映画制作裏話ブログ

映画制作裏話をかき集め作品ごとに整理したブログです。mixi「独身社会人映画ファンコミニティ」のログ集!

制作裏話「クローサー」

2005年05月27日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
劇作家パトリック・マーバーの2作目の戯曲“CLOSER”が1997年5月、
英国国立劇場で初演されています。
イギリス演劇界久々の大ヒット作となり、数々の演劇賞を受賞。
現在までに30ヶ国語に翻訳され、
ブロードウェイや東京など世界中の100都市以上で上演されています。
(日本版では高橋ひとみが主演したそうです。)
舞台脚本を基にマーバー自身が映画用に脚色したのが本作品
「クローサー」です。
監督はかの「卒業」のマイク・ニコルズ(1931年生まれで、70歳を超えておられます!)。
2004年12月に全米公開され、
クライブ・オーウェンとナタリー・ポートマンが、
本年度ゴールデン・グローブ賞最優秀助演男優賞と最優秀助演女優賞を
それぞれ受賞しています。

もとが演劇だけあって、登場人物は四人にほぼ限定され、
会話中心にドラマが進みます。
映画でも時間経過がセリフのみで説明され、
都会が舞台で季節感が無いため、ぼんやりしていると
話がどこまで進んだか分からなくなります。

いまどき道端で出くわした男と女が恋に落ちて始まるドラマなんて
あるものかと思っていると、
ここにちょっとした仕掛けがあるのですが、
それは映画のラストのお楽しみです。
未確認ですが舞台版だと、
交通事故にあったアリスを診察するのがラリーということになっているようです。
映画ではそこまでせせこましい偶然の一致は仕組まれていません。
それと男同士がエロ・チャットで知り合うなんて笑えますね。
ネット風俗としては既にチャットは古い方に属しますが、
いまならブログとかメッセンジャーかな。
この話は別にトム・ハンクスとメグ・ライアンの「ユー・ガット・メール」のような
ネット世界を舞台にしたものではもともと無いので、
多少の古さには目をつぶりましょう。笑
これは男同士のチャットより、翌日の水族館のやりとりが上手く見せています。

パトリック・マーバーはウィンブルドン生まれ、
オックスフォード大学出身の新進作家・劇作家です。
戯曲「 Closer 」は 1998 年ローレンス・オリヴィエ賞 、
1997 年ロンドン批評家サークル賞、
1997 年ロンドン・イヴニング・スタンダード賞に輝いているのですが、
“現代の男女関係を正直に見つめた作品で、
四人の男女の出会いと瞬時の惹かれ合いと裏切り・背信の物語“
ということになっており、恋愛のネガティブな感情がテーマになっているだけに、
深淵かもしれませんが個人的には後味の良いドラマとは言いがたがったです。

クライブ・オーウェンは舞台の方にも出ているそうです。
そのときはダン役でした。だとするとダンの印象そのものがかなり変わりそうです。
この映画はセクシーなセリフが次々出てくるのでR指定になったと聞いていますが、
きわどいセリフの大半はラリーの口から出ています。
ラリーはセックスに対して何か強迫観念を抱いているという設定だそうですが、
どんなトラウマがあるのか劇中では特に明かされていないので、
セクハラ暴言男のように見えてしまいます。
それにいい女が出てくる度に「俺は医者だ。独り者の医者だ」と連呼して
手当たり次第にナンパシしまくってます。
程度の低い馬鹿男にも見えますが、
後半のダンとのやりとりなどを聞きますと、なるほど教養のちゃんとあるらしい。
笑。

アンナははじめからジュリア・ロバーツの配役というわけではなく、
もともとはケイト・ブランシェットがやるはずでした。
二人目の子供の妊娠でジュリア・ロバーツに。
でもジュリアもこのあとすぐ双子を産んでますのでなかなか慌しいですね。
“なんとなく恋愛に疲れちゃった大人の女性”というキャラクターを
上手いこと演じてます。
それを勘違いして「ジュリアは既にオバタリアン」と
映画の掲示板に書き込んだ人たちが結構います。
別に役どころを忠実に演じているだけですけどねえ。
これまで彼女は“何があっても元気印”という役ばかりだったのが、
災いしているかもしれないです。

朝のラッシュアワー。
通勤者で溢れるロンドンの街を歩くダン(ジュード・ロウ)は、
小説家志望のジャーナリスト。
交差点にさしかかった彼は、若い女性と目が合う。
次の瞬間、彼女は車と接触して倒れた。
慌てて彼女を病院へ運ぶダン。彼女は幸い軽傷で済んだ。
彼女の名は、アリス(ナタリー・ポートマン「スターウォーズ エピソード1~3」)。
ニューヨークでストリッパーをしていたが、
身ひとつでロンドンに来たばかりだという。
互いに惹かれ合った2人は、…


以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-closer.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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脚本レビュー「炎のメモリアル」

