ワニと読むミステリ（事件現場は花ざかり ）

読むと、埋めても永久封印は困難。
　
（ローズマリー・ハリス著）
　園芸家が主人公のミステリは初めてです。食べ物関係の主人公が多かったからここらで違った分野の探偵役を配したのかもしれません。
　ポーラ・ホリデーは、ドキュメンタリー制作者でしたが、会社が国際的なメディア・コングロマリットに買収されたのをきっかけに、人生の新しい章を開くことにし、コネチカット州スプリングフィールドに“ＰＨファクター・ガーデン・ソルーションズ”という園芸の会社を作って園芸家として仕事を始めます。まだ駆け出しなのでなかなか仕事は多くはありませんが、このたび地元の名家の女主人が亡くなり、その庭園を修復するという仕事を受注することに成功します。張り切ってまず現状調査をするポーラは、地面を掘り返していて大きな箱を掘り出してしまいます。昔の宝石かなにか入っているかと思いきや、そこにはミイラ化した赤ちゃんの死体が。
　もう年代の特定も難しいくらいの古い死体ですが、この発見によって未解決になっている失踪事件などが新たに捜査の対象になってきます。
　と、そこでまた街の嫌われものが殺されて。
　ポーラの周辺でも、住居侵入やら不穏な空気が。
　スプリングフィールドという小さな街の雰囲気がなかなか良く、また登場人物も個性があって、楽しく読み進めます。ポーラの行きつけのダイナーは、ダイエット・フードなんか蹴散らす勢いで、ぜひ行ってみたいところのリストに加えたいです。
　ポーラの家事手伝いを無料でやる代わりにポーラの家で勉強しているアンナや、その友人の庭師のメキシコ人ヒューゴ。彼は英語が流暢にしゃべれることができるのを隠しています。そのまた友人のフェリクスは、ヒューゴの仕事を手伝っていますが、その正体はまったく見かけとは違っています。
　大きな庭園のなかの迷路や、温室、ハーブガーデンなど、園芸のウンチクもいろいろあって、楽しいですね。

　ただ、字の間違い、表記の間違いなど多数あり、これはいただけません。校正をもっと慎重にやってもらいたい。

主人公：　ポーラ・ホリデー（園芸家）
場所： 　ＵＳＡ、コネチカット州スプリングフィールド
グルメ：　なし
動物：　　なし
ユーモア：　中

事件現場は花ざかり (イソラ文庫) ローズマリー ハリス,Rosemary Harris 早川書房 園芸の好きな方はより楽しめます