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永遠の0

2014年01月08日 | あ行 日本映画
映画ばっかり見てる自分ですが、一応本もそれなりに読んでおります。もちろん、百田さんの本も多数読んでいますが、なぜかこれだけ読んでなかった。なもんで、自分的には珍しく、まっさらな感じで見ることができたのが、これほどガツンと来るとは思いませんでした。いや、活字に勝るものはない!と、いつも思っておりますが、やけに新鮮だったのが、功を奏した感ありです。

司法試験を目指してる今どきの青年・健太郎@春馬君、祖母の死をきっかけに、自分のルーツを探ることとなった。かわいがってくれた祖父は、実の祖父ではなく、祖母にはもともと結婚していた夫がいて、その孫にあたるのが自分。実の祖父・宮部久蔵とはいったいどんな人間だったのか?特攻隊員だった祖父のことを調べていくうちに、宮部の生き様が浮き彫りにされていく。。。

ざっくりいえば話はこんなもんだが、そこには見事にさまざまなことが包含され、描かれていた。百田さんの話の中に、悪人はほぼ出てこない。敵すらも愛すべき存在に見えてくる。蛇蝎のごとくな嫌な奴でも、そうならざる得なかった思いやりみたいなもんが、これもでもか!と含まれている。

それらの人たちは、皆懸命に生きている。何が正義なのか不確かな中で、まず人としてまっすぐに生きることを貫こうとしている姿だと思う。それは時として、国家に殉ずることもあれば、上官に命令に背いたり、皆が右を向いてるときには、卑劣な奴・・・と思われることもある行動だ。でも、己には背いていない。何ににも揺るがない正義ってものには、恥じない生き方を貫いている。

だれだって、そう生きたいはずだ。でも、なぜにまっすぐに生きられないのだろうか。お天道様に恥じない生き方がどうして難しくなってしまうのか・・・・。宮部のような生き方が希少で、かっこいい!と思われるようじゃダメじゃないか。

戦争という異常な状態の中、人はどうすべきなのか。敵と戦い、敵をやっつけ、自分の命を守る。その基本中の基本を行ってきた宮部は、生き残り、部下にもそれを叩き込んだ。しかし、自分の命を守る!という最大の命題が不可能になってしまったのが、戦争が導いた答えだった。命を守らずして、何が人間だ・・・。命を粗末にする戦争をなぜに人間は行ってしまうか・・・?

人間の人間たるゆえんであり、最大の矛盾であり、人間の愚かしい姿だ。

その愚かしさをその目で見てきた人々の心の吐露を聞かずしてどうする。今を生きる私たちのやらなければならないことは、これだ。竹内さん、田中泯さん、そして夏八木さん。。。。役を超えて、ずしんと響きました。夏八木さんの遺言のようにも聞こえました。この言聞かずにどうします。この映画の価値はそこだと思います。


どこかで戦争を賛美しているとの声も聞きましたが、それもありでしょう。世の中にはいろんな人がいますから、いくらこっちが戦争はやってはならない!と言っても、いや、すべきだ!という人がいます。一つのものを見ても、いろんな捉え方があります。本当に人それぞれですから。

わたしは、戦争という異常な時代の中で、人として生き抜いたごく普通の一人の男の姿を見た気がいたしました。その生き方が困難ないばらな道になるのも、皆が容易にすすめる大きな道となるのも人次第です。


んな小難しいことは抜きに、やっぱうちの准ちゃんです!ははははは、目にいい。最高っす。あぁぁぁ、素敵です。音楽もお見事。年末に大事なものを見ました。ありがとうございました。

◎◎◎◎○●

「永遠の0」

監督 山崎貴
原作 百田尚樹
音楽 佐藤直紀
出演 岡田准一 三浦春馬 井上真央 濱田岳 新井浩文  


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読んでから観るか、観てから読むか (西京極 紫)
2014-01-11 22:53:07
懐かしいキャッチコピー(苦笑)

