二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

妊活と鍼灸~ストレスの軽減を考える②~

2022年01月25日 | 不妊症

 世界で、日本で、オミちゃんがお友達を増やしております

 当院の所在地、石川県でも1月25日時点で新たに354人のお友達が増えました。

 そろそろ落ち着きをみせてもいいのではないかな~と思いながら、この記事を書いております。

 

 パート①では、不妊治療の最近のトピックと不妊女性が抱えるストレスについて書かせていただきました。

 

 妊活と鍼灸~ストレスの軽減を考える①~

 

 妊活に頑張るご夫婦のために妊娠しやすい身体づくりのための鍼灸を行っておりますが、特に女性に多くの面で過剰なストレスがかかります。

 当院に訪れるご夫婦の多くは妊活を始めて年数が経過していることが多く、ご来院時点でかなりのストレスが蓄積されているケースがあります。

 過剰なストレスは妊娠ばかりではなく、様々な疾患の要因となります。そのストレスが少しでも軽減されることは、より循環がよく元気で健康な身体や心の状態にあることは疑う余地がありません。

 

 今回は、その不妊女性のストレスに対して鍼灸治療は役に立つのかをみていきたいと思います。

 その前に、皆さま「エビデンス(科学的根拠)」という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、それについて最初に簡単に説明させていただきますね。

 

エビデンス(科学的根拠)

エビデンスの意味・・・「根拠」「裏付け」「証拠」「形跡」などの意味です。

 医療・医学で使用される場合のエビデンス・・・例えば、ある病気があるとして、そこには「効果がある」という多くの様々な治療方法があります。その病気の治療について「本当に効果があるのか」「どれくらい安全なのか」「その効果はどれくらいあるのか」ということの調査研究のことをいいます。患者さんが、より安全でより効果的な治療方法を選択できるための指針として利用される調査研究のことです。

エビデンスに基づいた医療(Evidence Baced Medicine:EBM)・・・現在、日本も含め世界の医療はこの指針をベースに進んでいます。そしてEBMを実践するうえでエビデンスというものが必要になります。例えば、①検査では異常がなかった慢性腰痛の患者さんがいます。②そこに鍼灸を行うと、③湿布と鎮痛薬の服用より効果があったとします。⑤世界中の研究や報告(論文)の①~③に近い条件のエビデンスを調査します。⑥調査したエビデンスの効果のグレードや質について検討します。⑦慢性腰痛に対して行った鍼灸を振り返り評価します。

 と言ったように、集積された研究や調査を検証され、この病気や患者さんに真に有効な治療方法かどうかの方針が決定されます。

 

 難しい話になりましたが、鍼灸治療は皮膚に触れる治療から深く骨膜に至るまで刺す、あるいは数本の鍼だけ使用する場合やハリネズミのようにたくさん鍼を刺す方法など多種多様です。

 ですが現代の医療・医学の評価基準や、患者さんのことを思えば鍼灸もエビデンスレベルをあげていくことは、鍼灸医療や鍼灸医学にとって、今後の発展という面においても必要なことなのです。

 EBMを考えると、私が修行・研修させていただいた、東洋医学研究所®所長  黒野保三先生やその弟子の皆さんが(私もほんの少し入ってますが)、膨大な鍼の臨床実践や臨床研究の集積、臨床を基に、名古屋市立大学や名古屋大学の研究員として推し進めて来られた鍼の基礎研究など「鍼灸の科学化」や鍼灸医学に対する思想や姿勢が、まさにそれであると改めて思います。このお話はまた別の機会に・・・

 

 それでは本題の、不妊女性の精神的ストレスと鍼灸についてみていきます

 

不妊女性の精神的ストレスに対する鍼は有効か?!

 明治国際医療大学 鍼灸学部 臨床鍼灸学講座の田口玲奈先生の研究で、女性心身医学雑誌(Vol.20.No.3.2017年3月)に投稿された論文を参考にみていきます。

鍼治療は女性不妊患者の精神的ストレスを緩和させるか、ストレスの感情面表出である扶南・抑うつ・気分変調などを指標に検討。

1年7ヶ月の期間に体外受精ー胚移植(IVF-ET)、顕微授精(ICSI)を行った32名を対象(31歳~47歳)。

評価 
 ①不安・抑うつ・気分変調の評価:Profile of Mood State(POMS)日本語版
 ②不安の評価:State-trait inventory(STAI)
 ③妊娠率および流産率

