磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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三省堂新書79 原子力と政治

2008年06月11日 | 読書日記など
『三省堂新書79 原子力と政治』
   村上隆・著/三省堂1970年

ずっと無責任体制が続く日本のシステム、いつものことが、ずっと続いていますね……。



“あふれるようなウソ”と書かれてあります。下「」引用。

「上は「政府公約」から、下は「ウソつき商品」「悪徳不動産屋」に至るまで、「看板と中味」の違いが氾濫し、あふれるようなウソと、わずかな真実を区別するには、特別の努力が必要な時代となった。このような時代を作ったのは外ならぬ政治家であり、しかも政府以外の責任ではない。
 このような時代に、原子力政策が政府の手で進められている。原子力を軍事目的に転化する「核」政策の危険な準備が、すでに一部では公然と始められている。」

すでに、日本は「潜在的核保有国」と呼ばれているという。下「」引用。

「原子力発電所は、前にもふれたようにプルトニウム生産設備も兼ねているから、このプルトニウムをだれがにぎるか、何のために使うかが大問題である。広島に落とされた原爆は、ウラニウム爆弾であったが、長崎にはプルトニウム爆弾が落とされた。いま日本は「潜在的核保有国」と呼ばれている。すでにプルトニウムを保有しているからである。今後ますます重要となってくることは、核燃料の管理問題と、プルトニウムの利用計画であるが、管理問題については電力会社が商業機密を守るという名目で、公開の原則に一種の抵抗を示している。」

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武谷三男は、軍事利用されないようにと願った……。下「」引用。

「四、原子力研究の夜明け
 -略-いかに原子力研究による成果が大きくても、その成果が軍事目的に転用されない保障をつくる必要がある、という意見が武谷三男博士らの小数派から出され、しだいに日本学術会議全体の意見にまで発展した。
 軍事利用されない保障とは何だろうか、保障のためには、どのような原則が必要だろうか、などが、社会的責任を痛感している科学者の中で熱心に論議された始めた。」

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“タカ派”の人たち……。下「」引用。

「昭和六○年には実に四七トンものプルトニウムが生成されると原子力委員会で発表している(原子力委員会核燃料懇談会報告。昭和四三年三月二七日)。これだけの量で長崎型原爆を製造すると、実に四、七○○発もの原爆となる。このような核武装能力を背景にして、自民党の中に公然と「核武装論」を唱える勢力が大手を振り始めたことは周知のとおりである。しかも核武装化の主張が、決して個人的な発言ではないことは、昭和四二年に行なわれた佐藤・ジョンソン会談のあと、佐藤首相が「自主防衛力の強化」を急に言い出し、この「自主防衛力」と関連して、タカ派と呼ばれる自民党内の勢力が「核武装論」を唱え出している経過をみれば、十分にうなずけるところである。」

しかし、そのタカ派の人たちは、戦争になってもまた安全な所におられることでしょうね……。

“核の島”と沖縄のことが書かれてありました。下「」引用。

「“核の島”と呼ばれる沖縄の核基地化の歴史は、昭和三三年に中距離弾道ソアの陸揚げに始まる。昭和三四年一一月にはナイキ-ハーキュリーズの試射実験。メースBの配置は昭和三七年に始められ、さらに原子力潜水艦の那覇軍港への寄港は、昭和三九年ごろから始められた、という。(毎日新聞「安保と米軍基地」より)」

原潜は“動く核基地”。下「」引用。

「原子力潜水艦が“動く核基地”の役割を果たす、新しい核戦略体制への変化がみられるからである。
 軍事問題の専門家で、ニューヨークタイムス紙記者のハンソン=ボールドウィン氏が朝日新聞に掲載した論文による、変化の様相が次のように説明されている。(昭和四二年七月一七日)
「伊香郡の役割は核時代の到来によって、戦略的・戦術的にの変容した。現代の海軍力は海中・宇宙・地表のすべての部分で到達できるようになったからである。今日、核の面での米海軍のもっとも重大な貢献は、おのおの一六基のポラリス-ミサイルを装備した四一隻の潜水艦である。ポラリス-ミサイルは一基でメガドン級の核弾頭をもち、地球上のいかなる都市でも破壊できる。核を動力とするエンジンは、空気を必要としないため、これらの潜水艦はほとんど無制限に完全潜行を続けることができ、その結果得られる機動性と隠密性は、匹敵するもののない不死身の防衛力をポラリス潜水艦に付与することになった。」

そして、原潜は日本でも放射能汚染事故を起こしたという。下「」引用。

「原子力では公害はないという政府の信念にもかかわらず、佐世保、横須賀、那覇各港で起こったアメリカ原子力潜水艦の放射能汚染事故は、外国の艦艇という特殊性を除外しても、なお産業利用分野で起らない保証はないし、起った場合にどれだけの責任ある安全保障が期待できるかについて、重大な警告と不安を国民の中に残したままである。」


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