磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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隠るべき所なし-ビキニ環礁原爆実験記録-

2008年05月01日 | 読書日記など
『隠るべき所なし-ビキニ環礁原爆実験記録-』
   ブラッドリー(著)/佐藤亮一(訳)/講談社1949年

闇教育をもたらした業である戦争、原爆……。実験といえども、やはり被害者を生み出す……。この教育をなくしていかねばならないのだけど、いつものことに関わる闇教育のエリートたちはそれを阻止するだろう……。



この本は古い本ですね。第五福竜丸事件の前ですね……。

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「訳者のことば」が印象的である。下「」引用。

「この恐るべき新兵器の出現によって、前記のように世界は新たな観点に立って未来を卜さねばならず、現在の世界組織に対して絶望を感じたものは、現在自分の所属する国籍を離脱していずれの主権国家にも属さぬ世界人たらんとさえしている。」

ゼロサムゲームの国家間では、それはもちろん戦争になる確率は高いですね。

パイを作り出すのではなく、奪い合う人たちが世界を支配したら、それは恐ろしいものにならざるをえないと思う……。

各国のオブザーバーがいたという。下「」引用。

「政治もまたビキニのテストに関与した。ワシントンと世界各国からのオブザーバー(彼らの一部はすでにわれわれと一緒に米艦ヘヴン号に乗って来たが)は、原子力エネルギーの幼稚園講義に出席というわけ。」

巨費をまた使っていたようだ。下「」引用。

「最後に、新聞通信関係者は、まるで写真聯いとフラッシュ電球の貨物船とでもいいたい位だ。彼らは船でも特殊写真撮影飛行機の中でも、常にわれらと一緒だ。誰かがいっていたが写真フィルムの世界中の供給の半分が、この二つの実験のために用意されるということだ。」

まだ、当時はコンピューターではなく、計算尺だったようだ。下「」引用。

「計算尺の上で大へんな紛糾が惹き起しそうだ。」

ヒロシマやナガサキのデータがあったのだから、当然、血液の変化も知っていた。下「」引用。

「原子爆弾の爆発後に乗船する乗組員の健康を保護できるだろうか? またそれは人間が程度を越えて浴びている時とか、またはその人間が従事している危険な仕事から、手おくれにならぬ間にやめさせることを示してくれるのだろうか? さもなければ、たとえば原子力戦争が起こったような場合に、当面の問題解決に対して一段と広い視野を与えるために、つまりこの血液検査ということが爆撃被害を受けた都市で活動する防火員や技術者の体を被害から護るのに、何らかの価値をもつのだろうか?」

価値なら、モルモット的価値でしょうね……。
--もちろん、非人道的なものです。

日本の「長門」やドイツの艦艇も、実験に使われたという。下「」引用。

「われわれは高度を変えて何度も標的艦隊の上を調査した。一部の船は内部の故障を起こしはじめていた。不細工な図体の「長門」はいよいよ傾き、「ニューヨーク」は船首を半ば海中に没していた。放射能は夜の間にかなり減退していたので、低空飛行機もなるほど安全だということがわかった。」

事故もやはり起きるものだろう……。下「」引用。

「どうしたはずみか、その中尉が放射能の烈しい艦上にたった一人置き去られたのだ。彼がそこにいようとは誰も知らなかった。彼の乗って来たボートの乗組員はすっかり彼を置き忘れいたのだ。余り放射が烈しかったのでなかなか甲板に出ることができなかった。それに彼は無線の扱い方を知らなかったのだ。」

■問題点■
(1) 原子力兵器に対抗できる真の防衛策というものはない。
(2) 汚染に対して完全な対策と方法がない。
(3) 原子力で汚染された地域の人々に対する完全な医学上、保険上の保護策がない。
(4) 原子爆弾の何ものをも荒廃せずにはやまない威力と、未だ知られざるその関連作用とは、地上も富も--従ってそこに住む人々を--放射能の永続性によって幾世紀にもわたって影響を与えるであろう。









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