『シリーズ・戦争の証言10 満州=修羅の群れ-満蒙開拓団難民の記録-』
後藤蔵人・著/太平出版社1973年、1988年10刷
このようなものを読んでいると、石橋湛山のいうことを思い出す……。
--箱物行政よりも、きちんとした福祉をと願う今の一般市民と同様だろうと思う……。
同じ日本人とドブロク……。下「」引用。
「それでもやはり、毎日顔をあわせている中国人や朝鮮人たちが、土地をとりあげられたことをどう思っているだろうかという不安は、ひょいひょいと頭をもたげて団員たちの心を痛めた。そしてそのことが何かのひょうしに団員たちの口の端にささやき交されることもあった。そんな時は、ドブロクの勢いを借りて、まるで悪魔でも払うような勢いで、「勝ってくるぞと勇ましく」と、軍歌を高らかに歌って手拍子を打ち、肩をいからしてまぎらわすのであった。」
悪魔払いではなく、理性払いだったのではないか?
--天地逆転
敗戦はまさにそうだったのだろう……。
自殺者がたくさん出たようだ……。下「」引用。
「恐れていたものが、とうとうきたなと思った。うわさのように男を皆ソ連に連れ去ったりはしないが、「婦女暴行」「自殺」という文字が大きくわたしの胸をえぐった。連絡者の話で、元分会長一家の自殺は、強姦されたことが原因でのピストル自殺らしいこと、また団員入水自殺の原因は、全員学校終結を全員自決のための集結と早合点したための自殺と、もう一つはやはり強姦によって起こった自殺であることなどがわかって、危急にのぞんでの人間の神経の高ぶりに恐怖をおぼえた。これはよほど気をつけなければこの団でもたいへんなことになるぞと考えた。」
そして、ソ連軍について……。下「」引用。
「それにしても、ソ連軍がやってくれば治安がよくなるとばかり期待し、社会主義国ソ連の厳正なる軍紀を信じていたわたしは、少なからず失望した。あこがれに似たものをもっていたソ連軍が、「強姦」とはなにごとか! デマもまんざら根も葉もないデマではなかったのか! と、怒りとともに、ソ連にたいする信頼感が根底からゆさぶられだした。」
ドイツでも同様であったようだ……。
生きるために、煮豆の立ち売りをしたという。
チフスについて。下「」引用。
「わたしの二回のチフスの経験から、真性のチフスのばあいは牛乳と卵黄だけだったが、発疹チフスのばあいはなにを食べてもよかったことを思い出した。熱っぽいおとなたちに挟まれて押しつぶされそうなむすこを見守りながら、またしても襲いかかろうとする災難に直面して、これが生地獄というものだろうと思った。」
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もくじ
後藤蔵人・著/太平出版社1973年、1988年10刷
このようなものを読んでいると、石橋湛山のいうことを思い出す……。
--箱物行政よりも、きちんとした福祉をと願う今の一般市民と同様だろうと思う……。
同じ日本人とドブロク……。下「」引用。
「それでもやはり、毎日顔をあわせている中国人や朝鮮人たちが、土地をとりあげられたことをどう思っているだろうかという不安は、ひょいひょいと頭をもたげて団員たちの心を痛めた。そしてそのことが何かのひょうしに団員たちの口の端にささやき交されることもあった。そんな時は、ドブロクの勢いを借りて、まるで悪魔でも払うような勢いで、「勝ってくるぞと勇ましく」と、軍歌を高らかに歌って手拍子を打ち、肩をいからしてまぎらわすのであった。」
悪魔払いではなく、理性払いだったのではないか?
--天地逆転
敗戦はまさにそうだったのだろう……。
自殺者がたくさん出たようだ……。下「」引用。
「恐れていたものが、とうとうきたなと思った。うわさのように男を皆ソ連に連れ去ったりはしないが、「婦女暴行」「自殺」という文字が大きくわたしの胸をえぐった。連絡者の話で、元分会長一家の自殺は、強姦されたことが原因でのピストル自殺らしいこと、また団員入水自殺の原因は、全員学校終結を全員自決のための集結と早合点したための自殺と、もう一つはやはり強姦によって起こった自殺であることなどがわかって、危急にのぞんでの人間の神経の高ぶりに恐怖をおぼえた。これはよほど気をつけなければこの団でもたいへんなことになるぞと考えた。」
そして、ソ連軍について……。下「」引用。
「それにしても、ソ連軍がやってくれば治安がよくなるとばかり期待し、社会主義国ソ連の厳正なる軍紀を信じていたわたしは、少なからず失望した。あこがれに似たものをもっていたソ連軍が、「強姦」とはなにごとか! デマもまんざら根も葉もないデマではなかったのか! と、怒りとともに、ソ連にたいする信頼感が根底からゆさぶられだした。」
ドイツでも同様であったようだ……。
生きるために、煮豆の立ち売りをしたという。
チフスについて。下「」引用。
「わたしの二回のチフスの経験から、真性のチフスのばあいは牛乳と卵黄だけだったが、発疹チフスのばあいはなにを食べてもよかったことを思い出した。熱っぽいおとなたちに挟まれて押しつぶされそうなむすこを見守りながら、またしても襲いかかろうとする災難に直面して、これが生地獄というものだろうと思った。」
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もくじ