【浪速風】
国を守るのか、憲法を守るのか(7月13日)
60年安保は衆院での強行採決によって反対運動に火がついた。それまでの日米安保条約は、米軍の駐留を認めるだけで日本を守る義務を明記していなかった。そうした片務性を改定しようとしたのだが、国会を包囲したデモ隊の学生リーダーですら新条約の条文を読んでいなかった。
▼安全保障関連法案をめぐる衆院の審議は今週がヤマ場だが、野党、とりわけ民主党は60年安保の再現を狙っているのではないか。「戦争法案」「徴兵制につながる」と為にするレッテル貼りに終始し、ようやく提出した対案も採決引き延ばしの意図が透けて見える。審議を打ち切れば「民主主義の破壊」と騒ぎ立てるのだろう。
▼憲法学者が「違憲」と指摘したことで一部のマスコミも「憲法を守れ」と言い立てるが、大切なのは「この国をどう守るか」だ。60年安保で野党第一党だった社会党は「米国の戦争に巻き込まれる」と主張したが、そうはならなかった。今こそ歴史に学ぶべきである。