Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

2008年観劇総括

2009年01月06日 | 年間統括
2008年観劇総括

歌舞伎40回、文楽3回、演劇8回、ダンス4回、クラシックコンサート5回の計60回です。2008年は観劇を減らす方向だったはずなのにあまり減ってないです…。相変わらず歌舞伎中心の観劇でした。2008年を振り返って印象に残ったことを。役者の敬称は略。

<<1月>>
なんといっても歌舞伎座です。『一條大蔵譚』では吉右衛門の芸の凄みに圧倒させられました。高麗屋親子のドラマ性溢れる『連獅子』では20日に観た時には子(染五郎)の成長ぶりと豊かな身体表現に驚かされ、千穐楽では親(幸四郎)の気迫に驚かされた。『猩々』、『助六』での梅玉の品のある柔らかさに癒された月でもありました。

歌舞伎座『寿初春大歌舞伎 昼の部』
新橋演舞場『通し狂言 鳴神不動北山櫻』
歌舞伎座『寿初春大歌舞伎 夜の部』
歌舞伎座『寿初春大歌舞伎 夜の部』
シアターコクーン『NODA・MAP キル』


<<2月>>
歌舞伎座に通いました。染五郎の美しく伸びやかな『春興鏡獅子』に惚れ込んでしまいました。また染五郎の春興鏡獅子を観たいです。また『祇園一力茶屋の場』での芝雀のお軽の有り様に涙しました。『積恋雪関扉』ではこの舞踊の面白さがストレートに伝わって来ました。福助がとても美しかった。

歌舞伎座『白鸚二十七回忌追善 二月大歌舞伎 昼の部』
オーチャードホール『タンゲーラ』
歌舞伎座『白鸚二十七回忌追善 二月大歌舞伎 夜の部』
歌舞伎座『白鸚二十七回忌追善 二月大歌舞伎 昼の部』
国立小劇場『二月文楽公演 第二部』
歌舞伎座『白鸚二十七回忌追善 二月大歌舞伎 夜の部』
歌舞伎座『白鸚二十七回忌追善 二月大歌舞伎 昼の部』
歌舞伎座『白鸚二十七回忌追善 二月大歌舞伎 夜の部』


<<3月>>
十三代目仁左衛門の84歳から90歳までの姿を追った記録映画が一際印象的。芸を次の世代へ伝えていく厳しくも愛らしい十三代目の姿が忘れられません。ピナ・バウシュ ヴッパタールの『パレルモ、パレルモ』は生で体験することが出来て本当に良かったと思いました。

国立大劇場『3月歌舞伎鑑賞教室「歌舞伎へのいざない」』
下北沢トリウッド『歌舞伎役者 片岡仁左衛門』
国立大劇場『3月歌舞伎鑑賞教室「歌舞伎へのいざない」』
東京オペラシティ『アンドラーシュ・シフ ピアノリサイタル』
テアトロ ジーリオ ショウワ『ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団「パレルモ、パレルモ」』
内幸町ホール『歌舞伎一人芝居「人魚の恋椿(こい)-やおびくに」』


<<4月>>
『ラ・マンチャの男』はつくづく名作ミュージカルだと思う。幸四郎の魅力が一際輝いていた。名古屋での『与話情浮名横櫛』では染五郎の切られ与三がハマり役。当たり役になっていくのでは?と思わせました。

歌舞伎座『四月大歌舞伎 夜の部』
名古屋御園座『四月陽春大歌舞伎 夜の部』
名古屋御園座『四月陽春大歌舞伎 昼の部』
帝国劇場『ラ・マンチャの男』

<<5月>>
演舞場昼の部の染五郎に尽きます(笑)。『毛谷村』の朴訥で根がとっても優しい六助、『三社祭』の楽しげな悪玉、『一本刀土俵入』の無駄にかっこよかった根吉とそれぞれが素敵でした。

新橋演舞場『五月大歌舞伎 昼の部』
新橋演舞場『女形の夕べ』
シアターコクーン『わが魂は輝く水なり』ソワレ
新橋演舞場『五月大歌舞伎 夜の部』
新橋演舞場『五月大歌舞伎 昼の部』
国立小劇場『国立五月文楽公演 第一部』

<<6月>>
なんといっても歌舞伎座の『新薄雪物語』です。この芝居を観られて良かったと、しみじみ思いました。芝翫、幸四郎、吉右衛門の三人笑いが絶品だった。面白いとまでは思えなかったんだけど印象に残ってしまっているのが『生きている小平次』…不思議な芝居だった。

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール『浦和ギターアンサンブル 定期演奏会』
歌舞伎座『六月大歌舞伎 昼の部』
歌舞伎座『六月大歌舞伎 夜の部』
歌舞伎座『六月大歌舞伎 昼の部』
歌舞伎座『六月大歌舞伎 夜の部』

