サイババが帰って来るよ

Count down to the Golden age

神様との約束エピソード❷

2019-03-20 04:00:24 | 日記

ポニョ:今日も神様との約束シリーズのエピソード❷をお送りします。ハッピーリーディング!


プタパルティへ走る車の中から見ると、石でできた墓標のような車止めが、ずっと続いていた。
世潮は母親に、「見てご覧ん。これらは、自分たちの墓石や。こんだけ沢山生まれ変わってやっと神さんのところへ行けるんや。」と言うと、東洋子は「本当や。」と言って泣きはじめた。

ようやく、アシュラムに着いた。世潮は、タクシーから飛び降りると荷物も放り投げて、サイババさんがいるマンディールに向かって走って行った。
ゲートでセヴァダル(ボランティア)に制止された。
世潮は出来るだけサイババさんの近くまで行き、サイババさんのお住まいが見えるところで、五体投地をしてサイババさんに挨拶をした。

「色々と回り道をしてしまいましたが、この 世潮 、あなたの御足の元にやっとたどり着くことが出来ました。」

「あなたとの、今世での約束を果たす為に来ました。」

「どうぞ、よろしく、この不肖の息子を使ってやってください。」

「遅くなり、すみません。スワミ。」と言って大声で泣いた。

スワミとは、先生の意味でグル(先生)であるサイババさんのことを指す。

案内された宿泊施設は倉庫だった。母と息子と三人で薄い綿のマットレスの上に蚊帳を吊るして、横になった。
世潮は、サイババさんがすぐそこにおられると思うと、興奮して寝ることは出来なかった。
夢がかなった。あとは、全てをサイババさんに委ねるだけの人生で良いのだ。と思った。
重い荷物を下ろして、軽くなった気分だった。

夢を見た。ダルシャンの夢だった。サイババさんが、女性の席の方から時計と反対周りにダルシャンを与えておられた。

緑色のサリーを着たインド人の女性が必死になって、サイババさんに手紙を渡そうと手を伸ばしていた。
自分は、……!!!なんと、サイババさんの目の中にいた。
まつ毛が、目の前で大きく揺れていた。そしてあの、緑のサリーの婦人から手紙を取った。
目の中にいる自分は、それらのシーンをマジンガーZであるサイババさんを目の中でコントロールしているような気持ちで見ていた。

ほとんど寝ていなかったのに、とても爽快な気分だった。
三人でダルシャンに出かけて、息子と男側のグループに並んだ。
一番前の人がクジを引き、一番のクジを引いた列から順番にダルシャングランドに入って行けるのだ。
世潮は、マンディールのサイババがおられる部屋の方を注視していた。
サイババさんしか興味無かった。

すると、サイババさんがいるマンディールの戸が開いて年を召したインド人が出て来た。
ゆっくりとした足取りで、何千人もいる群衆をかき分けるようにしてヨシオの方へ真っ直ぐ歩を進めてきた。そして、世潮の前に立ち止まった。

世潮が、この人は誰だろうか。どうして、サイババさんの部屋から出て来て、自分の前に立っているんだろう。と訝しく思ってその老人を見上げていた。

すると、老人は「お前は何と、幸運な奴なんだろう。」と言った。

そして、世潮の肩をポンポンと叩きながら、「ラッキーな奴じゃ。ラッキーな奴じゃ。」と言いながら、列の前の方に歩いて行った。

世潮は、インドでサイババさん以外の知り合いはいないはずなんだけれど、一体誰だろう。と思った。その老人は、世潮の並んでいる列を指差し、ボランティアの人と話していた。

すると、突然ボランティアの人が世潮の並んでいる列の人だけダルシャングランドに入りなさい。という指示を出した。
世潮は、老人のことなどすっかり忘れて、大急ぎで入って行った。
もちろん、息子と最前列に陣取った。

やがて、生身のサイババさんが出て来られた。思ったより、とても小柄だった。
「あの写真で見た御顔や、嬉しい。こんなに真近くでみれる。なんと幸運な。」と感動していた。

