映画制作裏話ブログ

映画制作裏話をかき集め作品ごとに整理したブログです。mixi「独身社会人映画ファンコミニティ」のログ集!

脚本レビュー「逆境ナイン」

2005年08月25日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
島本和彦のコミックス「逆境ナイン」は、1988年に「少年キャプテン」で連載を開始し、
絶版の憂き目に遭いながらも今回なぜか映画化。
羽住英一郎は『踊る大捜査線THE MOVIE』『スペーストラベラーズ』等の監督補を経て、
『海猿』で映画監督デビューを果たした新人監督です。
330カット以上のVFXが使われているのが特徴といえば、特徴ですが、
「自業自得」という文字がモノリスよろしく宇宙空間に浮かんでいたりと、
とてつもなくくっだらない使われ方をしてます。
(そのご「自業自得」は大気圏に突入して、野球部の小屋の外に聳え立ちます。
そして消え去りもせず、映画の最後までその場に居座ります。
マネージャーの月田さん(堀北真希『HINOKIO』)が時々お掃除してます。)

主人公・不屈闘志役の玉山鉄二は、『天国の本屋~恋火』にも出ていたようですが
確信犯的な悪のりっぷりが見事でした。
そういえば、先日プロ野球の始球式で投げたようですが、
ちっともまともに届かないでやんの。笑
玉山鉄二、このあと話題作『NANA』の出演が控えるようです。
田中直樹は『みんなのいえ』の主人公とは大違いでしたが、
こっちの方が良いです。
劇中、不屈が月田さんを「ジャスコに行こう」と誘ったり、
駄菓子屋でくじ引き飴をサッカー部の主将と争ったりとへんてこに古いギャグが
かまされるのですが、島本和彦ってそんな古い世代なんでしょうか??
それとも監督の趣味?

全力ナイン、日の出商ナイン、全力イレブンは
完全オーディションによって選ばれてます。
ほとんどが野球経験ゼロ。
何ヶ月もの、三重県ロケでは、
照りつける太陽のもと部活動さながらの完全合宿制で早朝から深夜まで猛特訓が行なわれたそうです。
そんな過酷な状態の中、玉山は役柄同様ナインたちをリードし
一団を盛り上げたといいます。

岡村孝子の「夢をあきらめないで」がテーマソングとしてエンディングに登場します。
これ“逆境ナイン”リマスタリング・バージョンだそうです。
懐かしいものを聞かせていただきました。
やっぱしいい歌ですね。

でもやっぱり欠点はあって、…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-gk9.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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制作裏話「姑獲鳥の夏」

2005年08月20日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
“姑獲鳥”とかいて“うぶめ”と読ませます。
出産で死んだ女の無念から生まれるという妖怪の名だそうです。

京極夏彦はデビュー作「姑獲鳥の夏」で、
いきなり40万部を超えるベストセラーをかっ飛ばしています。
これまでの男性ミステリーファンのみならず学生やOLにファン開拓が出来たからです。
その後、映画にもなった「嗤う伊右衛門」では泉鏡花賞を受賞。
長編を発表するたび直木賞、山本周五郎賞、日本推理作家協会賞などを次々受賞、いまや絶大な人気を誇る巨匠です。

同じ主人公で書かれた“京極堂シリーズ”と呼ばれる全8作で、
総計400万部を超える売り上げを記録しています。
そのデビュー作が映画化されました。

ロケかと思いましたが画面に登場する建物類は、撮影所内に建てられたオープンセットが
ほとんどだそうです。
田中麗奈は作品のペットのようなキャラクターですから、撮影の時も
コスプレを楽しんでお気楽だったようですが、
一人二役の原田知世は逆にクランクイン前は夜も眠れぬほど不安だったとか。
病院の姉妹が嘘っぽいと作品世界が成立しませんからね。
それでいて非日常的、非現実的な人たちですから、演じていて息が抜けなかった
ことでしょう。
彼女をスクリーンで見るのは随分久しぶりです。相応に歳を食っているはずですが、
あんまり印象の変わらない人ですね。
女優としては得なのかもしれないですが。
どうですかね、これが現代劇だとはっきり歳が出たりして。笑

主役の堤さん、探偵の阿部さんはインタビューで、それぞれ作り込みの必要な人物だし、作品世界自体作りこまねば成立しないので、撮影はさぞや長丁場に…、と覚悟して望んだそうですが、意外や早撮りで、二ヶ月の撮影予定にきっちり収まったとか。
終電前帰宅が当たり前の映画撮影現場で、街の勤め人と同じ通勤ラッシュ時間帯にスタッフも帰宅できるほどで、それが痛快でもあったという話です。

