フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Anise Koltz <<Dieu est mort. Finis, Fleurs...>> (2)

2016年05月04日 | 外国語学習

 [試訳]

 私たちの生活は今や大部分科学技術や原子力などに基づいている。私たちの知性、少なくとも一般的な人間の知性や知識は、もはやその爆発的な進展について行けなくなり、高度な技術により著しく変容するこの世界に、私たちは対立してしまっている。

 そして、そのあらゆる分野で私たちを凌駕するこの世界に、私たちは今や再び文盲として対峙することとなった。かつて人間は未来を恐れていたけれども、今日未来が人間を恐れている。

 それでも、そこから私たちの生には意味などないと言うことは、私には正しくないように思える。本当のところ、世界には様々な道があるように、生は多くの意味を含んでいる。

 ノヴァーリスはかつてこう語っていた。私たちの不幸は「現実の闇の部分を考えないことだ。目に見える部分しか現実とは見なさない」ことだと。

 実際、詩もまた現実のこの闇の世界の一部なのだ。

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 せっかくの連休だというのに、misayoさん、Mozeさん、訳文ありがとうございました。「未来が人間を恐れる」とは、日々進化を遂げる科学技術の飛躍的進展によって、この先一体何を可能にするかわからない、私たちの不遜さを言い表したものではないでしょうか。

 モディアノ、そういえば昨年の今頃彼のノーベル賞受賞講演を読んでいましたね。そんなことがきっかけとなって、彼の地の作家と繋がりができたのであれば、うれしい限りです。

 それでは、次回はp.9. peut-être jamais. までの試訳を18日(水)にお目にかけます。Shuhei



2 コメント

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Anise Koltz 3 (misayo)
2016-05-10 11:09:41
 こんにちは、みさよです。今回は短かったけれど、難しかったです。9ページの始めのTOUTは人を指すのか、物を指すのか、なぜ大文字なのか分かりません。よろしくお願いします。

 ギュヴィックは私達に言ってます。たとえば、「詩というものは、大規模な冒険だ。私は ある空間、ある場所にいるという感覚を知った。それは場所というより、理性によって支配されない場であり、何か分からないもの、つまり全くの神聖さとか、中身がいっぱいの空白の狂気や、空である中身の詰まった、狂気によって支配されている場である。…」
 結局、各年代の奥底から発する潜在意識の推進力や突破力は、意識と融合します。それらは感覚や精神に反する可能性をもたらし、思いがけない展望を詩に与えるのです。
 詩人はこれらの独創的な力に身をゆだねて、偉大なすべてに自分を結びつける深く埋もれた根を再び見出すことができるのです。
 だから詩は、まだ存在しない現実、そして多分決して存在しないであろう現実の影を含むことができるのです。
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Lecon333 (Moze)
2016-05-17 11:54:21
今日は昨夜の雨に洗われて新緑がまぶしいです。今回はなんと訳していいのやら・・訳語がむずかしかったです。詩人に限らず芸術家というのは、このようなインスピレーションをもちあわせているのだなぁと思いました。
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 たとえばギュイヴィックはこう言う。「詩はおおいなる冒険だ。私は真空の中にいる気がする。それはからっぽではない空間であって、理性によって司どられるのではない広がりである。何かわからないもの、まさしく神聖なるものであって、満たされている真空かつ空虚な充実への狂気によって支配されている広がりである。」
 事実、来し方の深層に起因する衝動や潜在意識の表出は意識と結びつく。それらは、感覚や精神に逸脱の可能性を開いているので、詩人に予期せぬ視野を与えるのだ。その創造する力に身を任せる詩人は、宇宙の万物に詩人をつなぐ深く埋め込まれたそれらの根を再び見出すことができる。
 詩はそれゆえ、まだ存在しない、そしておそらく決して存在しないだろう現実の投影を抱きうるだろう。
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