2005年05月20日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
ボルティモアの穀物倉庫で大規模な火災が発生した。
仲間と共に現場へ駆けつけた消防士のジャック・モリソン
(ホアキン・フェニックス『グラディエーター』『サイン』『ヴィレッジ』)は、
爆発の危機をはらんだ建物の中に飛び込み、
12階に取り残された生存者の救出に全力を尽くす。
「オレから目を離すな。信じるんだ」。恐怖に脅える生存者を力強く励まし、
窓からロープで脱出させるジャック。
その直後、背後で爆音が轟き、床の穴に呑み込まれたジャックの身体は、
数階下のフロアに投げ出されてしまった。
もはや自力での脱出は不可能。
仲間の救援を待つあいだ、
ジャックの脳裏には、人命救助の熱い志を抱いて消防の仕事に就いた、
あの懐かしい日々の思い出が蘇ってくる。

“9.11同時多発テロの現場で英雄的な活躍を繰り広げた消防士たちへ
心からのリスペクトを捧げたい。“
と宣伝文句にありますけど、
別段ニューヨークのツインタワービルがクライマックスというわけではありません。
特定のモデルがいるというわけでもないようだし、
イメージとしての“戦う消防士”のヒロイズムを描いてます。
テーマは“レスキュー”。
…の筈ですが、実際には“殉職”ではないかな?
“男はいかに死すべきか”という浪花節に話が行き着くので、
人命救助に自己犠牲などとんでもない、と
考える人には見ても仕方ない映画です。

原題は「Ladder 49」。劇中に登場する主人公が所属する消防隊の部隊名です。
それじゃ地味すぎるというわけか、邦題では「炎のメモリアル」と、
やや感情過多なタイトルがついてます。
確認できてないのですが、
ホアキン・フェニックスは役づくりのため消防アカデミーで半年間の訓練を受けた後、
ラーダー隊の救命活動にも参加したとも聞きます。


主人公フェニックスを文字通りサポートするのは、
人間味溢れる消防署長のマイク・ケネディに扮したジョン・トラボルタです。
ジャックを一人前の消防士に育て上げていく過程で、
兄貴分としての温かな人柄と、
リーダーとしてのカリスマ性の両方を持った好人物として、
久々にジョン・トラボルタが善玉をやっています。

脚本は、『遠い空の向こうに』でヒューマニタス賞を受賞したルイス・コリック。
監督は、『マイ・ドッグ・スキップ』で
放送映画批評家協会賞の作品賞をはじめとする数々の賞を受賞したジェイ・ラッセル。

撮影監督のジェームズ・L・カーターと、
プロダクション・デザイナーのトニー・バロウは、
共にラッセル監督と『エバーラスティング/時をさまようタック』でコンビを組んだ間柄です。
「映画史上最大の炎を作ろうと考えた」というラッセルの指揮のもと、
火災現場の再現に取り組んだ彼らは、
防毒マスクを装着して撮影に挑み、
デジタルに頼らない本物の炎が舞うダイナミックな映像を作り上げています。
ゆえに「バックドラフト」のような曲芸まがいの(?)“炎の舞”は出てきません。

消防士はアイルランド系が…




以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-honoo.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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制作裏話『 コーヒー&シガレッツ』

2005年05月16日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
映画『 コーヒー&シガレッツ』は『ミステリー・トレイン』
『ナイト・オン・ザ・プラネット』『デッドマン』の
ジム・ジャームッシュが監督・共同脚本・共同編集の三役を務めているモノクロ映画です。
18 年間もかけて撮り進められた作品です。
コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら、
様々な登場人物たちが、どうでも良さそうで、良くない、
でもひとくせある会話を繰りひろげて行きます。

日本でも多くのファンを持つジム・ジャームッシュ作品が公開されるのは5年振り。
かねてより、密かな話題となっていた本作は、
ジャームッシュが
アメリカの人気テレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」から依頼されて撮った
ロベルト・ベニーニーとスティーヴン・ライト出演の
『コーヒー&シガレッツ/変な出会い(1986)』から始まっています。
カメラの前で
若き日のロベルト・ベニーニ(『ライフ・イズ・ビューティフル (1998) 』)と
スティーヴン・ライトの二人に、コーヒーを飲み、タバコをくわえさせて座らせて
即興会話をしてもらう。
二人は俳優として夢に関してと、歯科医に行くことについて語り合うのですが、
それは早送りだったり‘不条理’だったり文字通り台本の無い会話です。
二人は過多のカフェインとニコチンで、イライラしてくるまで喋ってます。
これが「変な出会い」なのですが。

89年に撮影された本編の2話目に収録されている「双子」は、
映画監督スパイク・リーの妹ジョイ・リー、
弟サンキ・リーが双子の役で登場し、
実は双子だったというエルヴィス・プレスリーの話をするという内容に
スティーヴ・ブシェミ(『ファーゴ (1996)』『ビッグ・フィッシュ (2003) 』)を
ウェイター役で起用しているのですが、
『コーヒー&シガレッツ/メンフィス版』として各地の映画祭で好評を博し、
続く本編3話目92年に撮影された『コーヒー&シガレッツ/カリフォルニアのどこかで』では、
93年カンヌ映画祭の短編部門でパルム・ドールに輝いています。
…というわけで、各エピソードは初発表もまたバラバラで、
今回の公開でようやく集大成されるわけです。