しかし、そのあとサイババさんが、出て来られるや否や、真っ直ぐヨシオに向かって歩いて来られるのを見て、世潮はパニックになってしまった。
それも、じっと世潮の目を見据えながら、直線的にヨシオに向かって歩いて来られた。
そして、世潮の目の前で立ち止まられた。もうこの時、ヨシオの意識は興奮の最高潮に達していた。

周りの人達は、サイババさんがこのボーっとしている男の前に立たれているのを見て、世潮に早く御足を触れなさいと、背中を押した。
世潮にとっては初めてのダルシャンで、御足を触れることなど何も知らなかった。でも、言われるままに御足に触れた。
サイババさんは、世潮が人から託された50通ほどの手紙の束を、手を差し出して掴み取られ、ゆっくりと歩き去られた。
ダルシャンの後、魂が抜けたような不思議な感じがしばらく消えなかった。
ただ、サイババさんの存在感に圧倒されて、何も出来なかったし、ご挨拶も出来なかった。

二回目のダルシャンは、少し余裕が出来た。サイババさんが近くに来られた時、きちんと挨拶が出来た。
「スワミ、遅くなりましたが、あなたの召使がやって来ました。どうか仕事を与えてやってください。」と、サイババさんの顔を見て言った。

サイババさんは、満面に笑みを浮かべながらヨシオの顔を見た。すごいパワーだった。
世潮は、その笑顔をまともに見れないぐらいのパワーを感じて、涙が溢れ出て、サイババさんの顔がゆがんで見えた。

その後も、毎日のようにサイババさんとコミュニケーションが取れた。
例えば、サイババさんのお顔をよく見れるようにメガネをして行くと、サイババさんは指で目の前にサークルを作りメガネのようにして、「メガネをするなんて知らなかった。しなくてもよい。」とジェスチャーをされた。それ以来メガネをかけるのを止めた。

また、白いズボンはすぐ汚れるので、黒っぽいのをはいてダルシャンに出ると、ズボンを指差して「だめだめ。」と指で合図された。それ以来、そのズボンを二度とはかなかった。

サイババさんは、「真の信者の印は、私がいちいち口で言わなくても、指で合図するだけで指示に従う。」と言われた。

その日は、ケララ州のお祭りであるオーナム祭の日だった。
多くの信者たちが、ケララ州からバスに乗って来ていた。どこを見ても人の海だった。
プーナチャンドラホールで、ケララ州の出し物があったが、ヨシオはホールに入る気がしなかった。何万人もの人がすし詰めに座っていた。人息れと蒸し暑さで、息が詰まりそうだった。
それで、ホールを支えている柱によじ登って、外から見ることにした。
そこからだと、人混みより高い位置からよく見ることが出来た。舞台までほんの二十メートルぐらいだし、座っておられるサイババさんの後ろ姿も良く見えた。
ステージでの催し物には何の興味もなかった。サイババさんだけを見ていた。
しかしそれも、苦しくなって来た。柱にしがみついているのがもう限界だった。手がしびれて来た。もう、宿舎に戻ろうと思った。
しかし、その日はサイババさんの後ろ姿しか見てなかったので、一度だけでいいからお顔を拝見したいと思い、サイババさんにお願いした。

「スワミ。お願いがあります。もうここにしがみついているのが、限界です。もう、宿舎に戻ろうと思っています。」

「あなたは神様なので、もう私がお願いしたいことを知っておられると思いますが、私がここから出て行く前に、ぜひ一度だけで良いので、お顔を拝見させてくれませんでしょうか?」と頼んだ。

すると、その瞬間サイババさんは大きく回転椅子を回して、後ろを向き、自分の目を見てから五秒ほどして、また、前を向かれた。
世潮はとても驚いたが、サイババさんは後ろを振り返り、自分の目を見て下さったんだけれども、自分の願いが届いたからそうされたのでは無く、ただの偶然だと思った。
というのも、何万人もの人がいるのに自分の願いだけを聞き遂げるために、わざわざ後ろを振り返られる訳は無い。と思った。
でも、ひょっとしてまさか、自分の願いが届いたのかもしれない。そんな事は考えられないが、もしそうなら…と思ってもう一度試して見ることにした。
ステージ上では、ケララ州の若者たちによるダンスの出し物が、演じられていた。

