総理がコジキでコジキがソーリィー 052“よい子”は辞めた! 三沢少年は学校へ行く。 「“よい子”は辞めた!」 と、心の中でお経のように何度も唱えている。 「おはよう!」 「しーっ、あいつと口をきくなよ」 と、昨日までは話してくれた友達までが、そんなことをいう。 「どうして?」 「あいつ、昨日、学校さぼってホームレスといたんだってよ。公園で親しく話していたんだってよ」 「あいつ、そうなのかよ」 「ああー、おれ、大西のやつから聞いたよ」 「そうかあー、ホームレスかあー、あいつの将来はホームレスかあー。あいつにぴったりじゃないか!」 と、友達はこちらが聞いていることをわかっているだろうに……。 いや聞こえるように言ったのである。 人が傷つくのを見るのが好きなやつらなんて、あのホームレスのソーリィーより、よほど劣った人間だと思う。 でも、そんなことで言い争う気もなかった。 教室に入って、静かに席についた。 大西がやってきた。あいつ、ひどいやつだ。 「よおー、ホームレス! 残飯でも持ってきてやればよかったなあー。すまん、すまん、今日は燃えないゴミの日だったもんでなあー」 「えっ、どうしたの」 と、女子の声。 「三沢なあー、昨日、学校さぼってホームレスと遊んでいたんだよ」 「えっ、ホームレスと……。驚いた! ホームレスってゴミみたいな人間のことでしよう」 「そのとおりさ」 ホームレスがゴミとしたら、 ぼくらも物質なのかなあー。 そんなふうにしか人間をみられないって、 淋しいことじゃないのかなあ……。 三沢少年は静かに、机を見つめていた。
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