美術の池田仙克は「ウルトラセブン」で宇宙人デザインなどからこの世界に入った人で、
実相寺監督とは当時から付き合いのある盟友です。
(あらためて当時のプロフィルをあたると実相寺監督はあくまでTBSの演出部のディレクターとして円谷プロに出向監督していたようですね。)
今回はセットで行く、というのは当初からの監督との申し合わせ事項だったようです。
それは眩暈坂にも現れています。
準備段階では各地に坂を探して歩いたようでもありますが、
作品の冒頭とエンディングに登場し、全編を象徴するこの坂をライティングも含めて緻密に演出していこうということで、勾配をつけた土の坂が調布の日活スタジオから徒歩十五分の神代植物公園内に、主要な舞台となる久遠寺医院などとともに建設されました。

劇中で関口巽(永瀬正敏)がよろめきながら月明かりの下の眩暈坂を下ってゆくところがありますが、
陰陽師の五星が赤く光っていながら、スポットライトが関口の真上から当たってている。
これは室内セットじゃないかと思うほど作りこまれた場面です。

古本屋、京極堂は池田さんは、代々神主だった家が、一部洋館風に改造されたもの、
というアイディアを持っていたようですが、
実際にラフスケッチを描いてみると、これがまったくさまにならず、
自ら没に。
江戸川乱歩が蔵を買い取って書斎にしていたなどの故事から、
京都の蔵と住居を渡り廊下でつないだスタイルの住まいで行くことに決め、
(このスタイルの家は、京都オフで私も実際に見ています。)
2階の吹き抜けのある京極堂の誕生となったわけです。
書棚の本の並べ方などは、神田神保町の古本屋街に通って研究したといいます。
書庫は一本ものの立派な梁がインパクトかありますが、
実はこれ、装飾しなおしで、関口の住まいにとしても撮影されてるんですよね。笑

ダチュラは原作では病院の中庭に咲いてるんですが、
映画では温室ですね。その違いがクライマックスに…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-ubume.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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脚本レビュー「フライ、ダディ、フライ」

2005年08月13日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
岡田准一君は原作の熱烈なファンだったそうで、つねづね「脇役でも良いから出たい」といっていたそうです。
で主役に抜擢されるとジムに通って半年身体作りをした。
原作のコミック版で登場する朴舜臣はでかい男なので
本来自分の役ではないと思っていたそうで、
そのイメージのギャップを埋めるのに懸命だったとか。
それなりの答えは出してますので、スクリーンで彼の勇姿を見てやってください。

堤真一さんがもとジャパン・アクション・クラブの出身とは迂闊にも知りませんでした。
だめだめなランニングの演技でかえって体調崩したとか、いろいろ語ってます。

敵役の石原を演じていた須藤元気は出番が初めと終わりだけですが、
そのあこぎな感じは堂々たるものです。こいつが“へたれ”だとドラマが成立しなくなる。
もともと格闘技家らしいですね。
それでもってストリート系のモデルとしても活躍している。
ふーん、あまり邦画界では見かけないタイプですね。でも個性的で面白いですよ。

デビュー作『GO』で第123回直木賞を受賞した金城一紀が脚本を書いてます。
東映のプロデューサーの依頼でオリジナル脚本を書き下ろしたのが始まりで、
いま、原作本として発刊されているものは、
映画化までの二年間に脚本から書き下ろされたノヴェライゼーションです。
さらにそれがコミック化されて人気を取ったといいます。
『GO』の映画版がいろいろな賞をとって、その関連イベントに出た金城一紀は、
小説には無い観客のダイレクトな反応を見て、是非オリジナルを作りたいと感じたそうです。
もともと「スターウォーズ 帝国の逆襲」のような、へなちょこが修行して強くなる
“修行もの”が好きで、中年リーマンが高校生に身体を鍛えられて戦う、
というのはどうだろう?
と話したところ。「それ面白いんじゃないですか」とプロデューサーがノッてくれたので、
実際の脚本執筆になったとか。

スンシン(岡田准一)の特訓は、…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-fdf.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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大阪オフ会

2005年08月07日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人


大阪オフ会を7月30日に大阪梅田で開催しました。
大阪駅のまん前にヨドバシカメラ梅田店があって、そこの8階の「阿里山」
というお店です。
大阪以外参加者もいたため、判りよく大阪駅の目の前にしたのです。



