磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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核抑止なき安全保障へ-核戦略に関わった英国海軍将校の証言-

2010年09月26日 | 読書日記など
『核抑止なき安全保障へ
  -核戦略に関わった英国海軍将校の証言-』
    ロバート・グリーン(著)/
      大石幹夫(訳)/かもがわ出版2010年

原書名 Security without nuclear deterrence

帯に書かれてあります。下「」引用。

「英国海軍中佐で、核攻撃機や対潜水艦ヘリコプターに搭乗、フォークランド戦争では艦隊司令長官の情報担当参謀も務めた将校が、なぜ核抑止論を捨て、反核平和活動に踏み込んだのか!?
「一読の価値のあるタイムリーな本である」益川俊英(ノーベル物理学賞受賞者)」



カバー写真 「核の傘」反核デモの参加者。ニュージーランド、オークランド。

市民運動「巻頭言」益川俊英・著。下「」引用。

「著者グリーン氏は英国の海軍中佐でパッカニア核攻撃機や対潜水艦ヘリコプターにも搭乗し、最後はフォークランド戦争でも艦隊司令長官の情報担当参謀をつとめた経験を持っている。しかしこの豊富な経験を鑑みて、退役後は1996年に核兵器の威嚇または使用は一般的に違法という国際司法裁判所の判断を勝ち取ることに貢献した国際的な市民運動の英国支部議長を1991年から2004年まで務めた経験も有している。これらの経験に鑑み核兵器の問題を広範に論じている。-略-
 ともあれ、核兵器廃絶が人類の緊急の課題になっている現在において、本書がタイムリーな貢献をすることは間違いない。」

サッチャー首相。下「」引用。

「マーガレット・サッチャーが首相になったばかりだった。原子力そのものに取りつかれたサッチャー首相は、スリーマイル島で事故を起こしたばかりの米国の加圧水型原子炉を、英国の原子力エネルギー産業に強引に受け入れさせた。大規模な大衆抗議行動にも関わらず、首相は核を搭載した米国のクルーズミサイルが英国本土に配置されることを歓迎し、内閣に諮ることなくポラリスをトライデントに代えることを決定した。不安があったにも関わらず、参謀長たちは服従を強いられた。その結果、英国の海上艦隊は日本のものより小さいものに縮小することになった。一方、原潜ロビーがトライデントの費用を埋めるために貢献したこととしては、新規調達したばかりの通常型潜水艦をカナダ海軍に売却するのに関わったことくらいだった。」

ヒロシマ以来……。下「」引用。

「ヒロシマ以来、私たちはジョナンサ・シェルが以下のように描いているものとともに生きてきたことになる。つまり、

 …核兵器が私たちの政治的な人格と道徳的な人格の魔に作ってきた分裂。(その結果)、政治的には正しいが道徳に反するという立場か道徳的には正しいが政治的には無力である立場のどちらかを、私たちは選択しなければならない。

 私は、このジレンマを解消したことをこの本で説明しようと思う。このジレンマの解消は、核抑止を、それが非道徳的で違法であるだけでなく、非現実的で政治的に不健全であり、安全に対する私たちのニーズに反するという理由で否定することが可能になる。しかも、戦争を抑止し、正義に基づき永続する平和を実現するための代替的な非核戦略は存在するのである。」

フランスと核拡散政策。下「」引用。

「フランスの核に対する野心を引っ張ってきたもう一つの中心的な信念として、フランス人の多くが自分たちを「欧州で最も古い国民」であると思ってきたことが挙げられる。この信念によると、自分たちは偉大になるべく予定されており、核の力を追究して当然だとなる。このことを疑わなかったフランスは、長い間、核拡散を奨励してきた。つまり、イスラエルとイラクに最初の原子炉を提供してきただけでなく、アルゼンチン、ブラジル、インド、パキスタンに核兵器関連の技術支援を行った。しかし、1980年代に核拡散への懸念が強まり、1991年の湾岸戦争をへて1992年、フランスはやっと核不拡散に署名した。」

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「核の接着剤」としての拡大抑止。日本政府、与党などが核廃絶を止めた……。下「」引用。