「スワミ。今のは偶然だったのでしょうか。もしそうでないとしたら、御手数をお掛けして申し訳ありませんが、もう一度私の方を見てもらえませんでしょうか?」

世潮は、こんなむちゃな願いが叶うわけは無いとたかをくくっていた。だが、次の瞬間、サイババさんは再び回転椅子を回して後ろを振り返り、世潮の目を怒った顔をしながら鋭く見つめた。

今回は、五秒程度では無かった。世潮は、とても驚いて「ごめんなさい。もう充分です。あなたを試して悪かったです。すみませんでした。」

「せっかく、出し物を見ておられるのに邪魔をしてごめんなさい。」

「もう充分ですから、どうぞ前を見て下さい。」とお願いしたが、サイババさんはずっと世潮の目を見据えていた。

世潮の手から力が抜けて、柱から自分が滑り落ちて行くのが分かった。それでもまだ、サイババさんは下にずり落ちて行く自分を見つめていた。

無性に泣けてきた。ショックで肩を落とし、夢遊病者のように、ブツブツ独り言を言いながら宿舎に戻った。
母親は、「疲れたやろ。人が多いから、今日はここでゆっくりしいや。と言ったのに、言う事を聞けへんからや。」と、咎めた。

世潮は、何も返事をせず。ただ、母に自分の人生に大変なことが起きている。と伝えた。
母が理由を聞くと、世潮は「自分の、心の中を完ぺきに読めるねん。あのサイババさんは。もう下手な事も、心の中でさえ思うことが出来なくなった。」

「良い事しか、思ったらあかん様になったんや。今日、この日から。それが、分かったんや。今しがた。」
「自分の人生が、自分だけのもんや無い。神さんも一緒やというのがよう分かった。」

「神さんと一緒に生きやなあかんようになってしもたんや。」

「心の中だけは誰にも邪魔されない自分だけの聖域や、と思っていたけれど、そうやなかったんや。」

「自分が、今までの自分と違うようになる。自分が、変わってしまう。大きな事件や。自分にとっては。」

「頭では分かっていたつもりやったけれど、今日の今、本当に腹の底から分かった。」

「サイババさんは、ほんまもんの神さんや。凄い神さんや。サイババさんの言うておられる事、一字一句全部、召使のように受け入れて、自分のものにせんとあかんのや。」

「でも、こんなすごい神さんが、自分の神さんやと思っただけで、嬉しくなる。」と言った。

ケララのオーナム祭も終わり、徐々に人も少なくなり、以前のような静かなアシュラムに戻っていった。
そんなある日、東洋子はダルシャンから興奮して戻って来た。
「世潮。サイババさんがあんたをインタビュールームに呼んだ時、ほっぺたをパチンするつもりやで。」と言った。
東洋子が、ダルシャンラインに座っていると、サイババさんが東洋子の前で止まられて小さい子を手招きして呼ばれた。

そして、その子に「お前はやんちゃな子だ。」と言われてほっぺたを軽くパチンと叩かれた。
そして、そのあと私の方に来て、「あなたの息子もやんちゃだったからこのように一発叩いておいくよ。」と言われたんや。
それから、私の方を向いてウインクされたんやで。

世潮は、オーストラリアに帰りたくなって来た。

ちょうどその頃、世潮達は知り合いのオーストラリア人からグループをつくるので参加しないかと誘われた。全部で二十人近くいた。一日一回皆で集まり、交流しバジャンを歌った。
ある人が、どこかの国のグループがインタビューをもらい、サイババさんが将来の世界地図を出された話をしていた。その地図によると、地軸が傾くことによって半分近くの大陸や陸地が大津波で消えていたらしい。
大津波が中国の西安付近まで達するという。こんな人から見たら大災害でも神の恩寵で、モンゴルをはじめ、まだたくさん陸地を残す、という話しだった。
神の目から見ると、小さな災害らしい。でも、何も心配しなくても神が全ての信者の面倒を見てくれるとの事だった。
このような噂話が、人々の間で持ちきりだった。世潮も、もしその話が本当なら自分もその地図を見て見たいものだと思った。というのも、自分もその事を信じているからだ。
もしそれが本当の話なら、大本教の出口王仁三郎はその時期を知らなかっただけで、やろうとしたことは正しかった。と思った。

