総理がコジキでコジキがソーリィー![]() 031 感情は冷えきって、幸福感なんて欠片もありはしない。 そのラッキー・アイテムをもてたら、僕は怪物たちに勝てるような気がした。 「ソーリィーって名の男かあ~」 ぼくはRPGゲームの主役になっている気がした。 そうさ、こんなアイテムをくれる人は仙人みたいな人に決まっているじゃないか。 きっと素敵な人なんだよと少年は考えていた。 区立図書館は広い、三階建てのビルディングである。 仙人みたいな人を僕はさがしていた。 でも、それらしい人は見つからなかった。 そこであきらめるような僕ではない。 僕は図書館の人に頼んで「ソーリィーって男の人を探しているんです。放送してもらえませんか」といった。 図書館の人は僕の顔をみて、いぶかっていた。それもそうだろう、高校生がいまごろ図書館にいること自体もおかしなこと。 「ぼくの叔父さんなんです。今日はお葬式があったもんで、叔父さん、めげていて、探しているんですよ。叔父さん、図書館が好きだから」 「そうなんですか、それじゃ」 と、図書館の人は親切に放送してくれた。 ぼくは何て嘘がうまいんだろう。素晴らしいと思った。頭脳明晰ってこういうことをいうのだろうと思った。でも、感情は冷えきって、幸福感なんて欠片もありはしない。 普通の男の人があらわれた。ただ、すこしすり切れた感じがする。 「あのー、なんでしようか」 「あー、坊や、叔父さんよ」 「あー、叔父さん」 ソーリィーは、ただ「おじさん」と思ったのだろう。 図書館司書はソーリィーの姿を見て、何か複雑な事情がきっとあるのだろうと思っている。 「あのー、おじさん、外に出ようよ」 「うん、何だね」 ソーリィーは困っていた。 「外に出てからね」
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