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サムライYの青春-ベトナム戦争日本人志願兵の手記- 角川文庫 5705

2010年04月06日 | 読書日記など
『サムライYの青春-ベトナム戦争日本人志願兵の手記- 角川文庫 5705』
   横内仁司・著/角川書店1984年

解題……。下「」引用。

「この作品は、「野性時代」(昭和五十五年五月号)に一挙掲載されたものに加筆し、『ドック・タッグ』の原題で角川書店から、昭和五十五年十二月に単行本として刊行された。」



「ドッグ・タッグ」とは……。下「」引用。

「ドッグ・タッグ(DOG TAG)とは、犬の首輪に吊るす鑑札を意味する。銀色のポール・チェーンに繋がれた薄いニッケル製の、USA軍隊認識票の俗称である。-略-」

大阪生まれ。下「」引用。

「一九四四年二月十一日、大阪の食糧問屋の三男二女の末っ子として、私は生れた。翌年、家は空襲で焼かれ、一家は香川県に疎開した。-略-」

ロスのボーディング・ハウスへ。下「」引用。

「ボーディング・ハウスと呼ばれているが、建物も、経営者のおばさんを見ても、建設現場の飯場と呼ぶ方が相応しい。
 夢を抱いて日本を脱出し、アメリカを放浪しているうちに金がなくなり、目的を失った若者の溜まり場のようだ。-略-」

徴兵用紙が届く……。下「」引用。

「-略-食糧の買い出しから帰って来たオーナーが、徴兵用紙を見て、「こんなもの送り返せばすむ」と平然と口をはさんだ。観光ピザの者は、日本に帰るので入隊できませんと一筆書いて、徴兵用紙と繰り返せばそれですむ。今ここに居る何人かにも徴兵用紙が来たが、送り返した。後は何も言って来なかったという。」

魂の燃焼? 戦場へ。下「」引用。

「私もあの戦場へ行けるかも知れない。あの戦場には中東の砂漠で味わった以上の魂の燃焼がある筈だ。-略-河本の徴兵用紙によってすぐ身近に感じられ、イデオロギーを超越して私を誘い込んだ。-略-」

VD(性病)。下「」引用。

「ベトナムで女を買ってVDをうつされない者は、ラッキーだと言われた。朝鮮戦争の頃までは、VDをうつされた者は、軍から懲罰を受けたらしい。それで、うつされても報告せず、アメリカ本国に持ち帰って国内にVDを蔓延(まんえん)させた。したがってベトナム戦争からは罰則がなくなった。」

戦場のメリークリスマス。下「」引用。

「十二月二十四日。
 薬の力を借りて、眠りの世界に入り、痛みで目を醒ます。今日も、鈍痛が全身を巡り、目を開けると、外はまだ薄暗かった。
「メリイ・クリスマス!」
 交替の看護婦がドアを開けるなり、大声を出した。しかし、負傷兵から返ってくる言葉は、唸り声だけだ。-略-」

戦争には無関係な被害者もいることも忘れてほしくないものですね。







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