若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

公開質問状への(個人的)回答 ~熊本市議会のトラブルメーカー緒方氏騒動続編~

2018年10月12日 | 地方議会・地方政治
前回記事で
「熊本市自治基本条例をより良くする会」の公開質問状が出されたら、コメントしてしまいそう。
と書いていたところ、その公開質問状がネットでアップされてました。

○みんなではぐくむ会: 議長と懲罰特別委員長に公開質問状提出
はい、釣られましょう。
前回までのシリーズで述べたことの焼き直しになってしまいますが、質問ごとにコメントしてみます。

(今回の記事は、熊本市議会宛ての公開質問に対し、これを素材に外部の個人が勝手に回答風なものを作ってみたものです。組織・団体を代表するものではありません。)

【議長の注意をきかない緒方氏】

======【引用ここから】======
質問1)今回の懲罰について、「会議規則に具体的に禁止する旨規定されていない」のに、懲罰を行なった理由は?
======【引用ここまで】======
回答1)
地方自治法には、議長の権限についての規定があります。この中で、議事整理権・秩序保持権と呼ばれるものがあります。議長には、議場の秩序保持を目的として1次的に議員の発言、行為を制止し、退席させることが認められています。議員が議会の品位を尊重することは議会の秩序を保つことにつながり、円滑な議事運営や市民の議会への信頼向上に資するものと考えます。

ここで、「秩序」や「品位」といった文言は、幅広い意味内容を含む包括的なものです。秩序を保つために必要な措置や品位を欠くと判断される行為について、予め網羅的に条文化することはできません。このため、秩序保持権を有する議長や会議規則の審査を行う議会運営委員会において、問題が生じた場合にその都度解釈し判断する必要があります。

今回、議場において議長は、緒方氏の飴を舐めながらの登壇・発言は品位を欠く不適切な行為と考え、熊本市議会会議規則第134条に抵触するものとして注意しました。また、会議規則の審査を所管事項とする議会運営委員会も開催され、改めて緒方氏に対し謝罪の意思の確認が行われています。このように、緒方氏は議長から議場において、また議会運営委員会においても注意を受けたにも関わらず、それに対する反省の弁や意思を示しませんでした。さらに、議長がその行為を止めたにもかかわらず、緒方氏は改めませんでした。

このように、議長の注意、制止に従わなかった緒方氏に対し、地方自治法第135条第1項第2号及び熊本市議会会議規則第143条に基づき懲罰としての陳謝文による陳謝が決定されたものと理解しています。
そして、緒方氏がこの陳謝文による陳謝も拒んだことから、地方自治法第135条第1項第3号に基づき、懲罰として1日の出席停止が決定されたものです。

緒方氏が議長に対し事前に了承を得ていれば、あるいは、注意を受けたその時点で謝罪し飴を舐めるのを中止していれば、懲罰にまで至ることはなかったのにと思うと非常に残念です。

============
○地方自治法
第百二十九条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。

第百三十五条 懲罰は、左の通りとする。
 一 公開の議場における戒告
 二 公開の議場における陳謝
 三 一定期間の出席停止
 四 除名

○熊本市議会会議規則
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。

============

【せめて事前了承を得ましょう、社会人として】

======【引用ここから】======
質問2)緒方議員の「咳が出ていたため、咳の発作が出ないように、議事がスムーズに侵攻するようにのど飴をなめていた」行為が、「議会の品位の尊重に明らかに抵触する」と判断された理由は?
======【引用ここまで】======
回答2)
物を食べながら人に相対して会話するという行為は一般にマナー違反とされ、品位を欠くものと考えられています。やむを得ない場合は、会話する相手の了承を得た上で行うべきものです。

議場で登壇し発言する際、登壇する議員は、傍聴者、庁舎モニターでの視聴者、インターネットでの視聴者を意識し、議会の品位を保持するよう配慮する必要があります。このため、物を食べながら発言することは極力避けるべきと考えられます。仮に、飴を舐めて登壇し発言する必要性があるならば、せめてその旨を事前に議長に伝えて了承を得て、議長から議場にいる議員や市長その他幹部職員、傍聴者等に対しその説明がなされた上で、発言を始めるべきと考えます。
こうした事前説明が無ければ、傍聴者等は

「よくわからないけど、飴を舐めながら長時間発言している無礼な議員がいる」

としか理解のしようがありません。これを放置することは、市民の議会に対する信頼を損なうことになります。事前了承が無いまま飴を舐めながら登壇、発言したことは、議会の品位の尊重を求める会議規則の規定に抵触するものと理解しています。緒方氏に対し議長が注意し改めるよう求めたことは、議会の品位を保つ上で必要な措置であったと考えられます。

