中間玲子のブログ

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生まれ星座と性格の関係

2010-07-24 23:59:59 | 心理学こぼれ話
女性雑誌には大抵、星占いが載っています。
週刊誌や月刊誌には、今後の運勢などが載っているわけですが、
星占いの本には、「その人の基本的性格」というものが
載っています。

星占い、つまり占星術とは、生まれた時の惑星の位置が、
その人の性格や運命に神秘的な影響をもたらすと考えるものです。

昔からの占星術の言い伝えによると、大まかには、
十二星座のうち、
牡羊座、双子座、獅子座、天秤座、射手座、水瓶座は外向的、
残りの牡牛座、蟹座、乙女座、蠍座、山羊座、魚座は内向的、
また、「土」の星座(牡牛座、乙女座、山羊座)の人は、
情緒が安定して実際的であり、
「水」の星座(蟹座、蠍座、魚座)の人は、
神経症の傾向が強いとされるそうです。

この「外向-内向」および「情緒安定-神経質傾向」という分類は、
イギリスの性格心理学者・アイゼンクが膨大なデータをもとに因子分析によって見だした
性格の基本的因子と合致するものです。

「外向-内向」の因子は、個人の基本的な方向性が
自分自身に向いているか外の世界に向いているかの程度を表すもので、
「神経症傾向(不安定性-安定性)」は、
情緒の安定(不安定)に関わるものです。

占星術の言い伝えが本当ならば、アイゼンクの性格検査への回答は、
星座ごとに異なるものになるでしょう。

実際にそういう研究をアイゼンクはしているそうです。

アイゼンクは、イギリスで名高い占星学者のシェフ・メイヨーに協力を頼み、
占星術の学校に通う生徒やそこを訪れる相談者などについて、
2000人以上の人々の、アイゼンク性格検査と生年月日のデータをもらい、
両者の関連を検討したのだそうです。

結果はどうなったと思いますか…?

占星術の言い伝え通りだったのだそうです。

つまり、外向的な星座の人は外向性の数値が高く、
水の星座の人は、土の星座の人よりも神経症の傾向が強かったのだそうです。

占星術の雑誌では、「ことによると、今世紀最大の占星学の進歩か?」と
大々的に取り上げられたそうです。

しかし。

それをそのまま結論とするのは早急です。

この調査の協力者たちは、占星術の学校に通う生徒や相談者です。
おそらく彼らは、
自分が星占いでどういう性格の持ち主と言われているか知っていたはずで、
しかも、それを信じている人たちだろうと推測されます。

となると、この結果は、生まれたときの惑星の配置によるものではなく、
協力者が自分の星座の性格をあらかじめ知っていたためかもしれません。

アイゼンクはさらに2回、調査をしました。

まず、星座による性格の違いをあまり聞いたことのない
子ども1000人を対象にしました。
すると、結果は大きく異なり、星占いで言われている特徴は出ませんでした。
外向性や神経症的傾向のレベルは、
生まれたときの天体の配置とはまったく関係がなかったのです。

さらに、大人を対象として「生年月日と性格の調査」を行い、
その際、占星術の知識がどれぐらいあるかを考慮して分析しました。
すると、星座が性格に関係あると考えている人は、
占星術にあるとおりの特徴を示し、
占星術について何も知らない人には
そのような特徴は表れなかったのだそうです。

ここから、
「生まれたときの惑星の位置が、
その人の性格に神秘的な影響を及ぼすことはなく、
 自分の星座の性格をよく知っている人だけが、
占星術者が言うとおりの性格になる」
と結論することができるでしょう。

つまり、
「人は自分かこうなるはずだと思うとおりの人間になる」わけですね。
これは、占星術が当たる・当たらないという結果を越えた、
興味深い結果です。

私の研究でも、「こうありたい」と強く思うことが、
その方向への自己の変化を促すと結論されています。

もちろん、「今の自分」を「こうなるはずだと思っていたイメージ」で
100%説明できるかというと、そんなことはありません。
色々な要因が絡んでいますし、要因をいくらとりあげても
説明しきれないところもおそらく残るでしょう。

しかし、幾ばくかの大きな影響を与える要因の1つにはなるでしょう。
私は「自己形成過程」に興味をもって研究していますので、
人が、日常の中で自分についての情報を
どんなところから集めようとしているのか、
そのリソースの個人差にも興味をもっているところです。
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