林家住宅。および生き字引。

2005-09-24 22:17:36 | ■おもに建物。
大規模な邸宅ではなく、ヨイショとばかり、「江戸東京たてもの園と岩崎邸にまとめていったような」と申しますと、そんなもん、じゃない、とばかり言葉の雨の恵みです。特にカネのかけ方でね。

市への移管の際、ご近所茅野生まれの、おなじみ藤森照信さんが検証して見つかった2階の金唐紙は岩崎邸の金唐紙の復元をした上田尚さんの折り紙つき本物。

写真、廊下の天井にずっと渡された檜は、途中に糸車をデザインした欄間もどきを挟んで、丸々一本の木。

その他、藤森さんが、他ではあり得ないので値段も想定しづらいと言ったという銘木の数々。屋久杉の天井、栂、楓、鉄刀木(たがや)、いろいろあって忘れたわ。非常に緻密な、希有な木材を、黒檀、紫檀と並ぶサンダカン……と聞こえたものは(資料にお金を使わなかったので)不明。桑の木ひとつでも、伊豆にしかないものだとか。

欄間は東照宮の修理にも参加した立川流の某、および清水好古斎(←これは無料のリーフレットに記載)。

穀倉は外からだけだが、年貢米を先入れ先出しできた機能的なものらしい。
繭蔵。移管の際、床下の緻密でかたい木をこじ切ってのシロアリ調査では、縁の下に巨大な石が敷きつめられ?、その間を小石が埋めるという周到なものだったとのこと。

いずれ更地にして売られるところだったという。生活の場でなくなった個人の住宅はあくまでも財産価値、課税対象。



「ああ、そちらが主ですか」。イルフ童画館と答えたことにあきれた、、、のかと思いきや、それよりも紹介したい気持ちが先に立つ様子。

「お時間ありますか。お泊まりですか」  そんなあたしたちにだ。あっけにとられる。1時間でもいちにちじゅうでも紹介時間は自在らしい。

どちらでも観覧料550円に変わりはない。きょうは、あすのお茶会の準備で、観覧はそのすき間を狙うようだったが。2階は、本物の金唐紙ゆえに今やすっかり黒ずむ。それでもその天井の低い小さな二間に入った瞬間、秀吉の茶室を思う(暗くてケータイカメラでは無理)。窓枠も実にしゃれている。
「ほんとはこの囲いの中から見せるように教育委員会から言われてるんですけどね」と、囲いの外、つまり奥までさっさか案内してくれる。

毎日新聞の岩見隆夫似(あたしが似てるといって似てることは少ないらしい)。
 
書物に頼らぬ系の生き字引。あたしたち素人の職業も聞きたがり、この家に興味を持つひとから少しでも学べるものは学ぼうという『気』を畏れる。

30分ほどで、金唐紙を見に北海道から来たという客のために彼は去り、(彼のあとをひきとった、市移管の前からお手伝いをしているという女性もすてきでした)1時間未満で帰るうしろめたさよ。

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