磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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日本の原発危険地帯

2011年08月22日 | 読書日記など
『日本の原発危険地帯』
   鎌田慧・著/青志社2011年

日本の原発地帯」(新風舎文庫 2006年刊)の改題,加筆



表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「原発各地をまわったわたしの結論とは、原発は民主主義の対極に存在する、ということであった。」

考えたがらないものである。下「」引用。

「いますぐにでも原発が暴走する、と考えるのはあまりにも悲劇的であり、厭世的だった。人間、あまりの悲惨は考えたがらないものである。」

国民の健康を犠牲にしての利益追求。下「」引用。

「中曽根康弘、中川一郎、与謝野馨など、原発推進派議員は多い。新聞、テレビなどのマスコミ、御用学者や文化人、そして裁判所と、財界、官僚、政治家、司法まで原発体制を維持し、その防御の壁は厚い。それは国民の健康を犠牲にしての利益追求だった。」

娘の東電社員との結婚で、転向した県会議員。

美浜原発の労働者……。下「」引用。

「美浜原発では、八○年現在、千五百四十名の労働者が働いているが、このうち、関電社員は二五パーセントの三百八十名にすぎない。それもから入社したのは、守衛ぐらいのものである。残りの千百六十名は下請労働者で、事故や故障がふえれば、それだけ下請労働者の雇用と被曝率が上昇する、という関係にある。」

SF作家・豊田有恒に対して……。下「」引用。

「「日本じゅうの原子力発電所と、その予定地を全部まわってきたなどと言うと、たいていの人は、無条件原発推進派だと思うらしい」などいささか誇大妄想ぎみに書いてるのはSF作家の豊田有恒だが、彼は『原発の挑戦』(詳伝社)のながて、伊方原発の建設がスムーズにすすんだことを特記したあとで、こう書いている。
「原発の建設許可には、さまざまな手続きがいる。ここでは省略するが、そのうち、いちばん重要なのは、電調審(電源開発調整審議会)を通過することである。伊方発電所は、全国で十二番目に電調審を通過したが、完成したのは十四番目である。伊方より先に電調審を通っても、まだ、もめている原発が、沢山ある。伊方は、あともどりせずに、スピーディに完工したといえる」
 スピーディに完工したのは、安全審査を経て、総理大臣の許可設置がおりる以前から着工していたからである。つまり、用地買収の段階から四国電力は、クロをシロといいくるめ、遮二無二(しゃにむに)、工事を強行してきた。その潤滑油がカネであり、カネが民主主義をつぶしてきたことを、彼は知っていて書いているのであろうか。」

「原発隠しの調査」 下「」引用。

「このことについて、八○年三月に福島県が発行した『原子力行政の現状』にはこう書かれている。
「大熊町、双葉町の原子力発電所誘致運動が発端となり、富岡町、楢葉町においてもその気運が高まり、昭和四二年十一月にのは、南双地区総合開発規成会が企業誘致を知事に陳情し、四三年一月県は、東京電力(株)福島第二原子力発電所の誘致を発表した。なお、富岡町、楢葉町は協力の態度を示し、富岡町議会でも原子力発電所誘致促進の決議を行っている」
 県側の資料によれば、誘致陳情があって東電がやってきた、ということになる。しかし、肝心の立地点である毛萱のひとたちにとって、それは「寝耳に水」の出来事であった。
 Aさんは、一冊の大学ノートを秘蔵していた。いままで、誰にもみせたことのない日記である。それによれば、原発は「大工場」の白粉を塗りたくって、ドアをノックしたのだった。」

原発とは語っておらず「大工場」といっていたようだ。

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大金と信用=悲願。下「」引用。

「いまからみれば安いものだが、十年ほど前は大金だった。交通の便が悪く、耕地としても不適当な土地に縛りつけられていた波蔵のひとたちにとって、原発が経済的な恩恵であったのは事実である。佐藤さん自身も定年になる昨年まで、下請の資材置場では働いていた。「勤めさせていただいた」と彼はいった。奥さんはいまでも下請で働いている。
「危険性? テレビでもいわれてますが、そういうことはない、と信用してます」
 佐藤さんは「信用」に力をいれていった。さまざまな原発地帯できかされた言葉だった。信用に、そこに住むものたちの悲願ともいえるものである。」

「田中角栄の誘致」 下「」引用。

「「原発はあの野郎が持ってきたんだデ」
 いまではあの野郎などののしられることになってしまったが、それまでは東京にでもいって田中角栄の名前でもでようものなら、柏崎、刈羽のひとたちは、
「うん、おらちのちかくだコテ」
 などと鼻をうごめかしたものだった。なにしろ庶民宰相の出身の西山町は隣町で、このあたりの越山会のメンバーは、砂丘の砂粒に匹敵するほど多く、彼は偉大なる尊敬をかちえていたのだった。」

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