 鍼治療方法
 期間:3ヶ月間  頻度:週2回
 使用経穴:(目的)精神安定・ストレス緩和・補気血・血流増加
  百会、合谷、内関、帰来、足三里、三陰交、地機、血海、太衝、中髎
 使用鍼:直径0.16mm、長さ30mm(セイリン社製ステンレス鍼)
     0.30mm、長さ60mm(同上)・・・中髎のみ;仙骨骨膜面に水平に頭に向かって刺鍼
 併用治療:低反応レベルレーザーを鍼治療前後に両側星状神経節近傍に約3分間照射

 結果と考察
 平均年齢:約39歳、平均不妊治療期間:約33ヶ月、施行回数:IVF-ET  約2回 ICSI 約7回
 不妊原因:男性因子4名、卵巣因子11名、卵管因子2名、子宮内膜症6名、原因不明12名(重複あり)

 ①POMSの変化:「緊張・不安」「抑うつ・落ち込み」「怒り・敵意」「混乱」「総合的状態得点 TMD」は鍼灸後に有意に低下。
         「活気」「疲労」の項目に有意差はなし。

 ②STAIの変化:「状態不安」「特性不安」ともに鍼灸後に有意に低下。

 ③妊娠率・流産率:生化学的妊娠率9.4%(3例)、流産率0%

鍼治療は不妊患者が抱える緊張や不安、抑うつ、落ち込み、怒りや敵意、混乱するなど精神状態を緩和させる効果があることが明らかとなる。

米国では不妊女性のストレスと不安レベルが高く、不安と落ち込みの頻度も非不妊者と比べて高いことが報告。

日本でも不妊女性の不安・抑うつ測定尺度とPOMSにより、不妊女性の精神的ストレスが強いと報告。

POMSでの一般健康女性の平均点数と比較すると、抑うつ・落ち込みの数値が高値だが、その他は一般女性と一致。日常生活での精神面は比較的保たれてる状態と考えられた。

STAIでの一般健康女性の平均数値と点数と比較すると、鍼治療前の状態不安得点が高値だったことから、測定時点での不安は強い状態にあったと考える。

ARTの成績とストレスの関連については、負の相関があるという報告が多い。

ストレスの強さやストレスに対する脆弱性はIVF-ET後の妊娠の不成立と関連するとの報告あり。

採卵前のストレス・不安が多い女性では、妊娠率が低いことが示され、IVF-ET後の低い妊娠率と関係があり、リラクゼーションなどのストレス軽減は妊娠率を上昇させると結論づけた報告もある。

 最近のメタアナリシス(集めた論文を統計学的に解析すること)分析では、不妊の問題や他のライフイベントにより引き起こされた感情などの苦悩は、ARTの成績とは関係ないと示されている(2011年)。

不妊治療における精神的ストレス軽減の重要性は示されているが、ARTの成績との関連性については一定の見解は得られていない。

胚移植時や採卵時の鍼治療は妊娠率を増加させると言う報告もあるが、最近のシステマティックレビュー(対象の調査研究の論文をくまなく集めて統合し評価すること)では、鍼治療は、臨床妊娠率、継続妊娠率、出生率、流産率には影響を及ぼさないと結論づけられている(2013年)。

 不妊女性の精神的ストレスに鍼治療が及ぼす影響については、いくつか検討されており、それによると思われる妊娠結果の改善の可能性も報告されている。

鍼治療は、ストレスホルモンの一つである血清コルチゾールとプロラクチンの分泌を調整し、IVF-ETの結果を改善するとする研究もある。

鍼治療は妊娠率を増加させるが、その有効性は胚移植前後の少ないストレスと関連する可能性があるとの報告もある。

鍼治療を施行したIVF-ET患者の不安を著明に減少させたが、鍼とシャム鍼群(皮膚に刺さない方法)で臨床妊娠率には違いがないとの報告もある。

IVF-ETを施行した患者への鍼治療は妊娠率の増加とは関係しないが、リラックス効果があったとの報告もある。

ランダム化比較試験(臨床研究では最もエビデンスの質が高いとされる)による研究では、鍼治療は不妊に起因するストレスを援助するのに有効な方法であるという報告もある。

これまで鍼治療は、副腎皮質刺激ホルモンやエンケファリン、βエンドルフィン、ダイノルフィン、セロトニン、オキシトシンなどの神経伝達物質の分泌に影響することが明らかとなっている。これらの変化は、不安や抑うつなどの感情と関連が深い中枢神経系の異常状態において有益な効果をもたらす可能性が考えられる。

