『週刊朝日 2011-9-16』
河畠大四・編/朝日新聞出版2011年
特集名 福島第一原発に入った!
--いいレポートだと思います。
「原子炉建屋の中は木っ端みじんだった 独走スクープ 福島第一原発完全ルポ第1弾 このすさまじさ、政府・東電の「大本営発表」はインチキだ!」 下「」引用。
「本誌記者が現場で見た、撮った
原発事故の現状は、国と東京電力の「大本営発表」でしか知ることができない。ほかの“目”が、現地に入っていないからだ。そこに本誌が「フクシマの真実」と題し、福島第一原発“最高幹部”の一人の証言を報し続けてきた理由がある。現場で何が起きているのか--。その問いに答えたい。本誌は「禁断の場所」に足を踏み入れた。
今西憲之+本誌取材班」
刻々とかわる現場。下「」引用。
「日々のニュースでは徹底知ることのできないが、原発の現場では刻一刻と変わる状況に、いまもギリギリの闘いが続いているのだ。
私が原発敷地内に入ったのは、これが初めてではない。X氏ら幹部数人のサポートで、事故後しばらくしてから複数回、継続的に中に入り、状況を見てきた。大震災から半年を迎えようといういまこそ、私が見てきたこと--いま福島原発の現場で起きている「現実」をサポートしよう。」
4号機……。下「」引用。
「新聞写真やテレビ映像では散々見てきたが、これはまったく違う。想像していたのと、スケールがまるで違う。圧倒的な迫力。震えが止まらず、体が凍り付いてたように固まってしまった。
周囲では、大きなタンクが引っくり返り、コンテナが流され、かろうじて坂道の手前で止まっていた。津波で流されたダンプカーや重機が、ひしゃげたまま無惨な姿をさらしている。打ち上げられて息絶えてしまったのであろう、無数の魚が干からびていた。よく見ると、地面に転がっている針金のような鉄材は、爆発で飛ばされた建屋の鉄筋のようだ(-略-)。
ただ呆然とするばかりだった。」
「「瓦礫の山」は3号機だった」
「2号機が示す皮肉な真実とは」 下「」引用。
「だが、この2号機の現状そのものが原子力行政の欠陥を雄弁に語るとは、皮肉以外の何物でもない。X氏はこう明かした。
「実は、内部はかなりの被害です。実際問題、津波による直接の被害は少なく、地震対策に問題があったと認めざるを得ない。それに線量も高く、作業員が長時間、中に入ることができない」
原発事故の要因は津波なのか地震なのか。東電は「想定外の津波だった」として、現状の耐震基準を見直そうとはしていない。東電はもちろん、政府は今後、2号機の現状をどう説明していくつもりなのだろう。」
「編集されている大本営発表」 下「」引用。
「一方、私が原発の現場に行ってもわかったことがある。東電が発表している情報がうまく“編集”されていて被害の実態が把握できない。公表された写真1枚程度でわかるわけがない--というレベルではなく、もっと根本的なこと。実際、1~4号機の事故はバラバラに起きているのではなく、同時進行しながら連続的に起きているのだ。この認識を持たなければ、原発事故の本当の現状はわからないのではないか。
ありのままの「生」の情報、それがいま求められているのである。」
【YouTube】「福島原発内部の真実とは?」
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「原発は現地で止めるしかない」藤田祐幸vs.広瀬隆。下「」引用。
「3.11から間もなく半年。連載24回は、チェルノブイリ事故の調査にあたった長崎県立大シーボルト校非常勤講師の藤田祐幸氏を招いて、事故と放射能汚染の現状について語り合います。-略-」
「現実の現実 元作業員らが語る 疲労感、倦怠感、心臓疾患に鼻をかむと血の塊が…」 下「」引用。
「日本の原発は多数の下請け作業員たちの手によって動き続けてきた。そこで被曝したある人は血液のがんに倒れ、ある人はヒロシマ・ナガサキの被爆者に見られた極度の疲労感や倦怠感、いわゆる「ぶらぶら病」に襲われ、心臓疾患に悩まされる日々を送る。放射能は彼らの体をどう蝕んでいったのか。元原発作業員、遺族が詳細に語る被曝の現実--。それは、福島原発事故で背負わされたわれわれの未来とも決して無縁ではないはずだ。-略-」
「顔が腫れ上がり緊急手術受ける」 下「」引用。
「03年暮れごろには鼻血や発熱、頭痛などの症状が悪化した。病院で検査しても原因はわからない。そして翌04年1月、顔の右半分が突然腫れ上がった。