というのも、彼は大峠(天変地異)の後、モンゴルが将来、霊的な中心地になると信じてそこに行き、理想郷をつくろうとしたのだ。日本人もたくさんそこへ移ると予言していた。
また、スリランカのグループがインタビューに呼ばれ、皆んな泣きながら出てきたのでどうしたのかと聞くと、グループの中にいた一人の青年の前世での名前は、ナレンと言い別名ヴィヴェカナンダという聖者だったと言う。
そして、今生では今のサイババさんが亡くなった後、次の三人目のサイババさんであるプレマババが二十歳になるまでの間、世界の指導者となる。と宣言されたのだ。

そして、サイババさんが、自分の髪の毛をわしづかみにされて抜き、この青年にお守りとしてあげられたのだった。
普通の青年だと思っていたのが、そんなに大事な仕事を約束されて、グループの人達は感激してインタビュールームから出て来たのだった。

このサッチャサイの身体は96才まで生き、その後一年間の空白期間を経てプレマサイが人の身体を取り、75年間君臨します。Anandadai p,65
プレマサイは3人のババの中でも、大変他と違って見えるであろう。
そしてプレマサイ降臨の時までに、世界は今より良好な状態になっており、プレマサイは最初の20年間、誰にも名を明かさず、あごひげをつけた状態で動き回るだろう。P57神の化身SS Baba

また、アメリカから来たグループの中の一人の青年が、サイババさんを見る度に罵っていて、皆のひんしゅくを買っていたのに、インタビューに呼ばれて以来、借りてきた猫のように静かになった。世潮は何がインタビュールームで起こったのか尋ねたところ、この青年の母親がガンと宣告されたが、サイババさんの帰依者だったのでインドに来てサイババに会って病気の事を言ったところ、サイババさんは、卵の形をしたリンガム石を物質化させ、その夫人にこれを寝る前に水に浸し、あくる日の朝にその水を飲めば良い、と言われた。
家族が反対する中、全ての治療を拒否してその水だけを飲み続けた。
しかしその甲斐もなく、亡くなってしまったのだった。
母親思いの息子は、「母親が亡くなったのはサイババさんのせいだ。」と言って怒りをぶつけにわざわざアメリカから来たのだった。
インタビュールームで、サイババさんはその若者を奥のカーテンで仕切ったプライベートインタビュールームに招き入れると、そこに亡くなったはずの母親が立っていた。
そして息子に、「私のことを思ってくれるのは有難いのだけれど、サイババさんから頂いたリンガム水のおかげで、痛みもなく身体を離れることができ、こうしてサイババさんのお側で過ごさせて貰っています。」
「息子よ。どうか、私のこの平安の邪魔をしないで欲しい。」と言ったという。

いつも賑やかなイタリアから来たグループは、インタビュールームから大笑いしながら出て来た。
彼らの内の、一人の婦人がサイババさんにチャレンジをして、「あなたが、本当に神様なんだったら、どうして指輪やネックレスのようなものばかり出して、生き物を出さないのですか。」

「生き物は神の創造物だから、あなたには簡単なはずでしょう。」と言った。

サイババさんは両手を合わせてから、ゆっくりと離していくと両手の真ん中から猿が現れた。

そして、小さなインタビュールームの中を飛び回った。
その婦人は、キャーキャーと猿のように跳ねて叫びまくった。

サイババさんは、その夫人に「生き物を出すぐらい私にとっては簡単なことですが、こういう様に収拾がつかなくなるので、出さない様にしているのです。」

「ちょうどあなたは、三本バナナを持っているのでそれをエサにして猿を捕まえましょう。」

その婦人は、「私は、バナナなんて持っていません。」と言うと。
サイババさんは、
「じゃあ、あなたのバッグに入っているフルーツは何ですか?」と聞かれた。

「婦人は、そんなもの知りません。」と言って、バッグを開けると三本のバナナが出て来た。

サイババさんはそれをエサにして、猿を片手で捕まえ、もう一方の手で上から猿を押さえるようにすると、猿は消えてしまった。
アシュラムの売店は忙しい。マンゴーアイスクリームがとても人気があるし、フレッシュジュースもとても美味しい。
また、イタリア人のボランティアが作っているピザは、本場の味だった。
それら全てが、ヴェジタリアンでしかも、考えられないぐらい安い値段で買えた。

