夕焼け金魚 

不思議な話
小説もどきや日々の出来事
ネタ控えです

晴耕雨読2

2023-05-24 | 創作
本日も雨模様です。
お昼はお蕎麦にしようと思いますが、ある思いを決めて本を読み始めました。
本を読み始めて暫くして、いつものお蕎麦やさんの前にいました。
いつも通りにお店に入って、女将さんと挨拶してお蕎麦を頂きました。
いつもだと、そのまま帰るのですけど、今日はちょっと違います。
「女将さん、いつもおきれいですね」
「ありがとうございます。本のお店なので若いままでいられますから」と言うのです。
「でも、本のお蕎麦でもお腹膨れますから、お代を払わないといけないと思うのです。後で一括と言われても私も歳なので、そろそろ支払っておこうと思うのです」
「ありがとうございのす。でも、毎月お代は頂いているのですよ」
「えっ、毎月支払っていますか」
「ええ、実は私どものような店に来られる方は、皆様へそくりを本の間に挟んでるような方ばかりなのです。金魚さんもそうですよね」
「ええ、そうですけど」
「そこから頂いているのですよ。本の間に挟んだへそくりが見つからないとか、減っていたとか感じたことはありませんか」
「そういえば、本の間に挟んだはずなのに、どうしても見つからなくなったことありますね。奥さんが見つけて取ったのかなと」
「はい、奥さまに見つけていただいて、頂くこともあります。もちろん、私どもがお代を頂いた残金を奥さまに見つけていただくのですけど」
「あぁ、そういえば妻にへそくりを見つけられたと言われたことありますけど、いくらだったとか金額聞きませんよね」
「はい、そうやって、お代を頂いておりますので」
「それで安心しました。でも、そんなの私に話しちゃったら本にへそくりを挟まなくなって困りませんか」
「実は、私達夫婦も歳なのでそろそろお店を仕舞おうと話していて、今日が金魚さんとの最後のお付き合いだったのです」
「えっ、それじゃぁもうここに来ることが出来ないのですか」
「申し訳ございません。長い間ありがとうございました」と女将さんに挨拶されたのです。
私も長い間のお礼を言って、お店を出ました。
お店を出ると、私は自分の部屋の机で寝ていました。
見ると読んでいたはずのお蕎麦屋さんの本が見つかりません。
確かに机の上で読んでいたのですけど、どこにも見当たらなくなっていました。
美味しいお蕎麦屋さんだつたのですけど、もういけないと思うと残念です。


追記 本当は晴耕雨読1だけでおしまいの予定でしたけど、お腹が膨れるのに、支払いしないのはと考えて、本作のような支払い方法にしました。
どうでしようかね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 晴耕雨読1 | トップ | 貴方の為のメイク »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

創作」カテゴリの最新記事