【除名と出席停止は程度が違う】

======【引用ここから】======
質問3)「熊本市議会会議規則」は上位法に当たる「地方自治法」に基づいて解釈運用しなければならないが、熊本市議会、懲罰特別委員会及び議会事務局の解釈と運用は地方自治法に基づいていないと考えますが、見解をお示しください。

 *地方自治法132条「品位の保持」、同133条「侮辱に対する措置」や札幌高裁判決『「無礼の言葉」や「議会の品位」要件は厳格に解されなければならず、またそれを客観的判断を下したと解し得ない限り、たとえ議会が主観的に判断して懲罰を科したとしてもそれは違法な処分で取り消しを免れない』を参照して検討したか?

======【引用ここまで】======
回答3)
回答1)で述べたとおり、地方自治法に基づいた議事運営であったと考えます。

なお、札幌高裁判決は懲罰としての除名の違法性を争ったものであり、出席停止については議会の自律の観点から原則として司法判断の対象外とされています。例外的に、議場外の発言や行為を指して出席停止とされた場合や、出席停止に伴い議員報酬減額がなされた場合については、出席停止であっても司法判断の対象となる可能性がありますが、いずれも今回の場合には該当しません。

【懲罰の段階】

======【引用ここから】======
質問4)恣意的に規則を解釈し、懲罰に値する要件を欠いた理由で、地方自治法に反する手続きで懲戒処分を行ったことについて、懲罰委員会と議会に瑕疵があると考えるがどうか?
======【引用ここまで】======
回答4)
議場における注意、議会運営委員会における注意があり、これに対し謝罪しなかったことから懲罰としての陳謝文による陳謝という判断がなされ、これすら拒んだことから懲罰としての出席停止に至ったという流れが前提にあると理解しています。地方自治法・会議規則に沿ったものであり、手続きに瑕疵はないと考えます。

======【引用ここから】======
質問5)議会運営委員会や本会議で緒方議員本人の弁明・説明・釈明の機会を保証しなかった理由は?
======【引用ここまで】======
回答5)
議会運営委員会で緒方氏に対し謝罪の意思があるのかどうか確認がなされ、その際に事情の説明をする機会もあったかと思います。

======【引用ここから】======
質問6)「のど飴を口に含んで登壇したこと」を理由に党院停止の懲罰は適切であったとお考えか?
======【引用ここまで】======
回答6)
上記回答で述べたとおり、「のど飴を口に含んで登壇したこと」のみならず、議長の指示に従わず、議会の決定にも従わず、議場における秩序維持に著しく反したという出席停止に至る一連の過程があったことをご理解ください。

【請願権と、議員の発言の機会とは別物】

======【引用ここから】======
質問7)緒方議員の質問権と討論権は市民の請願権と一体になったもの。緒方議員の質問と討論を懲罰で奪った議会の決定は、市民の請願権の侵害に当り不当な排除と考えますが見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答7)
団体からの請願書については、請願法及び地方自治法に基づき適切に処理されています。具体的には、地方自治法第124条に基づき緒方氏の紹介により請願書が熊本市議会に提出され、請願法第5条に基づき受理され、本会議で委員会付託された後、地方自治法第109条第2項に基づき議会運営委員会で審査されています。

他方、会議規則に基づき行われる議員の質疑・討論については、その発言によって請願の内容が分かりやすくなるという一定の効果が認められます。しかし、質疑・討論は請願者とは別人格である議員が行うものであって、請願権と質疑・討論とは一体のものではありません。最終的には、個々の議員が請願書を読み内容を把握した後に賛否を判断し表決に臨むのであって、質疑・討論の発言内容は判断材料の一つに過ぎません。

また、請願の手続きとして、質疑、討論が不可欠の要素として定められているわけではありません。会議規則においても、一定の場合に発言通告が無効となることが予定されています。

なお、緒方氏の質疑の発言通告に、
請願を採択すべきでは
という文言が複数見られますが、質疑の中でこの内容の発言をすることは会議規則に違反するものであることを申し添えます。

============
○熊本市議会会議規則
(発言の通告及び順序)
第50条
4 発言の通告をした者が欠席したとき又は発言の順位に当たっても発言しないとき若しくは議場に現在しないときは、当該通告は効力を失う。
(質疑における意見の禁止)
第53条 議員は、質疑に当たっては、自己の意見を述べることができない。

