磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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岩波新書 新赤版236 幻の声-NHK広島8月6日-

2008年10月18日 | 読書日記など
『岩波新書 新赤版236 幻の声-NHK広島8月6日-』
   白井久夫・著/岩波書店1992年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「八月六日、壊滅状態の広島で、交信を求める悲しげな女性の声でラジオから流れた……。NHKに舞い込んだ一通の手紙から、“幻の声”の主を追う著者の旅は始まる、一七年にも及ぶ取材から見えてきた、巨大な悲劇の下の人間たちのドラマとは? 戦時下のメディアの実像、そして、敗戦を目前にした日本の防空体制の不備をもつく異色の記録。」



投書があったという……。下「」引用。

「一九七五年一月、NHK放送センターのわたしのデスクにかれた手紙の束から、なにげなく一通をとりだし、読みだしたときのことであった。手紙は、三○年前の思いもよらない事実を、わたしにつきつけた。
 原爆の落ちたすぐあとで、広島のラジオから美しい悲しい女の声が呼びかけ、やがて途切れた。その人はどうしたのか、と問うているのだ。-略-」

『日本放送史』などで調べていく著者。
--そして、合祀された死者の数が異なることに気付く。
そこには構造的暴力があったようだ……。下「」引用。

「日本放送協会の職制(一九四五年一二月)にもとづく「職員」とは、参事、副参事、主事、技師、書記、技手、事務員、技術員、工員、傭員であった。これはそのまま身分上の序列である。そして書記(事務系)、技手(技術系)以上にしか殉職という言葉は与えられていなかった。しかもこのなかで、技師以上のもの三名が最初に殉職として扱われ、それ以下の一○人はわざわざ次号に一括して扱われている。さらにその下の事務員、技術員など二三人は名前すら残らない「身分の低い」人たちなのであった。死者にたいする扱いにも、放送局では職階制がそのまま貫かれていたのである。」

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「マイクはふきとんだ--第二スタジオ・古田アナウンサー」
--やはり、このことは事実ではないだろうという……。

--「被爆ラジオ」 下「」引用。

「いまひとつ、「被爆ラジオ」が原爆資料館にあるのを、『きみはヒロシマを見たか 広島原爆資料館』という本から知った。」

きみはヒロシマを見たか-広島原爆資料館-

事実と違った個所があったという。下「」引用。

「土屋さんの答えは、簡単だった。来客があったので、ラジオを切っていた。軍刀をとりに二階にあがったのは事実だが、このラジオがガーガー音をたてるのを知ったのは、一年後に電気を入れたときで、その音を聞いてラジオが生きていると知り、のちに資料館に寄贈する気持になったのだ。「被爆ラジオ」のエピソードは 事実とかけはなれていた。」

原民喜とラジオのことが何か所かで書かれてあった……。下「」引用。

「しかし原民喜は、爆撃も軍靴の音も、アナウンサーの震える声の大勝利も聞かず、ただひとつ、戦車の轟音のなかから聞こえた婦人の叫び声をとらえていた。言葉の意味を、ではない。人間の叫びそのものを、である。緒戦の勝利に酔いしれた人びとが聞きのがしていたその声に、彼はやがてくる破滅のときを見ていた。」

戦勝でわきかえる時にも原民喜は人々の悲しみを感じていた……。

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ジャーナリズムではなかった。下「」引用。

「ナイトリーは、戦後三○年たって戦争報道にとりくんだチャールズ・リンチの言葉でしめくくっていた。「われわれが戦争中に書いたものを見直すことは屈辱的なことである。これらの記事はまったくのくずである。……われわれは政府の宣伝機関だった。初めは検察官が強制したのであるが、最後はわれわれが自分自身の検閲官に成り下がっていた。われわれは応援団員だった。……しかし、何としてもわれわれの演じた役割を美化してはならない。よいジャーナリズムではなかった。そもそもジャーナリズムではなかったのだ」。ファシズム対民主主義という第二次大戦の構図のなかで、これが民主主義陣営にあったジャーナリストの言葉である。ファシズム側にあって、たえず日の丸のために挺身した者に、どれほどの真実があったのだろうか。」

もくじ

--民主主義の反対をファシズムとするなら……。

アメリカン・ファシズム対日本のファシズムの戦いだったと思う。

そして、現在はアメリカのファシズムに隷属してる日本のファシズム。

ロシアや中国のファシズムに隷属する人たちとの言論の戦いもある……。

独自の日本のファシズムを追求する人たちもいる……。


今もジャーナリズムではないと思うことが多々ある。


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