磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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天王山 沖縄戦と原子爆弾 上下

2007年09月17日 | 読書日記など
『天王山 沖縄戦と原子爆弾 上下』
    ジョージ・ファイファー(著)/
      小城正(訳)/早川書房1995年

この本では原爆の実相は描かれておらず、沖縄戦の悲惨さを表現している。沖縄戦もひどいものだったということは理解できます……。



下巻の「訳者あとがき」に書かれてあります。下「」引用。

「惨烈きわまる沖縄戦の様相が、終戦促進のため、原爆の使用につながった原因の一つである、という著者の指摘は傾聴に値するが、この件については読者諸賢の判断に委ねたい。」

“諸賢”ではないが、『原爆神話』を裏付けることには、このことではならない。沖縄戦がまだ続いていたわけでもない……。

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戦争は現場の人間が決めることではないことは、多くの方はご存知だと思う。天皇は法を無視して、終戦させようと外交努力していたという……。

原発もそうだが、止めることはできるのは現場ではない。
--民主主義などというが、こういう話では空々しいとしか思えない……。
ゆえに『公害と原発のあるところに民主主義はない』という人に同意。


『天王山 沖縄戦と原子爆弾 上』
    ジョージ・ファイファー(著)/
      小城正(訳)/早川書房1995年

この本には名言がいろいろありました。下「」引用。

「服従心を、もっとも短期間にそして徹底的に作り上げる場所は、いうまでもなく軍隊であった。
 軍隊こそ、若い青年たちを処罰という暴力の恐怖、昇進という利欲の誘惑にさらして、卑下と屈従と要領の怪物に仕上げる場所である。
     --南博著『日本人の心理』」

柳宗悦(やなぎむねよし)のことも書かれてありました。
柳は沖縄の文化を絶賛。
……それは当然のことと思う。
しかし、当時の日本人の多くは野蛮人で文化など理解できなかったようだ。
現代の日本では沖縄の文化の素晴らしさを知る人は多い。


沖縄で売春宿をつくる米軍。
--カトリックとプロテスタントの従軍牧師がこの不名誉な話しを聞きつけて抗議した。
連隊長は現代的な心の広さを見せて「もし私の部下がセックスをすることを望むなら、そうさせてやるまでのことだ」と答えた。
--二人の牧師は転属を願い出た。

従軍牧師、従軍神父が戦争賛美していただけの人でないことも理解できると思う……。
しかし、やはり従軍などというのは、イエスに従うことではないだろうともボクは思う。



『天王山 沖縄戦と原子爆弾 下』
    ジョージ・ファイファー(著)/
      小城正(訳)/早川書房1995年

あるカナダの記者の言葉。下「」引用。

「滓みたいなものだった--その点、アーニー・パイルも例外ではない……われわれは政府の宣伝のお先棒をかついでいたのだ……応援団の音頭とりだった。当時は他に方法もなかったと思う。あれは総力戦だったからね。だが、どんなことがあっても、私たちの演じた役割を美化することだけはしないようにしよう。あれはジャーナリズムのあり方として、望ましいものではなかった。ジャーナリズムですらなかった」」

今の日本の大手マスコミのほとんども同様ではないでしょうか?


【米兵の慰安婦】
沖縄戦といっても戦闘をしていなかった部隊は、
……海兵第6師団の慰安所で、中国人女性の慰安婦を相手にして、セックスや強姦をし、性欲を満たしていたという。

アメリカ人のこのような行為は許され、どうして日本人だけが、あれほど批難の合唱になるか不思議です。被害者に目をむけるならば、どちらの加害者をも無視すべきではないと思う。

ラッセル氏の疫病説をうらづける言葉。下「」引用。

「私がひとつだけ〔従軍記者として〕覚えたことは、戦争は人間を下等な動物のように堕落させてしまうという点で、国民や民族やイデオロギーの違いなど関係ないということです。
      --ジョン・ハーシー」

日本兵同士や日本兵による住民殺しが書かれていました。


--原爆のことをいうなら、原爆を必ず書くように!
そうお願いしたいものです……。








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