============

【請願は終わりました。やり直しは無理筋】

======【引用ここから】======
質問8)本会議を招集し、中断された議会運営委員長に対する緒方議員の質問を再開し、緒方議員による賛成討論を行い、再度、採決等の手続きがなされることが、正統な手続きを経た上の決定と言えますが、見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答8)
上記回答のとおり、正当な手続きに沿って請願の受理、委員会付託、審査、委員長報告、表決が行われています。質疑の中断、討論の省略についても、発言予定者が出席停止になった以上はやむを得ないものと考えます。

また、地方自治法における再議を行うのも難しいのではないでしょうか。

======【引用ここから】======
質問9)議会運営委員会では当会の7つの請願について十分な審議がされていないため、委員会にさしもどし「再審議」を行うべきと考えます。見解をお示しください。
======【引用ここまで】======
回答9)
繰り返しになりますが、正当な手続きに沿って請願の表決まで終了しています。このため、議会運営委員会への審査のさしもどしは不可能であると考えます。


【委員会審査が不十分であるという点について】

熊本市議会の会議録を見る限り、議会運営委員会の審査方法は

 ・案件を会派へ持ち帰り、会派内で協議することを議運委員間で確認する。
     ↓
 ・議運委員が会派で内容を伝え、会派内で協議し、会派としての意見をまとめる。
     ↓
 ・委員会で議運委員が会派の意見を報告する。
     ↓
 ・会派ごとの意見に相違があれば、再度会派へ案件を持ち帰る。

という流れになっているものと推察されます。

議運委員が会派選出となっていることから、議運での審査は、その場で議論を戦わせるというよりも、会派間のすり合わせが中心となっているようです。このため、審査の中身が見えづらく、決定までのスピード感を欠いている印象は否めません。ただ、審査の中身が見えづらくスピード感に欠けているということは、表決まで終わった案件を議運へ差し戻す理由にはなりません。

現状の議会運営委員会の構成や審査方法の中で請願内容の採択を目指すのであれば、緒方氏は何をすべきであったのでしょうか。

これについては、緒方氏が、他会派の議員が協議を行う場に趣旨説明に赴き、内容について理解を深めてもらい、賛同してもらうようお願いすることが必要であろうかと思います。採択には過半数の賛成が必要であるため、複数の会派を回ってお願いに行くべきです。そのためには、日ごろから他会派であっても友好関係を築いておくことが不可欠です。

逆に、紹介議員である緒方氏が飴を舐めながら演壇で長時間演説を行い他の議員の反感を煽ったことは、請願の不採択に向けた最短ルートであったということが言えます。

このため、当ブログとしては

緒方氏は議員に向いていない。
『熊本市自治基本条例をより良くする会』は紹介議員の選択を誤った。

という意見を述べて、今回の記事を終わります。

熊本の緒方夕佳氏を通して地方自治法と会議規則を眺めてみよう

2018年10月06日 | 地方議会・地方政治
お手盛りの次は飴玉モゴモゴ また緒方夕佳さんですか? ~熊本市議会のトラブルメーカー~ - 若年寄の遺言
熊本市議会の対応は間違っていない ~トラブルメーカー緒方氏に対する適切な処置~ - 若年寄の遺言
熊本市 子連れ市議会/あめ玉市議会Q&A(という名の個人的雑感) - 若年寄の遺言

熊本市議会の緒方氏が引き起こした騒動を通して、改めて地方自治法や会議規則を読み直す機会を得ました。この点で、緒方氏には感謝しています。
そして、緒方氏本人が騒動当日のことを書いたブログがありましたので、これを題材にしたうえで本シリーズを一旦終わりにしようと思います。
(あ、でも、「熊本市自治基本条例をより良くする会」の公開質問状が出されたら、コメントしてしまいそう。)


白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
今回も咳が出ないように議場に入った時には龍角散のど飴を含んでおり、一個目が切れて、二個目を自席に戻った時に含みました。口に含んだのをみて、なのか、口の中に入っているのに気づいたのかは指摘したご本人たちに聞いてみないとわかりませんが、二個目が口に入っている時に「飴を食べているぞ!」「飴を出させろ!」「ルールに従わなんて指摘しとるなら、あたが飲食禁止の規定ば守らなんでしょうが!」「飲食禁止!」などのヤジがあり「飴を出させろ!」の声がどうしようもなく高まって議長が議会を止め、暫時休憩にしました。
======【引用ここまで】======