11本のショートストーリーはそれぞれ、
登場人物や撮影された時期・場所は異なっているものの、
『ナイト・オン・ザ・プラネット』などで試みられた、
各エピソードを連結するジャームッシュ独特の仕掛けが随所に見受けられます。
「カリフォルニアのどこかで」でトム・ウェイツが語る
音楽と医学との深い関係についてのエピソードは、
03年に撮影された「幻覚」でウータン・クランのRZAへと受け継がれるなど、
時空を越えてひとつのエピソードが共有されています。

その「幻覚」ではソフィア・コッポラ監督作『ロスト・イン・トランスレーション』の
ビル・マーレイが本人役で、
しかも内緒でウェイターをやっているというへんてこな役で登場しています。
GZA とRZAはビル・マーレイが何故ウェイターになっているのか不思議がるのですが、
「幻覚に違いない」と変な納得の仕方をしてしまいます。
幕切れでビル・マーレイのうがいをする音が聞こえるくだりは笑えます。

彼らの多くは、自分自身を演じているのですが、
あくまでもストーリーはフィクションで、
それぞれの性格や出演作によって役作りが行われたといいます。

新しいデジタル合成技術も使われているようで、
ケイト・ブランシェット(『ヴェロニカ・ゲリン (2003)』
『ロード・オブ・ザ・リング』三部作等)が報道陣から逃れてコーヒーブレイクする
しているときに嫉ましげな従妹と会うというエピソードでは、
ケイト・ブランシェットが本人と従妹の同時二役を演じ、
テーブルを囲んで口論しています。

『コーヒー&シガレッツ&』の各エピソードは
おおよそ撮影順に並んでいるようです。

『スパイダーマン2』でドクター・オクトパスを演じ、
強烈な印象を残したアルフレッド・モリナは、
同じ俳優であるスティーヴ・クーガン(『80デイズ (2004)』)に、
自分達は血縁で遠い従兄弟なのだよと言い出すのですが、
スティーヴは無名俳優の戯言と受け付けないでいると、
有名監督から電話がかかってきて態度を急変させるのですが、
逆に愛想をつかされてしまいます。

オムニバスのラストでは、
ビル・ライスとテイラー・ミードが…

以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-coffeecigarettes.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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制作裏話「ニライカナイからの手紙」

2005年05月02日 | 映画原作 映画製作裏話 独身社会人
「ニライカナイからの手紙」プレミア試写会で見てます。
ミニ・ライブに出演者の舞台挨拶、抽選会など
上映前イベントだけで50分近くもあったというプレミア試写会です。
蒼井優(『リリィ・シュシュのすべて』『花とアリス』TV「タイガー&ドラゴン」)を
生ではじめて見ました。
なんか思ったより背の高い子でした。
小顔なので小柄な人のように感じるのですね。
以前、「僕の彼女を紹介します」のチョン・ジヒョンがYOSIKIさまと
同じ身長なのにめちゃくちゃ可愛かったのと同じです。
そーか、小顔だと、どでかい女の子も可憐に見えるんだ。
オーラというのは殺気のようなものも含まれているのだろうと思いますが、
だとすると殺気の無い優ちゃんには立ち上るようなオーラは感じられません。
アクセサリーの類はつけていなかったようですが、
花びらのような服を着ていてそりゃあかわゆいったらありゃあしない、です。

竹富島の人たちに見送られながらフェリーに乗り込む2人の人物、
竹富郵便局長の尚栄(平良進)と娘の昌美(南果歩)。
涙を必死にこらえながら、昌美の娘、6歳の風希が見送っている。
「お母さん、手紙書くからね…」
その言葉を最後に、故郷竹富島を去って行った昌美。
それからの母子をつなぐものは、年に一度、
風希の誕生日に必ず送られてくる母の手紙だけになった。

舞台は石垣島から更に西へ行った竹富島です。
以前、うちのメーリングリストで石垣島へダイビングに出かけた時、
途中泊で渡った島です。
ここは星砂でも有名です。
見覚えのある街の風景、浜の様子、牛車や人々が出てきます。

カメラマンだった父・大輔の遺品のカメラで、
透明なガラス玉を被写体に撮影を始めた風希(蒼井優)。
東京帰りの元モデル・レイナ姉のビーチハウスに自分の写真を並べるようになっていた。
大学進学に向けて、補習中心になって行く高校。
空いた時間にレイナ姉の店に遊びに行きながら、
少しずつ東京への想いをふくらませていく風希。
「私…写真を勉強するためなら、東京に行きたいな…」
14歳の誕生日の手紙に、
20歳になったらちゃんと説明すると書いた母・昌美。
もちろん、風希のこころの中の東京には母の姿がはっきりとあった。

クランクインに際し、御祓い行われるのは良く聞く話ですが、
場所が沖縄県八重山諸島だけあって、御祓いは御嶽(ウタキ)、
と呼ばれる霊所で…


以下はネタバレになるので、この続きはhttp://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/Pic-niraikanai.htmlにて脚本レビューの頁をご覧下さい。

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