映画制作裏話ブログ

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制作裏話「THE JUON/呪怨」

2005年02月10日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
試写会会場の舞台袖にデジタルカメラがすえられ、
「THE JUON/呪怨」上映中の客席の様子を
撮影していました。
撮影ビデオがテレビ予告で使われるかもしれない、
という上映開始前のアナウンスがありました。
場内はアナウンスに大うけでしたが、
後日、自分の叫んでいる顔が全国放送されるかもしれないと思うと、
恥ずかしい…。

みなさんご存知のとおり「スパイダーマン」シリーズの監督サム・ライミが
清水崇監督・脚本の日本のホラー映画『呪怨 (2002) 』のビデオを見てほれ込み、
製作・製作総指揮に乗り出したジャパニーズ・ホラームービーのハリウッド・リメイク版です。
英語タイトル「THE GRUDGE」とは「怨恨・悪意」という意味です。

 タイトルバックの後、画面が暗転したまま「日本では」と前置きして、
不慮の死を遂げたものの無念の想いがその“死に場所”に留まり、
やって来た者に災いをなす、といった意味の字幕の解説がつきます
普通に考えれば、これば地縛霊を解説しているように取れます。
西欧にも地縛霊くらいいるだろうと首をかしげていると、
ドラマの進展で、
ハリウッド映画などの幽霊屋敷に出てくるゴーストと
呪怨(これ自体は造語?)はかなり意味が異なるように
感じました。

ゴーストは昇天出来ない霊魂で、いわば人格のある存在ですが、
呪怨は、恐怖や怒りの残留思念そのものです。
目的も方向性も無く、たまたま遭遇した人すべてに見境なしに
襲い掛かります。
幽霊でしたら、イタコのようなシャーマンが仲介人になって、
この世に残した彼らの無念を解決してあげられれば、
昇天あるいは消滅してくれるのですが、
呪怨は、攻撃・破壊衝動そのものが存在理由ですので、
いかなる仲介も説得も受け付けません。
だいたい、思考力など持ち合わせておらず、
霊的な意味においてもコミュニケーション不能の存在なのです。

私はその方面は詳しくないのですが、霊能関係者によると、
人間的な人格を持ち合わせた幽霊は霊の中でもかなり高度な存在で、
霊感写真などに撮影された人の手足は、人格の無い残留思念の断片で、
あるものは人に対して積極的な攻撃衝動を持ち、
またあるものは騒霊(ポルターガイスト)となって
己の存在を誇示しようとします。
存在を誇示したいことと、呪い殺そうとすることは
本質的に別のことと解説しています。

ですから幽霊としては、
無人格の呪怨型の方が実際には多いようです。

 東京に住む白人達が怪異に巻き込まれるという設定ですが、
企画当初は舞台はリングのリメイクのときと同様、北米だったそうです。
清水崇がリメイクでもメガホンを取り、
日本人スタッフ中心で制作が進められたわけですから、
地の利的にも日本国内の方がよかったのでしょう。
 映画冒頭の主人公たちの孤独な異国暮らしの様子が、
のちの悲劇の効果を上げる伏線ともなっており、
また恐怖シーンの大半が、家屋の中で起こっており、
日本家屋の構造とアメリカのツーバイ・フォー等の家では、
シーンの組み立てが変わってしまうので、
この変更はベストな選択だと思います。

新作の企画を探していた「ザ・リング」のプロデューサー、ロイ・リーは、
まだ字幕も無いビデオ「呪怨」を見てインパクトを受け、
若手脚本家の
スティーブン・サスコにリメイク脚色の作業をはじめさせます。
このビデオ版というのはレンタル専用にたった九日間の撮影で作られたものだそうです。
その間、日本では
黒沢清監修の映画版「呪怨」が完成され、公開されていたわけですが。
リーはこの映画版の完成度の高さにサム・ライミ監督に見せようと決めます。
映画版のビデオを見たサム・ライミが自分の制作会社ゴースト・ハウスでの制作を
決断するという経過になります。
興味深いのは、字幕の無いビデオが怖かったという話です。
複雑なプロット(あらすじ)で怖がらせる話ではなく、
見た目のインパクトで驚かせる作品であるということを
端的に物語るエピソードではありませんか。

 来日したキャストは、邦画では撮影初日にごく当たり前に行われる
御祓いにびびったようです。
ホラー映画だけに、何か特別な儀式が行われるのだと思ったのでしょう。

東京の国際学校に通う大学生カレン
(サラ・ミシェル・ゲラー「スクービー・ドゥー (2002)』)は
恋人ダグ(ジェイソン・ベア)と同棲している。
学生課のアレックス(テッド・ライミ:製作サム・ライミの弟)よりカレン
へ彼女が希望していた介護ボランティアの紹介があった。
東京在住の自閉症のアメリカ人老人女性クレアを介護する仕事で、
クレアはヨーコという別の学生が世話をしていたが、
昨日来から連絡が取れなくなっていた。

東映ビデオ『呪怨 (1999) 』を観たクエンティン・タランティーノ
は、ヒロインの栗山千明に注目。彼女を『キル・ビル』に起用したという記事を
見かけましたが本当でせうか?

