代替案のための弁証法的空間  Dialectical Space for Alternatives

批判するだけでは未来は見えてこない。代替案を提示し、討論と実践を通して未来社会のあるべき姿を探りたい。

真田丸 第22回「裁定」感想  

2016年06月05日 | 真田戦記 その深層
 前世で弁護士だったはずの源次郎が、過去に生まれかわって被告席に・・・・・。ツイッターで「古美門先生!」というワードが飛び交っていて笑ってしまいました。
 しかし真田源次郎は古美門先生ほど弁は立たず、本多正信の援護射撃によってかろうじて乗り切ったという感じでした。それにしても本多正信の反応は意外でした。いまのところ徳川と真田がいい関係になっているんですが、この後、どう転んでいくのでしょう。

 きりは、櫛の恨みをおにぎりで晴らしました。これは笑えた。しかも、源次郎への恨みを晴らしながらも、なおかつ裁判官(秀次)へのおにぎりの贈賄によって源次郎をちゃっかりと助けているという・・・・・。意識してやっているのか、天然なのかよくわかりませんが。

 とっても面白かった中で、残念だったのは、やはり猪俣邦憲と鈴木主水の名胡桃城をめぐる攻防が出なかったことでしょうか。

 30年前のNHK大型時代劇「真田太平記」では第10話「惜別の章」でこの名胡桃城事件が描かれましたが、全編を通しても屈指の名場面という呼び声が高いようです。真田太平記では、名胡桃城事件は秀吉の罠として描かれました。秀吉が、氏政からといってニセの密書を沼田城の猪俣邦憲に送り、名胡桃城を攻めさせるのです。真田昌幸は、名胡桃城の鈴木主水を助けて北条と戦えば、惣撫事令違反で北条のみならず真田までも取り潰すつもりだという秀吉の意図を見抜き、泣きながら鈴木主水と愛妾のお徳を見殺しにする・・・というストーリーでした。その丹波さんの昌幸の演技が迫真で・・・・。

 今回も、鈴木主水を死なせるくらいなら「名胡桃城など北条にくれてやればよかった」と、何とあの真田昌幸が、握りしめた胡桃を落としながら意外な反応を示しました。このシーンも、鈴木主水をチョイ役でもいいから出していてくれれば、泣けるものになったのでしょう。ちょっと残念。草刈さんも、当の鈴木主水がドラマに登場しなかったがために、このシーンを演じるにも感情が乗りにくかったのでしょう、心なしかやりにくそうな感じでした。
 
 
 さて「真田丸」では、名胡桃城事件にはなんの謀略も潜ませず、秀吉の裁定を不服とした北条氏政の意を汲んだ猪俣が単独で名胡桃城を攻め落とすというノーマルな解釈をしていました。三谷さんのことだから、史料の行間を読んで何らかの謀略を描きこむのではないかと思っていましたが、ここはノーマルな解釈できました。
 これまでも、意表をつくところでびっくりするような謀略のエピソードを挟んでくることがありました。名胡桃城事件は、実際に謀略臭がプンプンするところですが、意外にもノーマルな解釈をしてきました。ノーマルな解釈が、むしろサプライズ。これも製作者と視聴者とのあいだの息詰まる化かし合いといったとこでしょうか。

 さて、今回いちばん印象に残ったのは、石田三成の「戦が始まるときはいつもこうだ。いちど動き出せば、まるで暴れ牛のように前へ進んでいく。誰も止めることはできん」という台詞でした。

 じつに意味深な台詞でした。昔も今も変わりません。太平洋戦争という日本史上最悪の愚行をするときの雰囲気もそうだったのでしょう。また暴れ牛が動きだしそうな今日この頃ですが、止める可能性があるとしたら今度の選挙でしょう。今が歴史の分岐点。心せねばなりません。

 さて来週は、なんと忍城攻めが描かれる模様です。「のぼうの城」には、真田の「サ」の字も出てきませんでしたが、真田丸では真田が忍城攻めに関与していくようです。

 私は、前田・上杉・真田の連合軍は、松井田城を攻め、鉢形城を攻め、そして凄惨な八王子城攻めへ向かった・・・と理解していました。真田は、忍城攻めには最後の方でちょこっと参加した程度かと思っていました。今回の「真田丸」では、真田は八王子城攻めには加わらず、忍城攻めに最初からかかわっていたように描かれるようです。通説とは違った描かれ方だと思います。来週が楽しみです。

 じつは私は、今でも心霊スポットとして名高い、凄惨な殺戮が行われた八王子城に登ったとき、もしかしたら真田も殺戮にかかわっていたのかと思い、本当に怖い思いをしたものでした。真田軍が八王子城攻めにかかわっていないとしたら、どれだけ気が楽になるかわかりません・・・・。

 
 

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