米ボーイングが開発中の最新鋭中型旅客機787を世界で最初に導入する全日本空輸は26日、就航に向けた検証を行うためのテスト機が7月3日に羽田空港に到着すると発表した。787がアジア地域に飛来するのは初めて。検証の後、全日空は8~9月に1号機を受け取り、約1カ月後に国内線で運航を開始する。
羽田のほか伊丹空港や関西国際空港など国内5空港で、給油作業や整備訓練などの検証を実施する。2008年の導入を予定していたが、トラブルなどで納入が大幅に遅れていた。今回の検証で、引き渡しに向けた準備は最終段階に入る。
全日空はこの2年間で24機を導入し、将来的には55機にまで拡大させる計画。今年度中には国際線での就航も目指す。
同機は燃費効率を従来機に比べて約20%高めたのが最大の特長。燃料費の高騰が続き、燃費の悪い大型機から中小型機へのシフトが進む中で大きな期待を集めている。
大韓航空が世界で最も大きい旅客機エアバスA380を保有する航空会社になった。世界航空会社のうち6番目だ。
エアバス工場があるフランス南部都市ツールーズでは24日(現地時間)、製作が完成したこの航空機の所有権を大韓航空に移す引き渡し式が開かれた。注文から8年かかった。大韓航空は2014年までに10機のA380を保有することになる。現在1機当たりの価格は3億7500万ドル。
この航空機は来月2日に韓国に入り、10余日後に仁川(インチョン)-東京(成田)路線に投入される。大韓航空はエコノミー席の料金をそのまま維持する計画だ。エコノミー席の前後空間は従来の航空機に比べて7.6センチ広い。1等席とビジネス席の料金はまだ決まっていない。
座席は全407席(1等席12席、ビジネス席94席、一般席301席)で構成されている。2階はビジネス席のみ。1階の後方には免税品を見ることができる展示空間、2階には飲料や酒類を提供する2つのバーがある。
引き渡し式には趙亮鎬(チョ・ヤンホ)韓進グループ会長、トム・エンダース・エアバス最高経営者(CEO)、ルイ・ガロワ最欧州航空防衛宇宙産業(EADS)CEOら約300人が出席した。
パイロットを養成する航空大学校の仙台分校が、東日本大震災で被災し、訓練生約50人の卒業のメドが立っていない。
2年課程の最終訓練を行う同分校では、校舎のほか、練習機10機のうち7機が津波にのまれた。今後の訓練計画が立てられないとして、7月に予定された同大の入試も中止された。国内航空会社のパイロットの4割以上は、同大卒業生が占めている。国土交通省は「この状態が長引けば、パイロット不足にもつながりかねない」としており、航空業界に影響が出そうだ。
仙台空港では3月11日午後2時45分頃、仙台分校の練習機が訓練生の操縦で最終着陸態勢に入っていた。大きな揺れが起きたのはその直後。管制官から「ただちに着陸中止」と命じられて急上昇。上空にいた他の練習機2機と待機を続けたが、仙台空港は津波で着陸不能になり、それぞれ新潟、福島の各空港に着陸した。
津波で仙台空港内にある校舎は冠水。訓練用のシミュレーターなど電子機器類が壊れ、駐機中だった練習機7機も流されるなどして使用不能となった。震災当時、仙台分校には5月卒業予定の訓練生17人を含む計35人が在籍。4月には宮崎本校から16人が進級したが、現在、全員が自宅待機している。
同大は今月末以降、被災を免れた3機を使い、同分校在籍の訓練生計51人のうち15人の訓練を宮崎市の本校で一部再開する。ただ、最終課程で必要な双発機用のシミュレーターなど教習機器が本校にはないなど問題は多い。練習機は1機数億円。「予算の問題に加え、失った専門機器は、車を買うようにすぐには調達できない」(同大)といい、震災前と同様の訓練が出来るようになるには数年はかかるとみられる。同大では、この状態で新たな訓練生を募っても、入学時期が大幅に遅れたり、訓練期間が2年を超える可能性もあることから、例年7月に行う1次入試の中止を決定。新入生の募集についても見通しが立たない状態が続いている。
福岡市の福岡空港で10日に起きた離着陸のトラブルで、二つの航空機に指示を出した男性管制官(40歳代)が、「日本エアコミューター機に着陸を許可したことを失念して、全日空機に離陸の許可を出してしまった」と説明していることが12日、国土交通省大阪航空局福岡空港事務所への取材で分かった。
同事務所によると、トラブルがあったのは10日正午頃。男性管制官は20年以上の経験があるベテランで、午前7時30分から勤務していた。午前9時~11時台は2分に1回程度の離着陸があるダイヤの過密な時間帯であることから、指示を焦った可能性もあるとみられる。同省の運輸安全委員会が原因を調べている。
スカイネットアジア航空(SNA)は12日、新しい企業ブランド「Solaseed Air(ソラシドエア)」を7月に立ち上げると発表した。社名に変更はないが、新たな企業理念を掲げ、ロゴや機体デザイン、客室乗務員の制服などを全面的に刷新する。同社は今年で就航から10周年を迎えることに加え、米ボーイングの新型機を導入することに伴うもので、伊東正孝社長は同日の発表会で、「名実ともに新しく生まれ変わる。第2の創業だ」と強調した。
2011年5月8日、中国浙江省の寧波櫟社国際空港で、「重量級の幹部」が乗った便を優先して出発させたため、大幅に待たされた別の便の乗客が空港で係員に詰め寄るという騒ぎが発生した。13日付で新華網が伝えた。
騒ぎがあった8日は天候不順のため、午後6時(現地時間、以下同じ)に寧波から北京に向かう予定だったHU7197便が出発を見合わせていた。ところが、ようやく出発できるようになった午後9時過ぎ、同便の後から出発する予定だったHU7297便が順番を繰り上げて先に飛んでしまった。
