二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療 学術講習会

2009年03月03日 | 鍼灸
2月22日(日)、温泉に浸かった気持よい心身で、山代温泉から車で数分の場所にある、加賀市文化会館にて学術研修会が開催されました。

◎内 容
 会 場:加賀市文化会館
 日 時:平成21年2月22日(日) 午前10時~午後2時
 演 題:「アトピー性皮膚炎に対する鍼灸治療」
 講 師:明治国際医療大学 加齢鍼灸学教室 
     明治国際医療大学附属京都駅前鍼灸センター
      アトピー性皮膚炎・パーキンソン病専門外来 担当
     江川雅人 先生


アトピーに鍼灸?と一般の人は思われるかもしれませんが、鍼灸治療は、喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に効果があります。これも病歴や程度により改善度や改善期間などには個人差がありますが、効果はあります。この辺りは東洋医学研究所の師匠、黒野先生が免疫に関しては数十年前から研究され論文も出されています。

講習会は、IgE抗体の発見(日本人の石坂公成)などアトピーの歴史から始まり、疫学、日本皮膚科学会や世界で使われている診断基準、アトピーの本隊でもある湿疹反応や痒み、検査方法、一般に行われているスキンケア、薬物療法(ステロイドなど)、食事や環境などの生活改善の説明がありました。


なんと、初代ローマ皇帝 アウグストゥスは記録に残っている最古のアトピー家系だそうですよ。んん~贅沢な食事、我慢せずに食べたい時に過食していたのではないでしょうかね~。

その後、東洋医学からみたアトピー性皮膚炎の成り立ち、また、中医学を元に症状により分類し、治則や治療経穴を分類した明治国際医療大学で行われている方法は勉強になりました。

ここで、症例報告が何題かあり、写真も入り、鍼灸治療で改善している様子がよく理解できました。

江川先生の「成人型アトピー性皮膚炎45例に対する鍼灸治療の臨床研究」と言う論文の紹介もありました。

そして、講演の中で面白いと思ったのは、免疫細胞であるT細胞の話でした。T細胞の中のTh細胞はTh1細胞とTh2細胞に分化しますが、Th1細胞の量が何らかの異常で増加するとリウマチを含む自己免疫疾患になり、Th2細胞が異常に増えるとアレルギー疾患になることが分かっていますが、鍼灸治療はこのバランスを調整するので、アトピー性皮膚炎が改善するのではないかと考えているとのことで、この研究も始めるようなことを、私が質問に行ったときにしていました。 面白い


また、「患者はなぜ掻いてしまうのか」という話の中で、中国で、赤ちゃんが生まれた時に、米を蒔き健康を祈る女神(仙人)”麻姑(マコ)”が上のパワーポイントのように出てきました。

麻姑搔痒(まこそうよう)=物事が上手くいく例えで、かゆい所に手が届く、という熟語にも使われているように、この女神の爪が長く、かゆい所を掻いてもらうと、ことのほか気持ちが良いのだそうです。孫の手や中国の都市マカオの語源とも言われているとのことでした。

この話の中では、患者と鍼灸師が患者の苦痛を共感することが大切だと話されていました。まことに全ての症状や病気に関し忘れてはならないことでしょう。

午後からは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の中の肺気腫について、呼吸リハビリとしての鍼灸治療の有用性、そして、まったくの無反応、表情も無かった認知症患者さんが鍼灸治療をすることによって、笑顔になり自発的にしゃべることができるように改善した症例のお話があり、鍼灸治療の可能性が盛りだくさんの研修会であったと思いました。

んん~勉強になった

最後に実技。なかなか面白い経穴の説明があり、こんど痒みのある患者さんが来院されたら使ってみようかなと思ってます。





二葉鍼灸療院 田中良和

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