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敦賀湾原発銀座 「悪性リンパ腫」多発地帯の恐怖

2008年04月22日 | 読書日記など
『敦賀原発銀座 「悪性リンパ腫」多発地帯の恐怖』
   明石昇二郎・著/技術と人間1997年

マスコミにもいろいろあります。この著者はいつものこととは関係のない人のように思います。そして、この本で取り扱う問題も、いつものことを忘れないでいただきたいものです。



1994年4月5日、福井県敦賀(つるが)市にある高速増殖炉「もんじゅ」が初の臨界達成。
--反原発市民が200名集る。その中に地元の住民は10人であったという。

地元の住民は不安を語る。下「」引用。

「若狭(わかさ)湾に面した福井県の嶺南(れいなん)地方ではここ数年来、甲状腺ガンや白血病にかかる人が非常に目につくんです。また、そういう噂もあちらこちらで聞かれる。実は私が今、勤めている職場でも、この半年の間に上司が三人も甲状腺ガンの手術をしているし、このあたりに住んでいる人ならば誰しも、自分の身内か友人、または近所の知り合いの中に、一人や二人は白血病にかかって死んだ人がいる。さらにこのあたりは、ダウン症の子供も多いんですよ。でも、こんな重大な話をどこのマスコミも報道しようとはしないんです……」

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調査しようと思っても福井県の県民性があるという。下「」引用。

「他県と比べて福井県民には、【“結婚筋”にかかわる】という理由からか、身内からガンなどの“重病患者”が出たことをとかく隠そうとする傾向がある。」

統計も現実をみるための一手段でしかないものを、統計神話をつくりあげている人たちもいるが、この本の著者は現実を大切にされている。統計の数値も大切だが、その考察がさらに重要だという人もいるくらい……。

こんな結果があるという。下「」引用。

「これを見る限り、嶺南地方における九三年一年間の白血病発生率が全国平均の一・五一倍とひときわ目を引くものの、「数年間の平均」を割り出して比較してみた場合、福井県における白血病の発生率も嶺南地方における白血病の発生率も、全国平均の発生率と大差はなかった。」

それを調査していく。
--これには統計のトリックがあった。現実を表現していなかったというわけだ。
10年くらい前などは京大病院に患者を送ったという。
京都で死ねば、京都でカウントされたという(福井医大第一内科の中村徹(とおる)からの聴取)。
現在は中村が福井でみているから統計上は増えているという。

調査は10キロ圏内としたという。
--予算の都合などもあると思う……。

--1994年8月、総勢9名からなる「WPB(週刊プレイボーイ)特別取材班」結成。
班員は現役ルポライター2名、日本ジャーナリスト専門学校の学生とその周辺より選抜。
美浜町の「海の家」で2週間合宿しながらの調査。

住民の反応「ウチは留守だよ」「帰れ、帰れ。あんたら“ゴミ”や!」……。

アンケート回収率60.03%
予備取材 1994年8月2日~8月4日
学生調査員による調査期間 8月23日~9月1日
データ確定のための最終確認調査(二回) 9月12日~21日、10月12日~15日
調査区域内の総個数 1141 うち 回答685 未回答456」

噂などはデータから外したという。

福井県当局から「県民を不安に陥れる」と、まずは栗田幸雄・福井県知事が記者会見で怒る。
--しかし、現実はそれ以前から住民は不安でいたと思う……。

新聞報道でも各社違ったようだ。下「」引用。

「注 後にわれわれが確認したところ、当初の新聞報道の中でわれわれの記事を正確に「悪性リンパ腫多発報道」と紹介していたのは、残念なことに『毎日新聞』のみだった。」

読者からの手紙は150件。下「」引用。

「しかも驚いたことに、非難や抗議の手紙はその中のわずか二通のみ、それも匿名のものだった。」

山崎隆敏さんはこの調査の発表で、現地の人が打ちのめされていないという趣旨の手紙を送られてきたという。県の抗議はピントはずれだという。

この調査のメンバーは、このようなものがでたから京大で調査をしてもらいたいと話している。

チェルノブイリもそうだけど、放射性物質は移動すると思う……。東京も無関係とはボクには思えないのだが……。








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