あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 089 遺伝子解析 「この世界の女たちにはおどろいたね」 オカネスキーは静かに茜のはなしをきいている。 「化粧はしているし、男物の服は着ている。いや、それだけじゃない。わたしのことを宝塚の役者のように思って、“お茶でも、いかが”なんて、わたしを誘うのだ。わたしには、その気はまったくないんだ、そんな男らしい女性になんか興味がわかないんだよ」 オカネスキーは目をとじていたが、開いてからいう。 「それは、オカネお嬢様、その気とかのことではありまぬ。ただ、美しいものに憧れる女らしい心からくるものなのですよ」 いつもの茜とはちがって、実に話をするのが楽だとオカネスキーは思った。 それはなぜだろう? つまり今ここにいる茜は感情的ではなく理路整然と話してくれるからだろうと考えた。 それは、茜のDNAがするのではなく、生まれてのちの環境や教育による差だとオカネスキーは分析している。 「でっ、この社会の違いをオカネスキーはどう分析したのかね」 「わかりかねます。しかし、茜お嬢様の頭髪をDNA鑑定したところ、同一人物と鑑定されました」 「遺伝子を調べたのかい?」 「そうでござる。ぬかりはないでござるよ」 「それで、同一人物ということは、この差は遺伝という問題ではないというわけだね」 「いいえ、そこまでは解析されていませんが、同一人物であることは鑑定されました」 「そうか、つまり、言われたいたことは正解だったというわけだね。わかった、人間とはそういうものなんだね」 「何がわかったのでござるか」 「つまり、遺伝子はすべてを決定するようなことをいう学者たちが間違っていたということだよ。たとえば独裁者のコピー人間を恐れていた。しかし、人間にはそれは適応されない」 「そうでござるよ。人間だけではござらぬとは思う。遺伝子はタンパク質を決める設計図でござるよ。それ以上のものではござらぬ」 「タンパク質の問題ではないことは、わかった。しかし、どうして、こう男が女で女が男なんだ。こんな大きなことの原因がわからないのか?」 「わからぬでござるよ。乞食と金持ちのちがいも、わたしにもわかりかねまするぅ~」
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