでも気持ちの良い音色を聴かせてくれる。

アンコールはジャズのような阿吽の呼吸での掛け合いの演奏。かなり楽しく面白い演奏でした。いやあ、この二人、ほんと仲良しなのね、という感じ。

いわゆるダイナミックな演奏ではなかったけど心が気持ちよくなれる演奏会でした。


曲目:
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第2番
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第1番「雨の歌」
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番

アンコール曲:
ニーノ・ロータ :映画音楽「ラ・ドルチェ・ヴィタ(甘い生活)」
モーツァルト :ヴァイオリン・ソナタ第39番 第1楽章、第2楽章