ストレスの軽減が間接的にARTの成績に影響を及ぼす可能性も否めない。

 まとめ

鍼治療がARTの成績に影響を及ぼさなかったとしても、妊活中の抑うつや落ち込み、月経前不快気分障害と同様に、不妊女性の精神的ストレスや抑うつなどQOLの改善に有効な治療法となり得る可能性があると考えられる。

世界では、今回のように継続的な鍼治療が妊娠率に及ぼす影響についてはまだ検討されていない。

今後、年齢や妊娠段階等に区分し、サンプル数または妊娠例数を増やすこと、また、鍼治療未施行の対照群との比較をすることによる更なる検討が必要。

治療方法に低反応レベルレーザーを使用しているので純粋に鍼治療の効果とは言えませんが、田口先生の臨床の中でレーザーと併用することが、より不妊女性のストレスを緩和し、卵子の発育や内膜の改善、着床促進につながるのであれば治療方法で併用しても問題ないですが、相乗効果があったことは考えられます。

※低反応レーザーを星状神経節へ照射することにより、従来使用されていた方法(鎮痛)での抗炎症作用の他に、交感神経が刺激され、末梢や脳への血流改善、過剰な神経伝達の抑制により神経症状を改善する可能性があり、生殖器の血流や神経機能を改善することで、卵子形成・成熟、内膜改善等の効果が期待され、ARTを補助して妊娠率を上げる一つの方法として使用されています。

 

 当院では、上記のようなことも含めながら、妊活ならびに妊娠しやすい身体づくりのための鍼灸を行っています。

 少しでも早期に天使ちゃんと出会えますように、ストレス軽減も目的の一つとして、ストレスをうまくいなして寄りきれるように、鍼灸でサポートさせていただきます。

 長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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妊活と鍼灸~ストレスの軽減を考える ①~

2022年01月21日 | 不妊症

 昔から、一年で一番寒いとされる大寒に記事を書いています

 金沢も雪が降っています。大寒というのは二十四節気の一つですが、自然の中から編み出され、人々が気候に則って生活するためにつくられた暦です。本当にうまくできているな~といつも思うのです。

 そんな寒い中でも、人間の身体は日々刻々と新陳代謝を繰り返しながら生命を営んでいます。

 女性の生理周期も同様です。

 約28日周期でおとずれる生理周期。この生命を育むシステムは、乱れる方々もおいでですが、初潮から閉経まで呼吸や心拍などのように意識することなく身体の自動システムとして粛々と行われます。

 

 当院においては、妊活のための鍼灸、妊娠しやすい身体づくりのための鍼灸にも力を入れて実施しています。

 私が本格的にこの分野に力を入れ出したのは20年前です。一番最初に体外受精で妊娠出産されたお子さまが今では大学1年生で、時々、鍼灸を受けに来院されます。すごく感慨深いものがあります。

 

 さて、今回この妊活におけるストレスあるいはストレス対応(メンタルヘルスケア)という部分をピックアップします。
 私は鍼灸施術を行いながら、果たして鍼灸は妊娠のどこの部分に効果があるのか、そして不妊クリニックが行う治療のどこの部分のサポートができるのか、鍼灸を受けに来ていただける方に効果として何を提供できるのか、という事をいつも思いながら施術しています。

 そこを考えるとストレス対応という部分に関しては、鍼灸施術が大きく関わっていけるだろうと感じます。
 それは、これまでの不妊症の患者さんを施術してきた経験と、東洋医学研究所で修行・研修した当時から自律神経失調や不定愁訴の研究や勉強を通じて学ばせていただいた事から、対応できる可能性は充分あると感じます。

 

 さて、不妊症に取り組まれているご夫婦には様々なストレスが存在します。

 今回は、不妊に関するストレスをみていき、パート2では、不妊女性の精神的ストレスに対する鍼灸の有用性について書かせていただきます。

 

 その前に、不妊に関する最近の状況についてのトピックをみていきます

 

不妊に関する最近のトピック

 実際に不妊の検査や治療を受けたことがあるご夫婦は、全体で18.2%、子どものいないご夫婦では28.2%で、これは夫婦全体の5.5組に1組に当たります。(国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向調査〈2015年〉による)

