来年3月末での「報道ステーション」(テレビ朝日系)降板を24日発表した古舘伊知郎キャスター(61)。同日の記者会見では「不自由な12年間だった」と語りながらも、晴れやかさものぞかせた。しかし、水面下では早くも後任が取り沙汰されている。そこには視聴率獲得と制作費削減に頭を悩ませるテレビ朝日の懐事情もみえてくる。
古舘氏は、キャスターを務めた12年について「不自由な12年間だった。言っていいことといけないこと、大変な綱渡り状態でやってきた」と明かした。
今年3月にはコメンテーターで元経済産業省官僚、古賀茂明氏(60)の“降板”発言で謝罪することになったが「今回の決断には関係ない」と否定。偏向報道との批判には「基本的に反権力であり反暴力。言論・表現の自由を守るという側面もあるが、あまりにも偏ってはいけない。とはいえ、全く純粋な中立公正なんてありえない」と持論を展開した。
そして、焦点は“ポスト古舘”に移る。在阪テレビ局のMBSで勤務し、現在は同志社女子大学教授の影山貴彦氏(メディアエンターテインメント論)は「視聴率激戦区だけに後任には即戦力が求められる。ジャーナリストを起用して育てる余裕はないだろう」と指摘する。
その上で「本命はフリーの羽鳥慎一アナ。これまでのとんがった路線からマイルドになったととられかねないが、ある意味王道。ここに赤江珠緒アナをつけるのがベスト」と予想。「月曜から木曜までにして、金曜日はカジュアルに宮根誠司アナを投入するという手もある」との裏ワザも。
そして“穴”はTBSの安住紳一郎アナの名前を挙げる。「器用さも含めて、実力は一番。自身にとっても最初で最後のフリーになる道。尊敬する久米宏の通った道だと口説けば可能性はある」
そして“大穴”に挙げるのは久米宏氏。「ワンポイントリリーフだが、オヤジ層はやっぱり久米宏と思っている」
放送関係者の間では安藤優子氏や長野智子氏の名前も挙がる。一方局アナを有力視する声も。古舘氏の代理を務める富川悠太アナ、報道畑の平石直之アナ、定年退職したが「朝まで生テレビ!」の司会を務める渡辺宜嗣アナらが取り沙汰される。
そこには報ステの制作に古舘氏の所属する「古舘プロジェクト」から多くのスタッフがかかわり、「テレビ朝日から年間数十億という莫大な制作費が支払われてきた」(関係者)という背景がある。「今はどの局も制作費削減が必至で、局アナ起用の流れが強まっている。しかし局アナでは視聴率は取りにくい」と民放関係者。さらに「報道内容に批判を受けることが多かっただけに、新キャスターは局の意向が反映しやすい人をという声もあるようです」とも。
当の古舘氏は、後任について「思い切り硬いジャーナリストの線もあるし、アナウンサー系で前後左右みながらやっていく線もある。僕みたいに問題発言しないほうがいいんじゃないですか」と皮肉を交えた。
視聴率か制作費か扱いやすさか。テレビ朝日の選択が注目される。