夕焼け金魚 

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お金のなる木が欲しい1

2023-08-03 | 創作
朝コーヒーを飲んでいたときです。
シンクに置いてあった小バエ取りに、珍しく小バエがくっついていたのです。
馬鹿な小バエがいるもんだなと思って見ると、小バエと違っていました。
妖精です。
小さな人型に羽が生えている妖精。
ただ、ちょっと違っているのが頭の禿げたオッサンなんです。
オッサン妖精が小バエ取りの粘着棒に捕まって何か言っているのです。
耳を近づけると、蚊の鳴くような声で「これ、耳に入れて」と言ってるのです。
見ると手にごま粒程の黒い器械を持ってます。
指の先に貰って、耳に入れました。
「助けて下さい」と耳一杯に聞こえました。
「うるさい、もう少し小さな声で言え」
「あっ、すみません。やっと聞こえましたか」
「そのための物だろ、今のごま粒」
「そうですけど、ごま粒じゃないですよ。それは翻訳機兼拡声器。便利でしょ」
「ああ、蚊の鳴く声がこんな大きな声になるのは、凄いね」
「それで、助けて貰えないでしょうか」
「日本じゃ、野生動物を勝手に助けると罰っせられるから、ダメなんだよ」
「そんなこと言わずに、何でも貴方の願い聞きますよ」
「へえ、願い叶えてくれるのか」
「妖精ですから、大抵のことでしたら大丈夫です」
「オッサン妖精というのもいるんだ」
「女の方が有名ですけど、男もいるのです」
「じゃ、叶えてくれたら助けるというのでは」
「すぐは無理なので、助けて頂けたらと言うことで」
「そんなこと言って、助かったら飛んで逃げてゆくのでは」
「そんな事しませんよ。約束破る妖精なんていませんから」
と言うので、助けることにしました。
指で摘まもうとすると「痛い」だの「潰れる」だのうるさいのです。
そこで爪楊枝を近づけて、オッサン妖精が繋がれるようにしてはえ取り棒から助けました。
「ありがとうございます」
「ああ、助けたのだから願い聞いてくれよ」
「はい、どのような願いですか」
「そうだな。お金が良いな。一億円ほどここに積み上げてくれないか」
「そんな、夢のない。私は妖精ですよ。妖精への願い事が、一億円積み上げてくれなんて、夢がない」
「夢がなくても、俺の願い事だから、一億積み上げろよ」と言って少し考えました。
積み上げろと言っては、積み上げただけですぐ消えるかもしれないと思ったのです。
「積み上げるだけじゃなく、俺のものにしろよな」
「貴方のものにしますけど、一億円積み上げろは、紙幣を勝手に作ると偽造罪になりますよ。紙幣は作れても、偽札には間違いありませんから」
「そうなのか、見つからなければ罪に成らないじゃないか」
「妖精が犯罪すると思いますか、もうちょっと考えて下さいよ。ファンタジックな願いでないとダメですから」
なんか面倒くさい妖精助けちゃったな。
「それじゃぁ、金のなる木、お金の成る木を庭に作ってくれ。これだとファンタジックだろう」
「お金の成る木ですか、それならまぁ良いかも」
「ああ、そうだな毎日お金が成る木だといいな」
「実は普通、年に一度なので」
「一度しかダメなのか、せめて毎月とか」
「難しいですけど、なんとか毎月お金の実が成る木ですね」
「ああ、すぐ作って欲しいな」
「すぐはちょっと」
「すぐできないのか」
「はぁ、私ようせいなので、すぐというわけには」
「なんで、妖精だろう。オッサンでも妖精だろう」
「あっ、そっちじゃなくて、私は要請。お願いするだけなので」

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