<オランダ軍 県内で訓練 北部訓練場 米軍の日程に参加>
4月28日付の沖縄タイムスによれば、「米軍の第4海兵連隊とオランダ軍の海兵隊員が3月10日から2週間、北部訓練場でジャングルリーダーコースに参加したことを第3海兵師団の「X」やフェイスブックなどが紹介」しました(写真右は米軍サイトが載せたオランダ兵=5月4日付琉球新報)。
日本と地位協定を結んでいない外国の軍隊が日本で訓練を行うのはもちろん認められていません。しかし自民党政権は「訓練」でなく「視察」ならいいという詭弁で容認してきました。
そこで今回も、「米軍はウェブサイトの説明文のうち「訓練する」の主語に「オランダ海兵隊員」とあったのを削除。オランダ兵参加自体は伏せておらず、訓練目的と取られる表現を避けたかったとみられる」(4日付琉球新報)。見え透いたごまかしです。
沖縄の米軍基地に「第三国」軍が参加したのは、今回のオランダ軍が初めてではありません。表面化したものだけでも以下の通りです(沖縄タイムス、琉球新報の報道から)。
・1983年 嘉手納基地で、弾薬装着競技会に韓国軍が参加
・2015年 キャンプ・シュワブ、ハンセンで、英国海兵隊将校らが訓練に参加
・2017年 キャンプ・シュワブで、フィリピン海兵隊が訓練に参加
東京工業大の川名晋史教授はこう指摘します。
「訓練ではなくて部隊訪問や視察なら許容できるとしたとしても、その法的根拠を示すことは難しい。なのに、SNSで堂々と公開していることに驚く。常態化している一端が垣間見えたのではないか」(4月28日付沖縄タイムス)
防衛ジャーナリストの半田滋氏も、「政府が必要とする手続きを経ることなく不法な段取りで訓練参加した疑いがある。そうだとすれば重大な主権侵害」(4月28日付沖縄タイムスデジタル)だと指摘します。
米軍の傍若無人ぶりは目に余ります。明らかな主権侵害です。
問題は、こうした事態が常態化している元凶は何なのか、どうすればこの主権侵害を食い止めることができるかです。
「訓練」はだめだが「視察」ならいいという詭弁を自民党政権が使い始めたのは、安倍晋三政権からです。上記、2015年の英国兵参加を沖縄タイムスが報じたのが翌16年。追及された安倍政権はつじつま合わせのため答弁書を閣議決定しました(2016年8月8日)。
その閣議決定は、「在日米軍の施設・区域内における米軍の活動に米国以外の外国の軍隊や軍人が参加すること(は)…いかなる態様であっても日米安保条約上禁じられているというものではない。…個々の事案に即して判断されるべきものと考える」というものです。
「(第三国軍が)米軍基地に訓練で参加することは、日米安保条約上認められていない」(川名教授、前掲)にもかかわらず、安保条約は必ずしも禁じていない、個々のケースで判断すべきだ、「訓練」でなければいい、としたのが安倍政権の閣議決定です。その「個々の事案」の説明・判断は安保条約(地位協定)上、米軍まかせなのですから、結局、米軍のやりたい放題です。
問題の根源は明らかです。日米安保条約がある限りこうした主権侵害、米軍の勝手放題はなくなりません。「安保条約違反が常態化している」と嘆くだけでは解決しません。元凶の安保条約を廃棄する以外にないのです。
安保条約第10条は、「いずれの締約国も、この条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、そのような通告が行われた後一年で終了する」と明記しています。