磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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原爆・原発

2008年09月17日 | 読書日記など
『原爆・原発』
   池山重朗・著/現代の理論社1978年

ラッセルは戦争をイデオロギーの問題ではなく、『疫病』としましたね……。



イデオロギーが歴史に影響してきたことを書いている。下「」引用。

「だが当時の日本国民の社会的意識は未だこうした議論を許すほど未分化であった。保守派は「アカ」といレッテルを貼れば革新陣営をすくませることができたし、彼らの社会的活動を規制することができた。こうした敵対者の発想に擬せられて、左翼は前述のような三段論法で不必要なイデオロギー論争が繰り返すことがしばしばであった。
 学生運動の間では、核実験に反対する場合、その論拠としてアメリカ帝国主義の犯罪性を第一義に置かずに“死の灰”によるう大気汚染を重視する主張を「ストロンチウム」的偏向と呼んだりした。つまり、ストロンチウム90の危険性を説く者は政治意識の低い者であり、偏向を犯しているという指摘なのである。
 そこでは、核の矛盾を事実の論理をくぐって暴き出し、この誰しも否定し得ない論拠によって国民の同意を得るという本来の大衆運動のあり方が否定されているとも言えよう。いずれにしても、当時のわが国の社会意識は未分化であり、価値の序列を現実社会の矛盾に合わせて組み変えてゆくという訓練が十分にされてはいなかった。否、一つの価値の選択がイデオロギーの選択とさえなってしまって、「アカ」「反動」「○○的偏向」「修正主義」等とレッテル張りが横行するという状況だった。」

偏向している人たちが、偏向と相手にいう……。
非科学的な原子力推進の人たちが、非科学的と脱原発の人たちを愚弄する……。

こまったことです。下「」引用。

「もう一つは、六○年より始まった日本共産党の“原水禁運動の敵を明らかにせよ”という主張による不必要な混乱であった。こうした主張がやがて原水禁運動を政党の従属物にさせようとする衝動に支配される結果となった。前述のような未分化の意識状況はこうした議論を許すことになったのである。もしも国民の意識が覚めたものであり、“核兵器反対”という価値の選択だけが人びとをこの運動に結びつけている基準であるという意識があれば、共産党の主張はルール違反の議論として拒否されていたはずである。さらにもう一つの不幸は、核実験のもたらした環境破壊の問題を真正面から見る目を曇らせることである。」

平和の敵は、クラウゼヴィッツ人だと思います。

つまり、無意味に敵をつくる人たちだというのは適切な表現だろうとボクは思います。

ラッセルとカストロのやりとり……。下「」引用。

「二十七日、ラッセルはカストロ首相あてに電報をうって次のように訴えた。“このさい米国の根拠なき要求を受けいれてくれれば、世界はキューバ支持に立ち上がるだろう。こんなことを貴下に求めるのは国際法上の根拠あってのことではないが、人類を紛糾から救うため、キューバが侵攻されないとの米側の保障とひきかえに、たとえ防衛的なものであれ、すべてのミサイル撤去を受諾されたい”と。
 カストロは二十八日、演説していう。アメリカが“キューバ不侵略”と“海上封鎖解除”を約束するばかりでなく、“アメリカが全世界にわたり実施した経済制裁と経済封鎖の撤廃、すべての偵察行動・スパイ・破壊活動停止からグアンタナモ基地撤収など五項目の要求が満たされなくてはならない、と。中国政府はこのカストロ声明を全面的に支援する態度を表明する(十一月一日)。」

無責任体制はこうして作られたという。下「」引用。

「いわば国会は原子力開発をチェックする機能を当初から放棄したのであった。野党議員の専門知識不足も手伝って原子力に関する限り議会は空洞化されてしまった。(社会党は原子力委員会に有沢広巳を送り込んだ)
 他方、原子力開発を担当した行政機構もこれまた能力の限界から、その具体策をことごとく「専門家」と称する学者に頼ることとなった。その上、原子力に関してはバラ色の楽観論につつまれており、行政機構が「推進」のためにのみつくられ、「規制」のための機構・機能を最初から設けてはない。」

ソ連科学者は、原子力空母も原潜も危険という。下「」引用。

「ソ連の科学者エフゲニー・フェデロアは『ワシントン・ポスト』のインタビュー中に答えて次のようにの語っている。「原子力船は何年間も使われているのに、だれも禁止を要求しない。アメリカもソ連も原子力潜水艦の海洋事故を起こした。アメリカ原子力空母を持ち、ソ連は原子力砕氷船がある。それが危険なのは確かなのに、衛星だけについて騒ぐのは、科学技術の事実に立脚しない議論である。アメリカはグリーンランドとスペイン沖でB52が原子爆弾を落とす事故を起こしたが、核爆弾積載機を禁止する気があるのか」と(『読売』二月二一日)」

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原潜の製造者にも被害者が……。下「」引用。

「アメリカ国防省核防衛局(DNA)は二月一○日、一九四六年から六三年までの核実験で被曝した軍人・民間人三○万名を対象とした放射線の患者が多発し、それを無視することができないところにきたのであ。他方『ボストン・グローブ』紙(二月一九日)は、原子力潜水艦建造にたった労働者にガンが多発しており、その死亡率は一般の二倍になっていると報じた。ボストンの医師トーマス・ナジャリアン博士の調査によると元造船工のガン死亡率は三八・四%にのぼっており、一般人のガン死亡率一八%をはるかに上まわっていることが明らかとなったというのだ。」

「「平和利用」の核の地球汚染」下「」引用。

「一九六三年の部分的核実験停止条約によって大気中の放射線物質の激増は抑えられた。しかし、新しい“死の灰”の生産者があらわれてこの条約の効果を滅殺しはじめた。核の「平和利用」と呼ばれる原子力発電である。」

図1 大気中のクリンプトン-85濃度の経年変化

















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