食事の後はいつもどおりお茶しました。
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脚本レビュー「甘い人生」

2005年08月05日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
テレビドラマ「美しき日々」「オールイン 運命の愛」、映画「誰にでも秘密がある」イ・ビョンホンが主演、
「これは私の代表作になる」と入れ込みっぷりを披露しています。
監督は、ハリウッドのドリーム・ワークスによるリメイクが決定している「箪笥<たんす>」のキム・ジウン。
8車線で互いにチェイスする2台の車から降りてくるイ・ビョンホンのカットを
撮影するために、ソウルの漢南大橋を警察庁、ソウル市の協力を得て封鎖し、
カーチェイス・ロケを敢行しています。

ソウルを一望できる優雅なスカイラウンジ。
ここはソヌ(イ・ビョンホン)の城だ。
7年かかってラウンジとレストランの総マネジャーであるこの地位までのぼりつめた。
冷酷なほどに頭の切れる男ソヌは、表にも裏にも通るその手腕により、
裏社会にも絶大な力を持つボスの信頼と寵愛を一身に受けていた。

ボスであるカン氏(キム・ヨンチョル)は、裏社会を牛耳る冷酷無比な男だったが、
唯一の弱みがあった。
若い愛人、ヒス(シン・ミナ)のことだ。
カン氏はヒスに他の男がいるのではないかという考えに苛まされており、
ソヌに彼女を監視させ、もし裏切りがあった場合には殺すか、
もしくは自分に連絡しろと命じる。

なんかこう、“イ・ビョンホンの男の純愛ロマン”のように宣伝され、
事実多くの人が、その“純愛ロマン”を期待して劇場に出かけていますが、
実際には北野たけし風のバイオレンス映画です。
熱い抱擁、甘い言葉、夢見る瞳、そんなものはこの映画には出てきません。
でも「HANABE」だって夫婦の純愛ドラマなんだし、
だったらこれもラブストーリーなんでしょう。が、ソヌの一方的な片思いだし、相手のヒスはソヌの思いに気が付かない。
最後にへんてこなスタンド贈りつけられて困っている。

数日間の監視のあと、ソヌはカン氏の命令を携えヒスと男のいる部屋に押し入った。
することは明白だ。彼らを殺すか、携帯電話で出張中のカン氏へ報告するだけだ。
しかし、ソヌは柄にもない仏ごころで
「二度と会うな。何もなかったことにすれば問題はない」と、男を追い出す。
が、ヒスは瞳を涙で濡らし「何もなかったことになんて、あなただったら出来るんですか?」とまっすぐにソヌを見つめ返してくる。
ソヌは、ふと我にかえり自分のしたことに驚いてヒスに詰め寄る。
「なぜ自分はボスを裏切るようなことを。自分のためでもないし、勿論あの男のためでもない」。
するとヒスが言う。「私のためですか?」
そして、この時のソヌの決断は、対立する勢力に加えて、かつての仲間たちをも敵にまわし、取り返しのつかない抗争の渦へと、破滅への道へと彼を陥れていくのだった・・・。

カン氏がヒスに入れあげるのは、当然、爺のスケベェ根性なんですが、
ソヌの裏切りに対して、すさまじい“折檻”をしかけてくる。
じいさまの嫉妬は怖い?
そこまでする必要は本来無いわけです。
カン氏は俺がボスだ、という上下関係に縛られていて、
それを踏み越えたソヌが許せなかった、ということもあるんでしょうけど、
それにしてもこれは酷いですね。
ソヌはそれで本気になって怒ってしまい、ボスをつぶそうと決意してしまう。
ヒスのことはドラマが走り出すと放り出しになってしまい、
カン氏とソヌの間に立つ、組織内外の利害関係者すべて巻き込んでの
大抗争に発展する。

そういっちゃなんだけど、
ヒスという無名のビオラ奏者の小娘ひとりに
暗黒街に血の雨を降らせるほどの価値があるのか?
そりゃ無いです。あってたまるものですか。
カン氏はヒスを抱くわけだけど、
…彼女から見ればそれはパトロンに対する
ご奉仕に過ぎないでしょうけど、
カン氏はヒスの向こう側にある“かたぎの世界”そのものを
抱きしめていたかったんじゃないのか?

ソヌはやはりヒスにセックスアピールを…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-amaijinsei.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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