晴れ、ときどき映画三昧

『ギャング・オブ・ニューヨーク』 80点

ギャング・オブ・ニューヨーク

2002年/アメリカ

NYを愛するスコセッシの想いが溢れる叙事詩

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆80点

マーティン・スコセッシが長年温めていた企画をジェイ・コックスらが脚本化した19世紀中頃のNYを描いた壮大な叙事詩。NYを愛するM・スコセッシの想いが画面いっぱい溢れ出ている。この年のカンヌ映画祭でダイジェスト版をお披露目して大絶賛を浴び、米アカデミー賞に9部門ノミネートされ、大本命と目されながら無冠となった期待外れの作品として記憶に残っている。
改めて観ると、建国間もないアメリカの歴史を南北戦争以外で映像を通して伺い知る貴重な作品である。ドラマとして冗長さはあるものの、いまでも大きな社会問題である人種や宗教の対立を背景に、親子の情愛を切り口とした壮絶な生きざまを表現したとても骨太な作品である。
’46年マンハッタンの南部スラム地区、ファイブ・ポインツで起きたネイティブ・アメリカンズとデッド・ラビッツの抗争。ネイティブアメリカンズはUKから移住してきたWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)で、デッド・ラビッツとはアイルランドから最近渡ってきた移民のグループのひとつでカトリック。リーダー同士の闘いはネイティブのビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・ルイ=ルイス)の勝利となる。父を殺された幼い息子が16年後刑務所からファイブ・ポインツへ戻ってアムステルダム(レオナルド・デカプリオ)と名乗る。
ファイブ・ポインツをすっかり握ったビル。アムステルダムの復讐がなるか?がメインテーマだが2人の間に疑似親子の関係が生まれ葛藤が始まる。さらに同じような境遇の女スリ・ジェニー(キャメロン・ディアス)とのラブ・ロマンスや幼なじみのジョニー(ヘンリー・トーマス)との友情が絡んで悩ましい状況に。
ジェニーのキャラクターが個性溢れた人物として描かれ、演じたD・レイ=ルイスが素晴らしい。シルクハットでカイゼルひげ・左の義眼という風貌で、元ボクサーで肉屋という人物像は実在のモデルがいた。単なる極悪人ではなく、男の誇り・剛さ・思いやりを忘れていない。
デカプリオもディアスも頑張ったがこの個性溢れる人物にさらわれてしまった。
NY発展の歴史に暴力の抗争があったという紛れもない事実。公開直前に9.11事件が発生して公開が1年遅れたのも因縁めいたものを感じる。当時の記念品はこの映画で使われ、9.11で大半が失われてしまった。

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