この『永遠の0』に関して云えば、
映画を観てから原作小説を読んだ方が楽しめる気がします。
ですからsakuraiさん大正解です。

2代目ひらパー兄さん・岡田クンがんばってましたね!
今年最初の眼福 (早百合)
2014-01-13 08:21:44
3年前のMYベスト1でしたね。
映画化になり、絶対見に行こうとおもってました。
最初のゼロ戦の飛行映像から目が釘付け!
レーダーにかからないようにずっと低空飛行でいって
私が好きな、特攻するラストとか、ヤクザの妾にされていた奥さんを
あの部下が刀を抜いて助けに来てくれて、財布を投げて「生きろ!」と言って
来てくれた部分もちゃんと入っていて満足。
そして岡田君、もう素敵素敵!
ところで甥っ子が出演していてエンドロールに「今田真二」とでてました。
一族初の役者!応援お願いします
>西京極 紫さま (sakurai)
2014-01-13 16:44:30
これって、結構なジレンマなんですよね。
まさか映画になるとは思わず、ごく普通に読んでて失敗・・・もあれば、映画になるからわらわら読むとか。
今回ばかりは、とっても新鮮な気持ちで見ることができました。
眼福もあったし、話にも入り込めたし、いやいや年末にいい締めの一本でした。
>早百合さま (sakurai)
2014-01-13 16:47:47
お世話様です。
今年もよろしくお願いいたします。

普通、読んでますよね。なぜか読んで中ったあたし。
それが功を奏した感、たっぷりです。
奥さんは、妾になっていたのですか。
いまから読もうと思ってますんで、またまたウルウルしながら読みたいと思ってます。

おぉぉ!俳優さんですか。
すごい!
エンドロールから、目が離せませんが、最初にわかんないとね。
今度出るときは、どうぞ先にお知らせください。
チェックします。
そしたらば (ナドレック)
2014-01-14 01:29:39
『プレーンズ』も是非ご覧ください。
けっこう見応えあります。
バランスのよい反戦 (ノルウェーまだ~む)
2014-01-14 15:37:50
sakuraiさん☆
特攻美化とも違う、反戦と精鋭たちへの畏敬の念がバランスよく描かれていたように思います。
岡田君、すばらしかったですね。
>ナドレックさま (sakurai)
2014-01-16 11:17:44
「プレーンズ」は、3Dと子供がいる期間を避けてるうちに、どんどんと選択肢が狭まってきて、やばいです。
早急に参ります。
>ノルウェーまだ~むさま (sakurai)
2014-01-16 11:20:00
ご無沙汰してます。
これを戦争美化だ!という視点には、賛同できないです。
戦争は悲劇と不幸をもたらすもんだ!という弁がしっかと伝わったと思いますよ。
はい、准ちゃん、最高!
こんにちは (はらやん)
2014-02-08 08:01:08
sakuraiさん、こんにちは!

戦争の物語というのは描いただけでネガティブに受け取られることがありますよね。
描かれる部分としては日本人として醜いところがあったりするわけでその気分はわかるところもあります。
ただそういう時代の雰囲気とか良いところも悪いところももう体験することもできないわけですから、映画という手段でもそれについて知ることは大事かなと思います。
そういう知識や感覚がないなかでの戦争云々の議論もちょっと頭でっかちになりそうな感じもするんですよね。
>はらやんさま (sakurai)
2014-02-08 13:05:25
本当に戦争ものと言うのは、難しいですよね。
どう描いても、どっちの側からもいろいろと言われる。
特に最近の作者さんは、なんだか変なとらえ方をされてますが、その真意を表すのは難しい。
なかなかあくまで中立と言うのを描くのは不可能ですよね。
そんな難しいの考えを抜きにして、これは素直に、よく出来た物語であると思いますです。
なんとかして、伝えるのが自分の役割と思ってる自分です。

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