日本のスタッフにアメリカのキャストという体制は、
なかなか撮影が大変だったようです。
アメリカのユニオンには
通勤時間を入れて一日12時間以上働いてはならない、という規定があるようで、
昼夜を問わず現場の都合で撮影する日本流は通りません。
日本国内では、撮影許可があっても交通規制などせぬが当たり前で、
ロケ現場の状況しだいでカメラを回す日本流に、アメリカのキャストたちは
その場のコンディション、感情のテンションの維持に苦労させられたそうです。

サラ・ミシェル・ゲラーはセット撮影についてもインタビューで、
照明担当を含めスタッフ全部がセットでは靴を脱ぐ姿に「驚いた」と
答えています。
うっかり朝食を持ち込むと、全員の視線を感じて慌てて片付けたとも。
日本ではセットは神聖な場所で、そのあり方に敬意を払ったそうです。

中川刑事(石橋凌)は、「その場にいたものは無論、触っただけでも祟られる」
と劇中で言ってます。
実際スーザンは、職場から自宅のマンションに
戻っただけでえらい目に合わされています。
呪怨があまりに変幻自在で、何でもありすぎで、
ちょっとねぇという気もしなくも無いです。

時間が現在、過去を…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-juon.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トラックバックどうも。 (si-hariku)
2005-02-11 22:16:00
おかえしにトラックバックさせてもらいました。
地上波 (管理人・新宿です)
2005-02-11 22:57:58
逆トラバありがとうございます。

来週、邦画版の地上波放送があるようですね。
はじめまして! (あや)
2005-02-16 17:39:36
TBありがとうございます。

脚本レヴューも読ませてもらいました。



今日、地上波放送ですね。

怖い映画などは好きですが、あとでトイレとかお風呂がめちゃくちゃ怖くなるので絶対観たくありません…。

でもすこしみたい。



これからもちょくちょく覗かせてもらいます。

でわでわ。
今夜です…。 (管理人・新宿です)
2005-02-16 20:05:20
そうです。今夜、お茶の間にあの「かかかかか」の声が響くのです。怖いですねぇ。

DVDセットして待ってます。

呪怨・・・・ (SO)
2005-02-17 12:22:56
TB有難うございます。

何気なしに書いた私の雑記を読んで頂いていたなんて

恥かしいです(笑)

ハリウッドリメイク版、見に行くか決めかねていたのですが、すごく詳細なレビューを見せて頂いて面白そうだと思い、見に行ってみようかと心が揺らいでおります。でも劇場で見る勇気が…。
お祭り (管理人・新宿です。)
2005-02-17 13:59:40
私も以前は「ホラーなんて、お金を出してまで見るものではない」と固く信じていましたが、実際に出かけると集団で同じものを見るわけですから、お祭りのようなものです。悲鳴も、みんなで叫べば怖くないどころかむしろ楽しい!?

…夜ひとり部屋でテレビで見る方がよほど怖いです。

コメント恐れ入ります。また見に来てください。

ぺこり。
こんばんは (kirori)
2005-02-17 20:53:44
はじめまして。

トラックバックありがとうございました

公開中の映画たくさん見られてるんですね~!

お返しTBさせて頂きました
おはよう (管理人・新宿です。)
2005-02-18 09:42:04
逆トラバありがとうございます。

ここはホームページの掲示板として利用させていただいているので、紹介している映画は見たものの一部なんです。宜しければhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/の本体のほうも見てやってください。

週末にテレビ放送される「フォレストガンプ」の原作と映画の比較、「アザーズ」の製作裏話、それと月末放送の「ターミネーター3」についても調べたことを載せてますので。
ごめんなさい (oyster999)
2005-02-21 20:38:30
TBありがとうございました。

申し訳ありません逆TBに失敗しました。すみませんでした。
Unknown (bakabros)
2005-02-23 00:15:08
ガスホールでしょうか? 最前列で観てしまいました。

まともに恐いシーンを見ていないので映る心配ないのですが、CM見ると、怖がる女性の隣に、明らかにトシオくんをイメージした少年が無表情で映っていますね。

あれ、やらせですよね? そこまでやるか!? 

冷房といい、演出が隅々まで行き届いていて感心しました。

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