 不妊の増加の原因は一つではありませんが、ライフスタイルや価値感の変化、晩婚化があげられます。

 2017年の体外受精治療件数は約448000件、出生数は5万6617人が体外受精にて生を受けました(全赤ちゃんの約16人に1人)。2019年の体外受精治療件数は約458000件、出生数は6万598人(全赤ちゃんの約14人に1人)となっています。(日本産婦人科学会 倫理委員会 登録・調査小委員会のデータより)

 出生数は全体に減少していますが、体外受精件数やその出生数は増加しています。

 ART(高度生殖補助医療)における出生数のうち、5万4188人とほとんどが「凍結融解胚」によるものです。(上記委員会による)

 IVF(体外受精)の総件数の年齢は、38歳から42歳が35000件を越え、40歳が頂点(約38000件)となる山型のグラフとなります。(上記委員会による)

 IVFによる妊娠率は、20代後半から32歳までは45%前後を推移し、33歳では約43%と45%をきり下降が始まり、37歳には約38%と40%をきり、そこからの下降幅は急となり、40歳では約28%、43歳では約16%、45歳からは約8%となります。(上記委員会による)

 日本の体外受精実施件数はアメリカを抜いて世界第1位です。それに対し採卵1個あたりの出産率は調査国中で世界最下位になっています。体外受精を受けた女性の年齢を国際比較(2011年)すると、40歳以上の割合は、ヨーロッパ諸国では11~16%、アメリカ大陸では22~23%、オーストラリアでは28%、に対し、日本は44.7%と倍近い割合になっています。(国際生殖補助医療監視委員会〈ICMART〉の2018年報告)

 体外受精実施件数の割に出産に結びつかないのは、大きな原因として晩婚化による生殖開始の遅れがあるのは間違いありません。これに関しては不妊症の正しい理解とともに、生殖や性に関する教育を学生のうちに行うことが必要ですし、社会をつくっていくのは人であり、その根本である生殖や性を、医療だけではなく社会全体の問題として捉えて問題を解決していく必要があると感じます。

 IVFによる流産率は、20代後半から30歳までは15%前後を推移しますが、そこから年齢を増す毎に率は高くなり、40歳では32.9%、45歳では60%となり40歳を越えると急激に増加します。(上記、登録・調査小委員会による)

 IVFによる出産率は、20代後半から32~33歳までは30%前後を推移しますが、そこから下降をはじめ33~38歳までは下降しながら20%を維持しますが、39歳には16.9%、40歳では13.4%、42歳からは7%となります。(上記、小委員会による)

 

 これらはあくまでも統計的な数字であり、現在の不妊治療の現状の一端を示しています。

 治療中の方は、「あー、私の可能性はこんなに低いんだ~」と捉えるのではなく、子どもを授かる可能性が広がった中での現状の数字を理解しながら、ご自身の不妊治療に活かしていくことが大切であると思います。

 不妊専門クリニックでは、ご夫婦個別に何が原因か、こうすれば治療が成功するのではないかという所を毎回工夫を行いながら不妊治療を行っております。その限界と可能性の両者を理解しておくことは、妊活期間の身体と心の両面の在り方として大切だと私は理解しております。

 これらを理解しておけば、それでは不妊で悩む当事者自身として何が大切か、出来るのかと言うことが見えてきます。
 まず出来ることは、自分自身の身体を健全に保つことです。運動すること、食事に気を配ること、睡眠をしっかりとること、ゆっくり休む時間をつくること、笑顔は多めに等、不妊に限らず、健康を保つために基本的な事柄を実践することが、どんな場合にでも身体づくりのベースになるということです。

 人事を尽くして天命を待つです。

 あっ、完璧でなくてもいいですよ。笑

 

 さて、ここから不妊女性の心理的ストレスをみていきます。

 

不妊女性の心理的ストレス

1.自己意識から生じるストレス

 今の世の中、価値感は多様です。皆が同じでなくてもいいのです。しかし、女性には子どもを産むことができるという男性にはない能力がほとんどの方に存在します。これは女性に共通する人類の価値です。

 結婚ー妊娠ー出産ー子育てを理想とする女性が多いのは当たり前かもしれませんが、反面、その過程で、妊娠しないことで女性としての能力の喪失、親になる能力の喪失、自身の身体に対する信頼の喪失、自己コントロール感の喪失など多くの喪失を味わいます。