「(四谷怪談の)お岩さんみたいな感じで。今にも爆発するんじゃないかっていうくらい腫れ上がったんです。こんなに顔が腫れる病気は見たことがありません」(末子さん)
県立病院で緊急手術。その後、再手術を受けたものの、「不明熱」とされるだけで、病名は判らなかった。
「鼻が高かったのが主人の自慢だったんですが、2度の手術で鼻がほとんどなくなってしまいました」(末子さん)
そして、5月に琉球大学病院に転院し、ようやく、血液のがんの一種、悪性リンパ腫と診断された。抗がん剤などによる治療を受け続けたが、翌05年3月4日亡くなった。-略-」
他にもむごい病状が書かれてあった……。これが現実だろうなあー。
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「裁判所が設けたハードルの高さ」 下「」引用。
「福島原発事故によって被曝の恐れがある福島県民や、局所的に放射線量の高い“ホットスポット”の人口はおそらく100万人を超えると思われるが、通常時で千人が甲状腺がんになる計算だ。その5倍、5千人もの甲状腺がん患者が出ないと原発事故による被曝との因果関係が認められない。
長尾さんの裁判で示した裁判の判断は、このような“未来”を暗示しているかもしれないのである。」
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「セシウム不安で21世紀の“米騒動”勃発 ついに到来新米の季節」 下「」引用。
「江戸時代に頻発した「米騒動」が、3月11日の東日本大震災によつて引き起こされつつある。火をつけたのは、為政者への不満や冷害による不作ではなく、放射性セシウムに対する消費者の不安だ。いよいよい実りの秋、新米のおいしい季節を迎え、私たちは放射能という見えない敵に、どう立ち向かえばいいのか--。」
「コメの「備蓄」は素人には不可能」 下「」引用。
「93年の「米騒動」では、緊急輸入したタイ米や中国米が大量の余り、最後は途上国援助(ODA)や家畜のえさに回すという失礼なことをした。
米騒動は、我を失った消費者心理が生み出すものでもある。不安に駆られても、無用な買いだめをぐっとこらえ、普段どおりの暮らしを心掛けよう。」
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河畠大四・編/朝日新聞出版2011年
特集名 福島第一原発に入った!
--いいレポートだと思います。
「原子炉建屋の中は木っ端みじんだった 独走スクープ 福島第一原発完全ルポ第1弾 このすさまじさ、政府・東電の「大本営発表」はインチキだ!」 下「」引用。
「本誌記者が現場で見た、撮った
原発事故の現状は、国と東京電力の「大本営発表」でしか知ることができない。ほかの“目”が、現地に入っていないからだ。そこに本誌が「フクシマの真実」と題し、福島第一原発“最高幹部”の一人の証言を報し続けてきた理由がある。現場で何が起きているのか--。その問いに答えたい。本誌は「禁断の場所」に足を踏み入れた。
今西憲之+本誌取材班」
刻々とかわる現場。下「」引用。
「日々のニュースでは徹底知ることのできないが、原発の現場では刻一刻と変わる状況に、いまもギリギリの闘いが続いているのだ。
私が原発敷地内に入ったのは、これが初めてではない。X氏ら幹部数人のサポートで、事故後しばらくしてから複数回、継続的に中に入り、状況を見てきた。大震災から半年を迎えようといういまこそ、私が見てきたこと--いま福島原発の現場で起きている「現実」をサポートしよう。」
4号機……。下「」引用。
「新聞写真やテレビ映像では散々見てきたが、これはまったく違う。想像していたのと、スケールがまるで違う。圧倒的な迫力。震えが止まらず、体が凍り付いてたように固まってしまった。
周囲では、大きなタンクが引っくり返り、コンテナが流され、かろうじて坂道の手前で止まっていた。津波で流されたダンプカーや重機が、ひしゃげたまま無惨な姿をさらしている。打ち上げられて息絶えてしまったのであろう、無数の魚が干からびていた。よく見ると、地面に転がっている針金のような鉄材は、爆発で飛ばされた建屋の鉄筋のようだ(-略-)。
ただ呆然とするばかりだった。」
「「瓦礫の山」は3号機だった」
「2号機が示す皮肉な真実とは」 下「」引用。
「だが、この2号機の現状そのものが原子力行政の欠陥を雄弁に語るとは、皮肉以外の何物でもない。X氏はこう明かした。