ある日、息子と二人でいつものように、売店でフレッシュジュースを注文し、コップを口につけようとした時、ポチャンという音がした。
どこからそんな音がしたのかと思って周りを見回すと、猿が木の上から真下にいるヨシオを見下ろしていた。
そっと、コップの中を覗くと、猿の糞が浮かんでいた。
百発百中だった。
アシュラムの中は、とにかく野良犬が多くていつも残飯をあさりにウロウロしていた。
犬猿の仲、と言われる通り猿とも時々もめていた。
どうしてこんなに、野良犬が多いのか、サイババさんに聞いた人がいた。

「それは、彼らの前世はナチスのように人として生きる道を誤った者達です。」

「私は、彼らをここで面倒見ているのです。」と言われた。


シンガポールから来た信者は、次のような興味ある話しを紹介してくれた。
友人が、インドにいる聖者に会いに行くので仕方なく一緒について来た人が、友人と共にインタビューに呼ばれた。
サイババは、聖者と聞いていたので、自分の前世について多分知っているだろうと思い、尋ねたところサイババは知らない方が良い。と言った。
それでも、しつこく聞くと、サイババは「明日、お前は前世での息子と嫁に会えるでしょう。」

「そして、前世でお前を毒殺した嫁の愛人にも会えるでしょう。その者は、今世では、ラジャという名前で呼ばれています。」と言われた。

インタビューにも呼んでもらったし、あくる日にバンガロールへ行った。シンガポールに帰るまでに少しお土産でも買おうと、オートリキショウに乗って買い物に出かけた。
交通事故に巻き込まれて、リキショウは横転した。
幸い大きなけがではなかったが、近所の婦人が家で傷口を洗い介抱してくれた。
見ると、部屋の隅に大きな男が、子供のように何かに耽って遊んでいた。
明らかに精神に異常をきたしているようだった。

婦人は、訝しげにその男を見ている自分に気がついて、「そうなんです。子供の頃、毒をもられた杯の残りを飲み干して、廃人になってしまったのです。」と言った。

もう、これ以上聞かなくても十分だった。
自分の前世の息子と嫁だった。
事故のショックよりも前世の嫁と息子に会えた、しかも自分の息子がこんな、悲劇的な状態になっているのが分かり、それが辛くてとぼとぼと肩を落として裏道を歩いていた。
確かに、サイババさんの言う通り自分の前世なんて聞かなかった方が良かった。と後悔した。
すると、前の方から子供達の一団が泣きながら走って来た。

子供達は、口々に飼い主はいないが自分達のペットだった犬が車にはねられて死んだ。と犬の亡骸を抱えて走りながら泣いていた。「ラジャ、ラジャ、」と言って泣いていた。


人が動物に生まれ変わる可能性はあります。
しかしまれにしかそういうことが起こらないのです。
徳の欠如による人の生まれ変わりの下降現象は、普通レベルの低い人間となって生まれ変わります。
しかし、実はどの生まれ変わりの生においても、あなたはアートマンとして存在しているのです。
My Baba &Ip188

