磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

原子力裁判 SHOUT DOWN!

2008年07月06日 | 読書日記など
『原子力裁判 SHOUT DOWN!』
   マシュー・マクルア(編)/
     大井幸子、綿貫礼子(訳)/アンヴィエル1980年

この本を閉じたとき、マルチン・ニーメラーの言葉を思い起こした。この裁判も本当にSHOUT DOWNされていたら、スリーマイル島事故はなかったであろう。そして、あのブッシュ大統領のような、殺戮を好む政治家たちと思えてしまう存在もなかっただろうとボクは思う……。



原題は「SHOUT DOWN」で、操業停止あるいは廃炉の意味。

謝辞が書かれてありました。下「」引用。

「順天堂大学医学部公衆衛生学の今堀彰助教授、L・T・Tの大内紀美氏、小原望弁護士、レオナード・ホルツ弁理士、東京大学医学部衛生学の大井玄助教授および市民エネルギー研究所の松岡信夫氏に対し、それぞれの専門分野の立場からご助言をいただきましたことを心より感謝し、深くお礼申し上げたいと思う。   大井幸子、綿貫礼子」

「原書第二版のための序文」に、この本の第一版が刷り上がった2週間後にスリーマイル島の原子炉での事故が発生したと書かれてありました。

この事故はメルト・ダウンしていないと書かれてありますが、していたそうです。

金で、口を封じたのは、今では有名なことですね。

アメリカでも日本と同様に、マスコミも真実を報道するわけではなく、利潤追求(金儲け)を本業にされており、ジャーナリズムとしての本業を果たしてはいませんね。

これは、イラク戦争などでも、多くの人が知ることになりますが……。

ボクだって大手マスコミに騙されます。
--しかし、だまされたくありません!?

index

スリーマイル島事故を視察したのは当時の大統領カーター。
彼はもと米兵だった人物で、原子力のことも学んでいたという。
--大統領の視察のときにはマスクをはずしていたが、帰るとすぐにマスクをつけたという。
--スリーマイル島は「一○億ドルの墓場」……。


ジョン・W・ゴフマン医学士、理学博士が、がんばっておられます。

当時でさえ経済性に疑問があるという。下「」引用。

「結論を申しますと、現在建設予定の原子炉の燃料用のウランが十分でないという重大なもんだいかがあります。これはウランの値段が上がっていることが明らかです。というようなことで、原子力発電の経済性は、時間が経つにつれ、ますます悪くなるようにみえます。」

石油が値上がれば、ウランも値上がる……。
これは市場原理主義であって、資本主義ではないように思えます。

そして、スリー・マイル島事故以前さえ。下「」引用。

「問 今、お話しになった研究ですが、その数字は実際の死亡数にもとづいているのですか。
答 その通りです。私は外挿にたよるわけではありません。私は直線仮説とか、二次とか、超直線仮説には依存しません。私どもは次のようなある町での比較研究にもとづいています。つまり、以前に、石炭工場とか石油工場とかがあったところに、突然、原子力発電所の操業が始まった。町で、企業側や原子力委員会やNRCのだれもが予知できなかった、説明しえないような突然さで、乳幼児の死亡率や白血病が増加し、数年後に多様のがんも増加しているケースにもとづいているのです。」

そして、原爆によりできた技術は、広島・長崎も影響したという。下「」引用。

「広島と長崎での悲劇が人間に対する潜在的影響の真の意味を明らかにしはじめた時、勧告許容値はさらに引き下げられた。一九五二年までは、国際放射線防護委員会(ICRP)は「安全値」として五二レントゲン/年を勧告したが、これは現在の許容量の約三○○倍であった。」

ポーリング博士は死の灰について訴えておられたようだ。下「」引用。

「原子力委員会(AEC)が結成されてまもなく、原爆実験が文字通り日常化したものとなりつつある時、ノーベル化学賞の受賞者、ライナス・ポーリング博士らは放射性加工物の人の健康に与える影響について研究を開始した。研究の結果を憂慮して、これらの科学者たちは放射性下降物により何千人もの人がならなくてもよいがんとなり、若死にすることになると主張して、AECとの長年にわたる法律上の争いを始めた。しかしながらその時点ではがんも若死にも実際にまだ浮上した事柄ではなかったので、これらの初期の訴訟は、原爆実験をやめさせることに成功しなかった。」

そして、実験だけではすまない。下「」引用。

「原子力は、すでにでたらめの、強制的な遺伝子工学となってしまった。しかし人間には、遺伝子工学上の操作を受けない権利があるはずである。連邦政府は米国民が同意した米国憲法にもとづいて設立された。だれが、がんを子供たちに与えようと同意したのか。人間モルモットの国になることを、だれが同意したのか。政府は、でたらめな謀殺を許して、その権限を濫用している。」

今、日本では一番の死亡原因はガンだという。
これに全く影響がないとは誰もいえないだろう……。






目 次



エンタメ@BlogRanking



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。