迷宮映画館

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日本の青空

2007年09月06日 | な行 日本映画
どういう風に表現したらいいのか、とっても難しい映画で、どうしましょ。映画が難解なのではなく、映画的な立ち位置というか、中身というか、何というか・・・。

なぜに日本が戦争に突入したのか?そのいきさつ、きっかけ、軍部の思惑、経過、結果・・・・これを考察するには、あたしは明治維新から始めないといけないと思うのだが、そんな悠長なことはできないので、第一次世界大戦後の世界的な不況を自己の力で乗り切れるだけの経済力を持っていなかった日本が、やむにやまれずとった自爆の道。これが戦争だ。

しかし、それだけで戦争の道には行かない。その精神的支柱として大きく影響していたのは大日本帝国憲法に守られた天皇の存在。神となってしまった天皇は、大いに利用されてしまった。

いったん、戦争に突入してしまえば引き下がるわけにはいかない。それが戦争というもんだ。一億総火の玉の中で、逆に立ち向かっていくのはどんな精神力であったのか。この映画の主人公の鈴木安蔵氏というのは、そういう人であった。

ちょっと前まで皆が体験してた悲惨そのものの戦争。誰だって、もう二度とこんなことは起こしたくない。起こすべきではない!と願うエネルギーは、今の我々に、容易に想像ができるようなものではない。

ということで、戦争へ至る道から、負けへのまっしぐらの坂道、ポツダム宣言受諾から、憲法改正の流れ、松本案vsGHQ案と、社会の先生が【これ知らなかったら先生廃業だろう】というような流れを、復習のようにわかりやすく見せてくれました。まあ、鈴木安蔵さんについて、これほどの人だったということは恥ずかしながら、よー知りませんでした。

ということで、2時間改めて復習に行ってきました。映画的な期待は、はなっから何も持ち合わせていません。映画だと思ってみたら、きついです。戦前から戦後の大事な部分の昭和史を2時間で勉強できると思って見てくださいませ。

そして、あえてこういう映画を作らなければならない今の世の中の危なさです。憲法がどういう課程で作られたのかは、たぶん高校の政治経済あたりで習得したはずです。様々な私案が作成され、それがGHQ案になった、なんてのは当然の周知のこと。

今の状況があっぶねえなあ、と思いながら、何もしないのではなく、きちんとこういう映画を作ったということ自体を評価したいと思います。間違ってもエンタメ映画見に行こうなどというモードじゃなく、まじめな映画を見に行くんだというモードに切り替えて行ってくださいませね。


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