 自分を責めてしまいます。

 それに拍車をかけるように、これだけ情報が発達した現代の日本の社会でも、「女性は子どもを産んで一人前」「子どもを産むのが当たり前」という伝統的価値感がなお根強く存在しています。それにともなう不妊のご夫婦への心ない言葉もよく耳にするところです。不妊に対する一種の差別や偏見は今しばらく続くのかもしれません。

 

2.社会との関わりで生じるストレス

 多くの人は、不妊治療を行っていることを、自分が関わる全ての人に話すことができないのが事実です。それは友人や家族、親族にもそうであり、会社勤務されている方は、直属の上司にだけ話を通してあるという話もよく耳にします。

 そんな状況の中で何気なく「子どもはまだ?」という言葉が会話に出てくることがあります。相手は会話の中の何気ない一言であっても、本人は自己意識から生じるストレスの劣等感や罪悪感を刺激され悲しみに暮れることもあります。

 また友人からの妊娠の報告や年賀状の家族写真を素直に喜べない、職場や友人との雑談での子どもの話題に耐えられない状況に陥り、距離をとってしまい、疎外感や孤独感を感じるケースもあります。そんな自分自身に落胆してしまいます。

 

3.治療によるストレス

 近年では不妊治療の原因の約半数が男性側にあるとの数字が出ています。精索静脈瘤や精子に原因がある場合は手術やその治療を行わないといけませんが、検査から治療、結果を待つ過程においては圧倒的に女性側の負担が大きいことは理解できるかと思います。

 子宮卵管造影検査は痛みを伴うことが多いです。経膣超音波検査での毎回の卵胞計画は内診台での検査ですので羞恥心を伴います。タイミング療法では夫婦関係の日のおおよそを指定されるため、性欲にしたがったセックスではなく、律動的で形式的な行為になってしまうこともあります。仕事や時間の都合でタイミングが合わずその日にセックスができなかった場合は夫婦間に葛藤が生じることもあります。いわんや人工授精、体外受精ともなるとセックスと生殖は別のもののようになり、いつの間にかセックスレスになることもあります。

 不妊治療期間中は、特に女性において検査や治療、その結果により多くのストレスに晒されます。

 専門クリニックでの不妊治療を始めたらすぐに妊娠できると思っているご夫婦も多いと思いますが、全ての方が簡単に妊娠、出産できる状況ではないため、上記のトピックのような状況になっています。

 タイミング療法から始まり人工授精、体外受精へとステップアップしていく場合もありますし、検査結果によってはすぐに体外受精へ進む場合もありますが、妊娠、出産までは長い年月を要するご夫婦もおいでです。
 治療期間中、妊娠への期待で気分が高揚しますが、月経が来る度に気持や気分が乱降下しますし、治療期間が長くなればなるほど、見通しが立たず真っ暗な出口の見えないトンネルを進んでいるような気分になります。

 不妊治療期間や年齢を考えて、どこで治療を終結させるかという問題も出てきますが、これも大きなストレスとなります。
 妊娠・出産が難しい場合、卵子提供か、里親や特別養子縁組制度か、子どもを諦めるか、そんな選択に迫られるポイントが必ず訪れます。

 令和4年4月から、生殖医療においても保険適用になるということですが、まだ内容を把握していないので何とも言えませんが、現在、不妊治療を行うご夫婦の大きな経済的助けとなっている「特定不妊治療費助成制度」がなくなるという話題も出てきています。

 そう、経済的負担も大きなストレスとなります。1回の胚移植までの検査や治療の経済的な負担も多額です。長年治療を継続されている方は、総額が高級乗用車1台を簡単に購入できるほどの治療費となります。それくらい、妊娠・出産にかける思いが強いということなのです。

 

 不妊のご夫婦とくに女性側の大きく強いストレス環境がご理解できたかと思います。
 個人差はありますが、大なり小なりストレスを受けることで、心身に影響が出る=妊娠を妨げる要因となったり、様々な不定愁訴が出現するだろうことが予測できます。

 

そんな中で鍼灸治療で何ができるのか・・・

 これがパート2での話題となります。

 不妊女性の精神邸ストレスに鍼灸で何ができるのか、鍼灸で何が変わるのかを書かせていただきます。

 鍼灸以外の方法も少し書くことができれば書いていきたいと思います。

 

 それでは、パート2でお会いしましょう

 最後までお読みいただき、誠にありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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2022年(令和四年 壬寅)新年のご挨拶と1月施術スケジュール更新のお知らせ

