112小池さん

アカネさんシリーズ001 恋のタイムマシーン 十、アンパンじいちゃん 112小池サクラさん 「今日の見学はここでお終いね。お帰りはデイ・ケア・センターのバスで送迎しますからね」 「あら、送迎してくださるの」 「ええ、小一郎君の先輩が運転手してますからね」 「あら、運転手までするんですか？」 「ええ、福祉っていろいろさせられるんですよ。焼き鳥屋とかもさせられたりします」 「焼き鳥！」 茜はオカネスキーを思い出した。 「秋祭りのときに屋台を出して、ご老人たちに楽しんでもらうんですよ」 「でも、お酒はコップ一杯なんだよ、失礼しちゃうわね」 と、茜の近くにいた女性がいう。茜はびっくりした。 「あら、わたし、いけないこといった」 「いいえ、まだ、お若いと思って！」 茜は恐縮していた。まさか、お酒をのまれるとは思わなかった……。 「あら、若い、もう、六十五歳よ！　ああ、そうか。あなたに比べたら、若いわね」 六十五歳の人よりも年寄りの茜、いったいわたしって何者よ！ わたしはまだ、二〇歳のうら若き女性よ！ まったく未完成のタイムマシーンになんか乗るんじゃなかった。 「わたしは、小池っていうの。あなたは」 「わたしは、小野文代よ」 「わたしは頭の方をやられてしまったらしいのよ」 「脳卒中でしょう」と職員。 「ええ、そうよ。でも、どうして、頭がやられたのに、手足が動かないのかしら。まったく、馬鹿にしちゃっているわ」 閑話休題 生き甲斐対策というのは、 今の福祉施設では考えている余裕がない。 そんなことをよくききます。 何のために生きているのか？ そんなことも考えられない時代。 どこかの呑気な政治家は、 「美しい国」なんて、 多くの弱者をはじめから、 切り捨てておられるのでしょうか？？？ 下、クリックお願いします。 人気blogランキングへ ありがとうございます。