納得がいかないHU7197便の乗客が係員に詰め寄り、現場は大混乱に陥った。係員は当初、理由を明かさなかったが、再三の追求の結果、先に出発したHU7297便には「重量級の幹部」が乗っていたため、優先させたと白状した。
航空会社側も「先に待っていた便を先に出発させる」というルールは分かっており、この「幹部」にHU7197便への乗り換えを頼んだが「安全上の理由」により断られたと釈明。挙句の果てに「便名が近かったので、管制官が間違えて先にHU7297を出発させてしまったのかもしれない」と苦し紛れの言い訳までしていたという。
10日正午ごろ、福岡市博多区の福岡空港で、宮崎発日本エアコミューター(JAC)3626便(乗客乗員79人)が着陸しようとした滑走路に、那覇行き全日空487便(同129人)が進入するトラブルがあった。JAC機は急上昇して着陸をやり直し、けが人はなかった。
国土交通省によると、40代の男性管制官がJAC機に着陸許可を出した直後に全日空機に離陸許可を出していたといい、管制ミスの可能性が高いとみられる。運輸安全委員会は事故につながる重大インシデントに該当するとして同日、調査官3人を現地に派遣した。
国交省によると、着陸体勢に入ったJAC機の機長が、全日空機に離陸許可が出たのを無線で聞いたため管制官に確認。着陸をやり直すよう指示が出たため、滑走路の手前約5・6キロで急上昇したという。
管制官は「着陸許可を出したのを忘れて離陸許可を出してしまった」などと話しているという。
法的整理に向け19日にも会社更生法の適用を申請する日本航空をめぐり、政府と企業再生支援機構が検討している再建計画の概要が10日、明らかになった。平成24年度までの3年間でグループ社員の約3割に相当する1万5千人以上を削減することなどが柱。支援機構は今後、日航や主要取引銀行などと調整、再建計画の詳細を詰める考えだ。
支援機構は、日航の経営状況について8千億円台半ばの債務超過に陥っていると判断しているもよう。このため、取引金融機関の債権放棄を含む約7300億円の債務カットのほか、支援機構による3千億円の出資を再建計画に盛り込み、資産超過にする考えだ。
焦点の企業年金減額については、実施に必要な退職者の3分の2以上の同意が回答期限の12日までに得られるかどうか微妙な情勢だ。支援機構側は、退職者の賛同が得られなければ年金基金を解散する方針で、すでに日航側に非公式に伝えている。
年金基金が解散に追い込まれれば、日航の企業年金は現在の案(現役約5割、退職者約3割)以上の減額が避けられない。現役社員については3分の2以上の同意を確保したが、約9千人の退職者については、10日時点でも約4千人の同意しかない。このため日航は、期限を10日間ほど延長してでも退職者に同意への理解を求める方針。支援機構は同意が得られれば、年金を債権カットの対象にしない考えだ。
日航年金、OB減額拒否なら解散も…支援機構
経営再建中の日本航空が、企業年金の削減手続きでOBの3分の2以上の同意取り付けに失敗した場合、再建を主導する企業再生支援機構は年金基金を解散する方針であることが9日、明らかになった。
解散の場合、OB年金の削減率は現計画の約30%から約60%に跳ね上がる見込みだ。日航は期限としている今月12日時点で3分の2に達しなければ、22日まで手続きを延長し上積みに全力を挙げる。
日航の年金削減計画は、現役社員で53%、OBで30%、給付額を引き下げるもので、現役社員については4日時点で同意が3分の2を超えた。一方、約9000人のOBからの同意取り付けは難航しており、4日時点で約3000人、9日でも約4000人にとどまっている。
年金基金では、解散時に必要な積立額5330億円に対し、年金資産は2918億円となっており、日航の試算では、削減率は現役、OBともに約6割にまで拡大するという。
支援機構が基金の解散という強硬姿勢をとるのは、日航を法的整理で再建するのにともない、融資枠や政府保証など一時的に1兆円を超える規模の公的資金が必要となる公算があるためだ。
OBが受け取る企業年金は法律で厳格に保護されており、会社更生法に基づく再建過程でも通常は大幅な減額とならない。しかし、日航のケースでは、公的資金が年金給付の原資に回る可能性があり、政府や支援機構は国民の理解を得られないと判断している模様だ。
政府は一方で、22日の最終期限までに3分の2の同意が取れれば、現計画の削減率を、今後の再建過程にも反映させるよう機構に求めている。
焦点となっていた年金削減問題が、現役・OBの同意による減額か基金解散で解決する見通しとなったことから、政府は、年金を強制的に減額できる特別立法を見送る方向で調整に入る。
国土交通省は5日、10月の羽田空港の滑走路拡張に伴う国内線の発着枠の配分を決めた。1日37便のうち、全日本空輸に11.5便、日本航空に7.5便が割り振られた。スカイマーク、エアドゥなどの新興の航空会社に対しても競争条件の公平性を確保する観点から各社に4便ずつを基本に17便の枠が配分された。
これまで国交省は発着枠の配分について、日航と全日空に対し、ほぼ同数を割り振っていた。しかし、日本航空は経営再建中で不採算路線からの撤退を進めており、これまで通り配分しても増便する体力がないことに配慮し、全日空に対して手厚く配分した。
羽田空港は10月から第4滑走路の供用を開始する。年間の発着枠が現在の約30万回から段階的に41万回に増加する。増加分のうち年2万7000回分が国内線に割り当てられる。国際線で増える昼間の28便の配分については今後、検討していく。