フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

Lettre de Beauvoir a` Jacques-Laurent Bost

2008年02月15日 | Weblog
 次回の Lecon では、ボヴォワールが恋人ジャック=ロラン・ボストに宛てた手紙の一節を読みます。
 テキストをご希望の方は、smarcel@mail.goo.ne.jp
までご一報ください。なお、テキストについての疑問点などは随時書き込んで下さい。少し間があきますが,注釈・試訳は3/26(水)までにお目にかけます。
 smarcel

La politique de civilisation (2)

2008年02月13日 | Weblog
Lecon 138
 [注釈]
 * p. 3 中程 le libe'ralisme ambiant : 「世に広まっている自由主義」これは、前回ここで述べたことと関連するのですが,サルコジ大統領は、従来フランスが手厚くして来た労働者の権利よりも,「労働の価値」を前面に押し出す政策を進めています。例えば、社会党との連立政権下に出来た労働時間の週35時間法案などをかなり緩やかに運用しようしています。平たく言えば,フランス国民よ,うるさいことを言わず(日本人のように?)ただ黙って働け、と言いたいようなのです。そうした政策の広がりを le libe'ralisme ambiant と表現しているようですね。注意が必要なのは,フランスで言うリベラルとは、なによりも経済活動の「自由」に重きを置く考え方のことを指しています。
 * p.4 上 le message e'vange'lique : サルコジ大統領が、去年の12月にローマで行った演説を指します。ここでサルコジは、社会の安定にとって有用なものとして、キリスト教の,ひいては宗教の必要性を説いています。これは、laicite'、つまり(なかなか訳語が難しいのですが) 「政治の場における世俗主義」を原則とするフランスにとっては、聞き逃せない内容だったわけです。
*****************************************
 勝手を言って申し訳ないのですが,前回ここでお話しした事情から少し長い春休みをもらいます。その間読んでもらうテキストとして、今年生誕100年を迎える Simon Beauvoir が、恋人Jacques-Laurent Bost に宛てた手紙をお送りします。あらたに教室に参加なさりたい方は、その旨smarcel@mail.goo.ne.jp までお申し付け下さい。 テキストを添付ファイルにてお送りします。
 次回は,3/26(水)に試訳と注釈をお目にかけることにします。
 今日も大阪は厳しい寒さとなるようです。どうかみなさんお身体に気をつけてお過ごしください。
 smarcel


E. Morin : La politique de civilisation

2008年02月06日 | Weblog
[注釈]
 Morin の唱える une politique de civilisation とは、理念として une politique de symbiose des civilisations (多文明の共生を目指す政治)をかかげながら,そこに向かう途上で、従来の文明のもたらして来た負の部分を正そうとするもののようです。その負とは,巨視的に見ると,ひたすら最大を目指して来た物質文明の地球上での偏りであり,市民社会のスケールで見ると、個人主義と連帯の不均衡にある。またフランス社会に限って言えば、移民問題と深いつながりを持つ、「郊外」の孤立が特に話題に上がっています。
 * p. 2 上 ce qui domine, c'est la quantite', le ''plus '', au de'triment du mieux :人々の関心を占めて来たのが、最善ではなく,最大量を目指すことだ。
 * p. 2 第2パラグラフ la revitalisation des compagnes suscite le fait de rendre vie d'abord au village : ここはぼくもひっかかりました。le fait を辞書で確かめると aller au fait 「本題に入る」という表現が見つかりますが,le fait とはこの文脈では、大切な問題、論点ぐらいの意味だと考えられます。ですから、「地方の海・山を活性化するには,何よりもまず人々が暮らす村に生命を返すことが重要であり…」となるでしょうか。
* 第8パラグラフ Nicolas Sarkozy perd de son verbe sans Henri Guaino : ここはどうも、アンリ・ギアノがいなかったので、大統領はまずい演説をした、という意味合いのようです。Guaino は大統領補佐官のような役回りの政治家。小泉・安倍時代の世耕某のような存在なのでしょうか。
***********************************************
 それでは、次回は la politique de civilisation... の後半を読みましょう。
 以前お話ししましたが,2/19に転居します。今回はぼくとしては随分と北上して、京都と大阪の中間地点に住むことになります。実はつい先日、幸か不幸か、去年のこの時期にパリの部屋を貸してくれた友人からまた連絡があり,部屋を貸せるよ、とのこと。半ばやけくそですが,かなりの強行軍になることは承知の上で、2/26から2週間、引っ越し後、本の詰まった段ホール箱で足の踏み場もなくなる部屋を放ったらかしにして,フランスに滞在する予定です。
 それで、13日(水)次回の注釈をお目にける際に春休みの宿題をお届けしたいと思っています。お楽しみに。