旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

(34)『必殺技伝授』byワシ。なのじゃ。

2008年12月28日 01時11分47秒 | 3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争
目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から

大阪大会があと1週間にせまった。
八守先輩はチューニングをすっかり福田先輩に任せている。
音出しは棗田先輩だ。

「チハルくんを指導してくれて、本当にありがとう。」

「いや、青山が頑張ったんです。でも、最初はどうなることかと…」

時々このような会話が二人の間で交わされる。ワシは聞かないふりして耳ダンボなのじゃ。
だって自分のいない所で言われる褒め言葉が、一番うれしいじゃないか!

八守先輩がチューニングをすっかり任せたといっても、サボっているわけじゃない。
先輩もいろいろ考えることがあったんだと思う。
ワシら下級生に色々と指導してくれるようになった。

それは有り難いのじゃが、どうも、この先輩の言葉の端々に感じるのは、
福田先輩も実際に教えたのは自分だと思っているようなのじゃ。

以前、福田先輩に聞いた事がある。
「どうして、棗田先輩に教わったんですか?その時のトップは八守先輩でしょう」

「あの人いつも居ないもの。ああ…2、3回教わったことがあるかな。
まあ、当たり前のことしか言われなかったけどね」

ワシは何も知らないフリをする。
この数週間で組織には気配りが大事だというのを学習したのじゃ。

ワシの気配りが効いたのか、八守先輩に江本と一緒に部室へ呼ばれた。

「これから、お前たち2人に歴代のギタートップから受け継がれた必殺技を教える」

「必殺技ですか?」その仰々しい言い方にワシは半信半疑だ。
しかし、ワシら2人だけに教えてくれるというのは、非常に喜ばしい。

「でも、歴代ギタートップなら福田先輩を呼ばなくていいのですか?」

江本がまた、よけいな事を言う。
せっかくワシらだけに教えてくれるんだから、黙って聞いておけばいいのじゃ。

「福田はきっと覚えない」八守先輩は断言した。

「それどころか、この技を封印するかもしれない。
もし、そんなことになったら歴代のトップに申し訳がない」

珍しく八守先輩が人を立てるような言い方をした。
藤本を呼ばなかったのは、福田先輩とは別の意味で覚えないと思ったそうだ。

『必殺、音抜き』「これは、早いパッセージの所に有効な技だ」

他に『秘技、譜面さがし』『最終兵器、チューニング』とかいう技を習った。

なんだか後ろ向きな技だと思ったが、せっかく八守先輩が教えてくれたのだ、
完璧にマスターせねばならん。

これもきっと気配りのお陰なのじゃ。

次回、3章の最終回です。
たぶんそのうち、題名を(八福代理戦争)から別の題に変更すると思うのでお知らせ致します。

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