映画制作裏話ブログ

映画制作裏話をかき集め作品ごとに整理したブログです。mixi「独身社会人映画ファンコミニティ」のログ集!

制作裏話「バルトの楽園」

2006年07月16日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
この“第九番演奏秘話”というネタは映画企画としては、
業界ではかなり以前から知られたネタで、
実を言いますと、私も企画書書きをやっていた頃、このネタでプロットを書きました。
ですから、「おんやぁ、懐かしの松江所長」てなものです。

当時のプロット題名は「第九俘虜収容所“合唱”」となっていました。
日独両軍は厳しく対立し、往年の名作「戦場にかける橋」の日独版、
クワイ河鉄橋爆破に代わり、“第九”の歓喜の歌の大合唱がクライマックスになる。
そんでもって「これは史実に基づく映画である」だなんてとってもオイシイ。
掴みはばっちりでした。

フレーム・コピーはあっという間に書きあがったのですが、
さあて、肝心のあらすじになると、これが進まない。
「バルトの楽園」の予告編を見ますと、
ブルーノ・ガンツが松平健にステッキを突き付けて
「ドイツ人は野蛮人ではないぞ」とすごむ場面があります。
私がイメージしていたのも、ハインリッヒ少将と松江所長が
とことん対立し、あれこれあって和解する過程をヒューマンドラマとして
見せるというものでしたが、
当時の事情を調べると、ドイツ人と日本人が争ったという記録がどこにも無い。
脱走兵が出ても3日で帰ってきちゃうし、
皆で土木建築やったといっても小規模なもんだし、
物産展開いて鳴門人相手に商売しちまうし、で、
どこから斬っても対決軸が見つからないのですね。
映画で言うところのドラマとは、とどのつまり“対立と葛藤”ですから、
そのどちらもが存在しない話は、ドキュメンタリーにはなっても、
映画脚本としては成立しないのです。
無理やり対立軸を設定して緊張度を上げると、
それだけ史実から離れていってしまう。
あれこれ知恵を絞って書いたものの、
企画から書き直しの依頼があって、
こちらがギブアップしちゃいました。

これには後日談があって、更に三年後くらいに某所で脚本家のK先生と話しをした折に、
この第九の話が出て、「あれはボクも書かされたんだよね」。
私の方は脱走兵話を膨らませられないかと画策し、
K先生は捕虜達が関与した土木工事で何とかしたかったらしいのですが、
「たいした工事して無いでしょ、実際」
で、後半ファンタジーにしたら、プロデューサーにタオルを投げられたらしい…。
そのときに、この鳴門の第九話が昔から企画の遡上に乗ってはコケ、
乗ってはコケを繰り返した、未完の映画化企画であると聞いたのです。
結局企画書書きの誰でもが目の付けるところは一緒という話ですね。
ちなみにテレビでは過去数回、ドキュメンタリーとしてローカル局、
キー局の両方で取り上げられている筈です。

当時の帝国陸軍は、…

以下はネタバレになるので、この続きは
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-bartnogakuen.html
にて脚本レビューの頁をご覧下さい。

独身社会人映画ファンメーリングリストHP

おにぎりブログもやってます

制作裏話「誰にでも秘密がある」

2006年07月03日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
「誰にでも秘密がある」は韓流2大スターである「冬のソナタ」のチェ・ジウと
「美しき日々」のイ・ビョンホンが共演したラブコメディです。
なにやら思わせぶりなタイトルの作品です。
美しい3人姉妹とイ・ビョンホン演じる謎の青年の入り乱れた恋愛関係を
チャン・ヒョンス監督がポップに描いています。
ケイト・ハドソン主演のイギリス映画のリメイクだそうです。

女子大生だがジャズシンガーとしてクラブで歌っているハン・ミヨン(キム・ヒョジン)は、
歌いながら観客の中に理想の男性がいないか探していた。
ある日、画廊のオーナーである美青年・スヒョン(イ・ビョンホン「JSA」)を客席に見つけ、
猛烈なアタックをしかける。

長女のジニョン(チュ・サンミ『気まぐれな唇』)は倦怠期の夫との間に7歳の子を持つ人妻、
次女のソニョン(チェ・ジウ「冬のソナタ」)は27歳にして恋愛経験がなく、
三女のミヨン(キム・ヒョジン『千年湖』)は刺激的な愛を求める女子大生。
姉妹はいずれもスヒョンに好意を抱き、
スヒョンもまた三人それぞれに愛を囁きます。

やがて母親のバースディ・パーティに招待されたスヒョンは、
ミヨンのプロポーズに応じるのですが、
それはまだ騒動の発端に過ぎなかったのです。
劇場公開時の映画の掲示板でこの作品くらい評価の割れた作品も珍しいです。
好きな人は「お洒落でポップ」と誉めそやし、
嫌いな人は「観た自分がバカにされているような感じ」
「女性を見下している。許せない」
とさんざん、
チェ・ジウとイ・ビョンホンのファンの意見も
分裂していて
「もっと作品を選んでほしい」
「自分を大切にしてほしい」
と泣いて訴えてる人もいれば、
「素敵っ」「新しい役柄の開拓に成功してます」
と絶賛する人もありで、大変です。

私ですか? 結構面白く見ました。
どうしてこう極端に意見が分かれたのかは予測が付きます。
一因はCMや予告編と映画の内容の落差です。
宣伝ではロマンチック・コメディのようにアピールされていますが、
実際にはドタバタ・セクシー・コメディです。
これは恋愛映画でさえないですね。
むらむら女の発情お笑い映画です。
「ラブ・アクチュアリー」のような上品で知的ウィットに富んだコメディを
想像して見ると痛い目に会いますので要注意。
少なくとも「ブリジット・ジョーンズの日記」…、
むしろ「メリーに首ったけ」とか、そっち方向なんでしょうね。
お下劣に笑いのめす、ということでは韓国映画で過去に見たことの無い
(私がたまたま知らないだけかもしれませんが)
パターンでしたので私としては意外性もあって面白かったです。

日本では鳴り物入りの劇場公開でしたが、
韓国では評判も興行成績も芳しくなかったようです。
やはりお国柄で、若く綺麗な女優たちがセックス・ネタで、
公衆の笑いを取るというのは世間一般に国辱的に映ったのではないでしょうか。

余談ですが、イ・ビョンホンにドレス姿の三女優が絡みつく例のポスターも、
“地下鉄構内など公共での公開には不適切”として
韓国国内でなかなか許可が下りず、トリミングなどが繰り返され
数回の改訂を経てようやくポスターが出来たそうです。

日本公開版は
韓国版とはラストが異なるそうです。
韓国国内の…

続きはネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-himitsugaaru.htmlにて「誰にでも秘密がある」脚本レビュー公開

独身社会人映画ファンメーリングリストHP