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ワニと読むミステリ(ボトムズ)

読むと、川の流れと森のそよぎが懐かしくなる、たとえ知らなくても。

(ジョー・R・ランズデール著)
 これはハップ&レナードのシリーズではありません。
 ハップたちの超下品で、悪い言葉がとぎれることなく続くのとは違い、女性の前では決して悪い言葉を使ってはいけないし、すぐに顔を赤らめてしまうような1930年代のお話です。
 みんな慎み深くてセックスがらみの言葉なんてとても口にだせないんですよ。ハップとレナードがこの時代にタイムスリップしたら、彼らの言葉すべてが発禁もの。
 まだ少年ですが、そろそろ大人の世界もわかりかけてくる11歳のハリーが体験したある夏の連続殺人事件です。
暑い東テキサスの夏。
ハリーは妹のトムと、傷を負った愛犬トビーを抱えて森に行き、トビーの好きなリス狩りに夢中になるうちに、気がついたら日が暮れて、道もわからなくなっていました。
まだ川が流れ、森も深く、家から外に出たら自然が広がるような人間の影響がほとんどない土地でのできごとです。
ハリーとトムは、森から抜け出そうとして、伝説の「ゴート・マン」に出会ってしまいます。ゴート・マンは、道のあっち側には行けないとされているので、2人は必死で川を渡り、川岸を滑り落ちてしまったりして逃げようとします。その川岸でハリーが発見したものは、体中を切り刻まれた黒人女性の死体。
ハリーの父ジェイコブは理髪店を経営しながら地元の治安官も兼ねています。そのころとしては考え方がリベラルだった父親は、被害者が黒人でも事件を真剣に受け止めて、なんとかこの殺人事件を解決しようとします。
が、人種偏見の強い土地柄なので、被害者が黒人女性だと、誰も事件解決に力を貸そうとはしません。逆に、事件解決に努力するジェイコブの元へ、KKKがやってきて威嚇する始末です。
1930年代。そういう時代だったのですね。
暑い夏と連続殺人事件。
ハリーは父を助けるため、おばあちゃんとともになんとか真相を探ろうとします。
このおばあちゃんが良い味です。ジャネット・イヴァノヴィッチの作品にでてくるメイザおばあちゃんに通じるものがありますよ。このころの女性は、車の運転やタバコは慎むのが当たり前だったのですが、両方とも無視してます。銃も扱います。
ゴート・マンはいったいなんだったのか?
人々の生活や森や川について語られるのに誘われて、いつのまにか東テキサスの暑い夏、強い日差しの中にいるような気持ちになってきます。汗をかくかもしれませんよ。

主人公: ハリー(11歳の少年) 
Male
場所:  USA、東テキサス
グルメ: なし
動物:  イヌ:トビー
ユーモア: 小



ボトムズ

早川書房

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