「その1998年の著作『民主主義と抑止』の補遣で、フィリップ・ボビットハは、1986年10月の失敗に終わったレーガンとゴルバチョフの間のレイキャビク首脳会談の政治的な影響の中の重要な要素に注意を喚起したが、この首脳会談は重要なものを含んでいる。先に述べたように、米国の同盟諸国の政府は、米国の拡大抑止の撤廃が協議なしでほとんど決まりかけていたことをメディアを通じて知って衝撃を受けた。これら諸国の市民たちのほとんどは、ロシアと米国の核兵器を10年以内に全廃するというゴルバチョフの提案を歓迎した。しかし、NATO及び日本、韓国、オーストラリアとの2国間条約の土台そのものが揺さぶられた。ここに、軍事同盟を維持し核兵器のない世界への進歩を阻害する「核の接着剤」としての拡大抑止の有害な影響の強力な証拠が見て取れる。」

「反転シナリオ」キューバ危機。アメリカ側だけの見方だけしかできていないのでは?

テロリストたちは核兵器によって抑止することはできない。

イスラエルと核兵器。下「」引用。

ディモナ爆弾製造工場の存在とそこでイスラエルが何百もの核弾頭を製造している事実は、1986年まで公式に確立していなかった。その年の10月5日、英国のサンデー・タイムズが、モルデハイ・ヴァヌヌというモロッコ生まれの技術者とのインタビューによる異例の内部告発記事を掲載した。ヴァヌヌヌは1977年から85年までディモナで働いた。この話が明らかになって間もなく、ヴァヌヌはローマに誘い出され、そこでモサドに誘拐され、イスラエルに連れ戻された。そして秘密法廷により最高警備刑務所での18年の禁固刑-その大半が独房監禁-を言い渡された。ヴァヌヌによると、200を超える核弾頭が作られ、その中には低い爆発力の中性子爆弾も含まれていた。その爆弾は建物等への損害を抑える一方で殺傷者を最大にするために、爆発力は最低限に抑え、かわりに放射線量が高められていた。しかし、米国の主要メディアのどこも、この話を取り上げなかった。-略-」

オシラク原子炉とインド……。下「」引用。

「1981年にイスラエルがイラクのオシラク原子炉を攻撃することに成功した時、インド空軍もカフタにあるパキスタンのウラン濃縮工場に対し同じような先制攻撃を行うことを検討したが、その案を退けた。それは実行可能だが、戦争を引き起こすと結論づけた。そのような戦争が起きれば、インドは、はるかに大きく外部からの攻撃にも弱いトロンベイの核施設にパキスタンから報復攻撃を受け、より多くの損害を受けることになる。-略-」

奴隷制と核抑止論。下「」引用。

「ここにおいて、奴隷制と核抑止の間の類似性を再度議論することは有益だろう。批判者はこの類似性を、等価性をがないとして否定する。なぜなら、奴隷制の廃止により、奴隷制国家の富だけが影響を受けたのに対し、核兵器の廃絶では、保有国家の根本的な安全の保証がなくなり、この保証に代わるものではないからだという。しかし、反奴隷制運動が勢いを持ち始めた頃、主要な奴隷制国家、つまり米国、英国、フランスの各国政府は、自分たちの生活様式はこの「必要悪」に依存しており、これに代わるものはないと論じていた。
 約30カ国を除く全ての国家が、自分たちの安全保障にとって核抑止への依存という現代の「必要悪」が必要でないと認識していることに注意を払いつつ、上記の批判者への私の反応は、「奴隷制に代わったものは何だろう」と問うことだ。私の答えは、「人間の望む生き方について選択の自由が否定されることにならないような、より人間的で、合法的で、効果的な富の生産手段」となる。この論法でいけば、核抑止は、全ての人間を未曾有の苦しみと来る世代に対する損害のリスクと地球の全生態系の破壊の可能性で奴隷にしない、より人間的で、合法的で、効果的な安全保障戦略に置き換えることができる。」

「安全保障に核抑止は必要ない」
「自己抑止を強める」

--アメリカ=「のけ者国家」
「オタワ=オスロ・プロセスを核兵器に?」
1996年対人地雷禁止、オタワ。1998年国際刑事裁判所、オスロ。
2008年にクラスター兵器禁止条約。すべてアメリカは「のけ者国家」だという。
他にも京都議定書など環境面でも多くの条約を批准していない。日本もあるけどね……。

もう、二枚舌の日本政府や米国などは無視して、これらの人たちと核廃絶をリードすべき時代ですね。
ヒロシマ市長なども、国際公約をすすめてもらいたい。

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