2022年01月10日 | 鍼灸

   皆様、新年あけましておめでとうございます

 少し遅くなりましたが、本年も二葉鍼灸療院をどうぞ、よろしくお願いいたします。

 

 私はいつも正月に本を読み、一年の計は元旦にありということで、その計を考える一つの材料になる情報があれば取入れています。

 今年も本を読みいくつか思ったことはありますが、人生設計や目標を設定する中で、今後の日本や世界を取り巻く社会状況を把握しておくことは重要であるということです。

 その環境の中で、私たち鍼灸マッサージ師がどう社会に貢献して、その貢献から報酬を得ていくことができるのか。そして、未来へこの素晴らしい伝統医療を繋げていくには、どのようなことを思考し創造していくことが大切なことなのかということを念頭におきながら対応していくことが必要だと感じております。

 

 この本の中で大切なことだと思ったことは人口推計です。

 世界の人口は現在、約78億人。これが2030年には85億人、2050年には97億人、2100年には109億人になると予測されています。

 日本の人口は現在、約1億2000万人。これが2030年には1億1600万人、2060年には8600万人と1億人をきることが予測されています。

 世界の人口は勢いよく増加していく傾向にありますが、日本の人口は減少していきます。この状況については大規模な天変地異でもない限り、予測の傾向は外れることはないのではないかと思います。

 私の住む石川県での人口が約116万人。これが2045年には94万8000人と100万人をきることが予測されています。

 そして金沢市の人口においても同様な傾向で、現在の約46万6000人。これが2040年には41万7000人と約5万人も減少することが予測されています。

 日本の多くの都市で、年少人口(子ども)と生産年齢人口(労働者)が漸減し、老齢人口(高齢者)が増加していきます。このような社会の中で生きていく時代が到来するということで、これを把握しながら前向きで、明るい未来を築く一つの基礎的な認識とすることも大切なのだと感じました。

 

 もう一点、本から文章を抜粋すると・・・

『新型コロナが収束に向かったとしても、変革した新社会が元の姿に戻ることはない。新しい日常が普通の日常となる。もはや昭和や平成の成長モデルが通用しないことは明らかである。
 人口減少の日本で、なお成長を求めるのであれば昭和、平成の考え方を捨てて、令和の頭で考えることが必要条件だ。屋上屋を重ねるような旧態依然たる体制を続けているうちに、自然災害がすべてを白紙に戻してしまうかもしれない。
 社会が変われば、人も変わらざるを得なくなる。改めなければならないことは多い。企業にあっては、まず社長からその言動を刷新することが求められる。それができなければ早々に退席すべきだ。最悪の老害とは、正に権力の長期にわたる掌握につきる。』

 

 すべてが正しいとは言いませんが、変わっていくべき所は変わっていく必要がありますし、新しい時代の流れは若い人ほど強く感じることなのかもしれません。だから若い人が感性を磨き感じ取った時代の空気に関しては耳を傾けて、それを汲み取ることも必須となってくるのかなと感じます。

 新たな時代の到来は、コロナの出現とともに加速しているのでしょう。

 これは私たち業界においても同様であり、社会が変わり、人間の環境が変われば病の状況も変化してきます。

 

 まさに大きな変化の時代にきているのだと思います。
 しかし、その中にあっても変わらないものもありますし、より重要な変化しないものも存在が大きなものになってくるのではないかと思っています。抽象的ですが

 変化していくものがあり(変易)、変化しないものもある(不易)。そのような状況を理解し受け入れながら(簡易)、人生を過ごすことは、易経がつくれれた時代から変わらないことなのでしょう。

 

 当院でも、そんな社会の状況を把握しながら大きな目標に向かって突き進みたいと思っております。

 当院での今年の治療目標は、ホームページの方に少し詳しく書いてありますのでご参照ください。

 スポーツ選手・愛好家のための鍼灸
 健康管理・養生・がん予防のための鍼灸
 妊活(不妊症)・妊娠しやすい身体づくりのための鍼灸
 企業の健康経営を応援する鍼灸
 小児ハリで子どもの健康を応援する鍼灸
 メンズヘルス充実のための鍼灸

 

 二葉鍼灸療院(金沢)の治療院理念

 人生の刹那をより幸せに生きるための 心と身体の再生好場
 ~そのための、人づくり、場所づくり、時間づくり~

 

 そんな理念で今年も進んでいこうと思っております。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

2022年(令和4年 壬寅) 元旦に思いを馳せる

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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