誰にも断りを入れることなく1時間の質疑中のど飴を舐めながら発言をし続け、自席に戻り、二個目の飴をくわえて質疑を再開した緒方氏。
この品位を欠いた行為に気づいた他の議員は、次の規定に基づき、議長の注意を喚起することができます。

地方自治法
======【引用ここから】======
第一三一条 議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、議員は、議長の注意を喚起することができる。
======【引用ここまで】======

「飴を出させろ!」は、議長への注意喚起という位置づけと考えます。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
議会の「品位の保持」は地方自治法に規定されています。
「第一三二条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」http://www.houko.com/00/01/S22/067.HTM#s2.6.9 とあります。つまり、咳が出ないようにのど飴を口に含むことは議会の品位を軽んじることではありません。

======【引用ここまで】======

もう一度地方自治法を読んでみましょう。

地方自治法
======【引用ここから】======
第一二九条 普通地方公共団体の議会の会議中この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員があるときは、議長は、これを制止し、又は発言を取り消させ、その命令に従わないときは、その日の会議が終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。

第一三一条 議場の秩序を乱し又は会議を妨害するものがあるときは、議員は、議長の注意を喚起することができる。

======【引用ここまで】======

緒方氏が引用した第一三二条と、私が引用した第一二九条、第一三一条を合わせて読んだ上で、次の条文を見てください。

熊本市議会会議規則
======【引用ここから】======
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。

======【引用ここまで】======

緒方氏は、
「地方自治法は品位の問題を『無礼の言葉』『他人の私生活にわたる言論』に限定している。」
と主張したいのかもしれません。しかし、地方自治法は「秩序を乱す議員の制止」を規定しています。地方自治法をうけての会議規則です。議会の品位は、無礼な発言や秩序を乱す行為を防ぐことで達成されるものと包括的に解釈すべきでしょう。
少なくとも、品位尊重の対象を言論に限定すべき理由はありません。

なお、熊本市の共産党市議団が「懲罰までは必要なかった」との反省コメントを出していますが、そのコメントの中でも

2018年9月議会最終日の緒方夕佳議員の懲罰について
======【引用ここから】======
本会議の質疑は真剣な論戦の場であることを踏まえ、飴を舐めての登壇や発言は、不適切であると考え、行為の中止と反省を求めました。緒方議員は議場において、議長がその行為を止めたにもかかわらず、止めずに、本会議ならびに議会運営委員会の場において、それに対する反省の弁や意思を示しませんでした。仮に風邪などで体調が悪い場合であっても、議長に断って発言するか、服薬等で対応するなど、常識の範囲で行動すべきであったと考えます。
======【引用ここまで】======

として、飴を舐めて演壇で発言したことから反省の意思を示さなかったことまでの緒方氏の一連の行為について、非常識・不適切であったと述べています。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
*懲罰には4種類あります。私に最初に課された「陳謝」はあちらが用意した「陳謝文」を強制的に皆の前で見せしめのように読ませることでした。心にもないことを読むように強要するのは人権侵害にあたるのではないでしょうか。このような処罰が議会に存在するのは大問題です。
======【引用ここまで】======

懲罰としての陳謝は、議会の定める陳謝文によって行うことが会議規則で定められています。

熊本市議会会議規則
======【引用ここから】======
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。

======【引用ここまで】======

会議規則によって定められた方法が嫌だとしても、その会議規則を定めているのはあなた達議員です。
緒方氏は
「私は、議会の定めた会議規則に従いません。しかし、市民は議会の定めた条例に従え。」
とおっしゃるのでしょうか。
住民税や固定資産税、国保・介護の保険料は市民にとって重い負担です。この金額や支払方法は、議決された条例に基づいています。
市民は

「生活が苦しくて支払えない!」
「緒方の議員報酬1000万円に充てられるくらいなら、金をドブに捨てた方がましだ!」

と主張して滞納しても、条例に基づき市から強制的に徴収されてしまいます。
みんな嫌なんです。無理やりなんです。
なのに、その条例を定めた議員が、同じように議会で定められた会議規則に従わない姿を見た時、市民はどう思うでしょうか。
議員が会議規則に従わないということは、市民の条例に対する信用を毀損する行為です。

なお、のど飴を舐めながら質疑していたことに対し注意を受けたが謝罪しなかった、という一連の行為は、いずれも議場内での出来事です。
最終的な処分も除名処分ではなく出席停止であったことから、司法審査の対象とはならないでしょう。
このことから、