「実は、内部はかなりの被害です。実際問題、津波による直接の被害は少なく、地震対策に問題があったと認めざるを得ない。それに線量も高く、作業員が長時間、中に入ることができない」
原発事故の要因は津波なのか地震なのか。東電は「想定外の津波だった」として、現状の耐震基準を見直そうとはしていない。東電はもちろん、政府は今後、2号機の現状をどう説明していくつもりなのだろう。」
「編集されている大本営発表」 下「」引用。
「一方、私が原発の現場に行ってもわかったことがある。東電が発表している情報がうまく“編集”されていて被害の実態が把握できない。公表された写真1枚程度でわかるわけがない--というレベルではなく、もっと根本的なこと。実際、1~4号機の事故はバラバラに起きているのではなく、同時進行しながら連続的に起きているのだ。この認識を持たなければ、原発事故の本当の現状はわからないのではないか。
ありのままの「生」の情報、それがいま求められているのである。」
【YouTube】「福島原発内部の真実とは?」
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「原発は現地で止めるしかない」藤田祐幸vs.広瀬隆。下「」引用。
「3.11から間もなく半年。連載24回は、チェルノブイリ事故の調査にあたった長崎県立大シーボルト校非常勤講師の藤田祐幸氏を招いて、事故と放射能汚染の現状について語り合います。-略-」
「現実の現実 元作業員らが語る 疲労感、倦怠感、心臓疾患に鼻をかむと血の塊が…」 下「」引用。
「日本の原発は多数の下請け作業員たちの手によって動き続けてきた。そこで被曝したある人は血液のがんに倒れ、ある人はヒロシマ・ナガサキの被爆者に見られた極度の疲労感や倦怠感、いわゆる「ぶらぶら病」に襲われ、心臓疾患に悩まされる日々を送る。放射能は彼らの体をどう蝕んでいったのか。元原発作業員、遺族が詳細に語る被曝の現実--。それは、福島原発事故で背負わされたわれわれの未来とも決して無縁ではないはずだ。-略-」
「顔が腫れ上がり緊急手術受ける」 下「」引用。
「03年暮れごろには鼻血や発熱、頭痛などの症状が悪化した。病院で検査しても原因はわからない。そして翌04年1月、顔の右半分が突然腫れ上がった。
「(四谷怪談の)お岩さんみたいな感じで。今にも爆発するんじゃないかっていうくらい腫れ上がったんです。こんなに顔が腫れる病気は見たことがありません」(末子さん)
県立病院で緊急手術。その後、再手術を受けたものの、「不明熱」とされるだけで、病名は判らなかった。
「鼻が高かったのが主人の自慢だったんですが、2度の手術で鼻がほとんどなくなってしまいました」(末子さん)
そして、5月に琉球大学病院に転院し、ようやく、血液のがんの一種、悪性リンパ腫と診断された。抗がん剤などによる治療を受け続けたが、翌05年3月4日亡くなった。-略-」
他にもむごい病状が書かれてあった……。これが現実だろうなあー。
index
「裁判所が設けたハードルの高さ」 下「」引用。
「福島原発事故によって被曝の恐れがある福島県民や、局所的に放射線量の高い“ホットスポット”の人口はおそらく100万人を超えると思われるが、通常時で千人が甲状腺がんになる計算だ。その5倍、5千人もの甲状腺がん患者が出ないと原発事故による被曝との因果関係が認められない。
長尾さんの裁判で示した裁判の判断は、このような“未来”を暗示しているかもしれないのである。」
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「セシウム不安で21世紀の“米騒動”勃発 ついに到来新米の季節」 下「」引用。
「江戸時代に頻発した「米騒動」が、3月11日の東日本大震災によつて引き起こされつつある。火をつけたのは、為政者への不満や冷害による不作ではなく、放射性セシウムに対する消費者の不安だ。いよいよい実りの秋、新米のおいしい季節を迎え、私たちは放射能という見えない敵に、どう立ち向かえばいいのか--。」
「コメの「備蓄」は素人には不可能」 下「」引用。
「93年の「米騒動」では、緊急輸入したタイ米や中国米が大量の余り、最後は途上国援助(ODA)や家畜のえさに回すという失礼なことをした。
米騒動は、我を失った消費者心理が生み出すものでもある。不安に駆られても、無用な買いだめをぐっとこらえ、普段どおりの暮らしを心掛けよう。」
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