総理がコジキでコジキがソーリィー 053 ホームレス狩り 中田がやってきた。 「総理、おいでなさいまし……」 と、大西は態度をころっと変える。 「おはよう」 「総理、今日は何をして遊びましょうか」 「あー、三沢くんが来ているのなら、ホームレス狩りでもするか」 「いいですねえ、クズの人間狩りというのは、社会のために必要なことですよ」 「そうだとも、このごろは、バカなジャーナリストがいて、そういう社会のクズを野放しにしているけど、そんなもの焼却場で焼いてしまうのがいいんだ」 「中田くん、きみのお父様、つまり日本国の総理もそう思ってらっしゃるんでしょうか」 「当然、思っているね。くだらん人間が生きているから、不況なんて起こるんだよ。福祉とか寄生虫もいるしね。まったく、くだらん人間が酸素を消費しているというだけで腹が立つよ。地球の温暖化のためにも、ぜひ息をしないでいてもらいたい!」 「総理の息子がそんなこといってもいいのか」 三沢の口から言葉が出てしまった。 「何か、人間のクズが、臭い息を吐いたみたいだなあー。こいつらの口にも排気ガスによる環境税をかけるべきだよ」 「そうですとも、そうですとも……」 「先生が来たぞ」 「わかった、わかった」 この学校は大学付属の私立の高校である。 「いやー、おはよう」 教師の態度はソフトであるが、おはようの笑顔の時にも、まゆ毛がつり上がるのが気になる。 「おはようございます」 と、起立して挨拶するのが普通だろうが、ここの学校ではそんなことはしない。 「何か変わったことはあるか」 出席をとるかわりの言葉である。 「あのー、先生、三沢が来てます」 「ふーん、そうか。それで……」
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