<<7月>>
パルコ劇場『SISTERS』にやられました。脚本に物足りなさはあったものの主題をどう考えていけばいいのか咀嚼するのが大変で考えに考えた。たぶん、今後も考えていってしまうだろう。こういう芝居に出会えた、というのが一番の収穫だった。作・演出の長塚圭史は現在ロンドン留学中ですがぜひステップアップして帰国してきてください。オペラシティのピエール・ロマン・エマールにも「や~られた~!」でした。エマールの演奏はバロックと現代音楽のコラボだった。

全生庵『すずめ二人會』
彩の国さいたま芸術劇場『ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップス 『Amjad アムジャッド』』
新宿コマ劇場『五右衛門ロック』
東京オペラシティホール 『ピエール・ロマン・エマール ピアノリサイタル』
パルコ劇場『SISTERS』

<<8月>>
パルコ劇場『ウーマン・イン・ブラック』が素晴らしかった。これぞ演劇だと思いました。上川隆也の舞台役者としての華と実力を見ることができたのも楽しかった。そしてコクーン『女教師は二度抱かれた』には悩まされた(笑)。この芝居にどう向き合えばいいのか、その軸を見出すのが大変だった。松尾スズキの人物像の切り取り方は好きなんだけど方向性にはどうにもモヤモヤが…。

シアターコクーン『女教師は二度抱かれた』
シアターコクーン『女教師は二度抱かれた』
パルコ劇場『ウーマン・イン・ブラック』
歌舞伎座『納涼大歌舞伎 第二部』
歌舞伎座『納涼大歌舞伎 第三部』
シアターコクーン『女教師は二度抱かれた』

<<9月>>
文楽『奥州安達原』にウッキウキ。面白すぎ。特に「一つ家の段」は凄すぎました。これ歌舞伎でやらないかな~。歌舞伎座は『竜馬がゆく』『日本振袖始』が楽しくてお気に入り。演舞場は『加賀見山旧錦絵』の尾上@時蔵が絶品だった。いずれ歌舞伎座で観たい。

観劇ではないのだけどDVD『NHKスペシャル 人間国宝ふたり 吉田玉男・竹本住大夫』には感動した。伝統芸能に興味がある人には必見。

歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎 昼の部』
新橋演舞場『新秋九月大歌舞伎 夜の部』
歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎 夜の部』
国立小劇場『九月文楽公演 第二部『奥州安達原』』
歌舞伎座『秀山祭九月大歌舞伎 昼の部』


<<10月>>
10月は奈良東大寺『東大寺奉納大歌舞伎』に尽きる。あの場に居合わすことができて幸せだった。なんとも幻想的で素晴らしい『勧進帳』でした。

ゆうぽうと『松本幸四郎特別公演 松竹大歌舞伎』
平成中村座『仮名手本忠臣蔵 Aプログラム』
東大寺『東大寺奉納大歌舞伎』
国立大劇場『大老』


<<11月>>
良いも悪いもひっくるめて楽しかった新作の乱歩歌舞伎『江戸宵闇妖鉤爪』。音の使い方がとても好みでした。幸四郎の演出力は見事だと思う。しかしいつか、見せるという部分の方向性が幸四郎とは違う染五郎の演出での乱歩歌舞伎も観たいと思う。

国立大劇場『江戸宵闇妖鉤爪』
歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎 昼の部』
国立大劇場『江戸宵闇妖鉤爪』
国立大劇場『江戸宵闇妖鉤爪』


<<2008年12月鑑賞予定>>
歌舞伎座『籠釣瓶花街酔醒』にハマりこんだ12月。ノワール好きにはたまらない芝居でした。幸四郎×福助コンビが絶品。ワディム・レーピンのヴァイオリンの音色は個人的に超大大好き。ゲルギエフの指揮ぶりに色んな意味でツボる(笑)

東京オペラシティ『ワディム・レーピン ヴァイオリンリサイタル』
サントリーホール『ワレリー・ゲルギエフ指揮ロンドン交響楽団』
歌舞伎座『十二月大歌舞伎 昼の部』
歌舞伎座『十二月大歌舞伎 夜の部』
新国立劇場オペラパレス『シンデレラ』
歌舞伎座『十二月大歌舞伎 夜の部』


<<統括>>
2008年も良い芝居や良い音楽に色々出会えて楽しい1年だった。今まで以上に贔屓役者中心の観劇となったがそれで十分満足でもあった。

2009年は歌舞伎座さよなら公演なのでなるべく歌舞伎座に足を運ぼうと思う。幹部役者の大半は今が年齢的に芸と体力のバランスが良く見時な方が多い。演目がどうであれ見逃さないほうが後々のためだろうと個人的には思うので。