少し気持ちに余裕が出来たので、母、東洋子と息子を連れてアシュラムの周辺を散策に出かけた。少し歩くと大きな広場に出た。

ヒルビュースタジアムというところだった。
ここなら、何十万人もの人を収容出来るね。と東洋子と話していた。

ふと丘の上を見ると丘の頂上に素晴らしい寺院のような建物があった。

世潮はその建物に見とれていた。世潮はこの辺りの丘を通る霊気は普通じゃない。
凄い霊力がこの辺りの建物に向かって集中していると感じた。

そして、この辺りに建てられる建物が、将来本当のサイババさんのお住まいになると思うよ、と東洋子に言って丘を三人で登り始めた。

少し急な坂だったがとても見晴らしのいいところだった。爽やかな風がうっすらと汗をかいた頬を吹き抜けて行った。丘の頂上にある建物に辿り着き、それを見上げた。思ったより大きな建物だった。世潮は、その建物の荘厳さに圧倒されて言葉が出て来なかった。
入り口の戸は開いていた。誰もいなかった。三人で中に入って行った。
まるでモスクのような建物だった。あちこちの部屋を覗いたり廊下を行ったり来たりして十分に探索した頃、年老いたインド人がやって来て、世潮にこの建物は新しく出来たばかりで大学の本部になると教えられた。
世潮はそれを微笑みながら黙って聞いていた。
三人で建物から出て岩の上に腰を下ろし、アシュラムや、その向こうにあるプッタパルティの村や丘を見ていた。世潮は時が来ればここは世界の聖地の中心地になると思った。そしてこの辺りの建物は聖地の中の聖地になるだろう。なんという幸運な事だろう。その時、誰もこの建物に近づくことさえ出来ないだろう、と思った。

パースのサイセンターから頼まれて五百枚ほどサイババさんの写真をバジャンの本の裏表紙に使うので、買ってきて欲しいと言われたので店に置いてあった全ての写真を買った。しかし、結構な量と重さになったので郵送することにした。
アシュラムの外に郵便局があるというので行き、写真を持って係りの人に説明すると、近くの洋装屋さんに行って布で包んで縫ってもらわなくてはならないと言われた。
その係りの人は親切に洋装屋さんまで案内してくれて、郵送するのを手伝ってくれた。

そして、その係りの人に礼を言って郵便局から出ようとすると、「あの~私はサイババさんの実の弟なんです。良ければ、私の家に来ませんか?」
と言って家に招待された。

そう言えば、背丈はサイババさんより少し低いけれど、顔や声質、笑った顔などは本当にそっくりだった。
ババの御兄弟達。左から二人目がババで、長男のシェシャマさんに抱かれているのが弟さんです

世潮達も、少し奥まったところにあるが、トイレシャワー付きのユニットに移る事が出来た。
一階だが、ダルシャンに行くにはとても便利だった。何と言っても、人通りが少なく静かなのが有り難かった。
掃除をしに、おばさんが来てくれた。「明日の朝、インタビューに呼ばれるね。あんた達。とてもラッキーだね。準備をしておきなさい。」と言って出て行った。

母と顔を合わせて、「今のおばちゃんは何や?サイババさんか。でも本当だといいね。」と言った。

あくる朝、世潮が目を覚ますと、息子と母が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「大丈夫かい?」と母が尋ねた。

世潮は、「朝の挨拶は、大丈夫かい?ではなく、おはようだろ?」と言った。

「いや、昨夜あんたが大きな声で、寝ながらオームを何度も唱えたかと思うと、突然調子外れのガヤトリマントラを唱え始めたので、びっくりしたよ。とても大きい声だったよ。」

そう言えば、昨夜見た夢を思い出した。「インド人の足のない霊達が、ざっと見ただけで二十人ぐらい一列に並んで、自分の方に音もなくそーっと近づいて来るんだ。とても不気味だったよ。」

「先頭にいたのは、メガネをかけていたな。長年スワミに使えておられたカスツーリ博士にそっくりだった。」

「思わずガヤトリを唱えようとしたけれど、オームを唱えた後の言葉が出て来ないので、少し焦って何度かトライしたらようやく、唱えることが出来た。」
「そのあと、とても平安な気持ちになれたんだ。何だったんだろうあれは?不思議な体験だった。」と言った。
その朝、ダルシャンでサイババさんは、オーストラリアグループにいた世潮に、「お前たちはどの国から来たの?全部で何人いるの?」と質問された。
世潮が「オーストラリアからです。全員で十八人います。」と答えると、「インタビュールームに行きなさい。」と言われた。