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
どこに訴えると人権侵害であるという判断をしてもらえるのでしょう?ご存知の方はおしらせください。
======【引用ここまで】======

との問いに対しては、

「市議として、熊本市議会で『議会の定める陳謝文による陳謝を定めた規定は人権侵害だ』という理由で会議規則の改正を議員提案する方法がある」

という回答になります。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
*議員の発言権を奪ったことの重大さ。そしてそれに気づいていない議員諸氏。
議員の役割は市民のために話す事です。ですから、「発言権」を奪われたら何も残りません。この権利を奪うことは、代弁される市民の権利を奪うことです。どうもこのことがよく理解されていない様で、のど飴を理由にこの最重要の権利が剥奪されてしまいました。

======【引用ここまで】======

緒方氏に対しては、議員として発言権を行使する機会は与えられていました。現に1時間もこれを行使していました。
通常、会議には時間が限られていることから、

「議員一人につき発言は○○分まで」
「会派を代表して発言する議員に、会派人数に応じて発言時間を与える」

といった内部ルールを定めていることが多いかと思います。
49人の議員がいて、その中で一人会派の緒方氏に対し1時間も発言を認める熊本市議会は寛大だなぁ、というのが私の印象です。

ところで、もし緒方氏が自分の発言権の重要さを認識しており、自分の発言を通して市民の声を代弁することへの使命感を有していたなら、なぜ、議会運営委員会で問われた時点で謝罪しなかったのでしょうか。あるいは、陳謝文の朗読をせずに
風邪で咳の発作を止めるために喉の薬を口に含んでいましたが、それがどなたかのご気分を害したのであればお断り申し上げます。
などと、謝罪というより挑発に近い発言をしたのでしょうか。早い段階で謝罪していれば、質疑を再開することができたのにも関わらず、です。

緒方氏は、「自分の中の不快感」と「市民の声の代弁」の二つを天秤にかけ、自分の中の不快感を抑えきれずに謝罪拒否を選択しました。
それだけのことです。

はい、次。

白日の下で  緒方ゆうか Official Blog Site 「不服従」
======【引用ここから】======
イギリスのメイ首相が演壇で水を飲みながらも、咳が止まらなくなり、閣僚の一人がのど飴を手渡してくれるという場面があります。https://www.bbc.com/japanese/41507970 国籍、人種などを問わず、咳が出るときはのど飴が有効であり、文化の問題ではありません。
======【引用ここまで】======

演説中に咳が止まらなくなり、水を飲んでも止まらず、閣僚の一人がのど飴を渡してくれました。そして、首相が閣僚に対し一言ジョークと謝意を述べた後、のど飴を舐めながら演説を再開しています。

この一連のやりとりを見ているからこそ、聴衆ものど飴を舐めながらの演説に納得するのであり、TPOをわきまえたものとして品位は保たれているのです。「のど飴を舐めていた」という断片を切り取るのではなく、咳をこらえようとするメイ首相の姿、聴衆から進められて初めてのど飴をくわえたといった流れを理解したいものです。

もし、メイ首相が何の説明もせず、冒頭からのど飴を舐めながら演説していたらどうなったでしょうか。見ている側からすれば、全く印象は異なります。
イギリスのメディアも
「保守党大会の権威が失墜。いつからフードコートでのお喋りになったのか」
くらいの批判をしたことでしょう。

熊本市 子連れ市議会/あめ玉市議会Q&A(という名の個人的雑感)

2018年10月04日 | 地方議会・地方政治
(このまとめは若年寄の個人的見解であり、特定の団体・組織を代表するものではありません。)

【Q1.あめ玉ひとつでいきなり出席停止は酷すぎるのではないか?】

A1.あめ玉ひとつでいきなり、ということではありません。
緒方夕佳氏があめ玉をくわえたまま演壇で演説をするという品位を欠く行為に対し、議会側からまず注意がありましたが緒方氏は謝罪しませんでした。
このため、議会は会議規則に基づき懲罰としての陳謝文朗読を決定しましたが、緒方氏はこれも拒否しました。陳謝文による陳謝は会議規則に定められた方法であることから、緒方氏の行為は明白な規則違反ということになります。
このため最終的に出席停止処分が出されたという、段階的な手順を踏んでのものです。

【Q2.出席停止は、保守政党・男性議員による子育てママへのイジメではないか?】

A2.今回の懲罰特別委員会の設置や懲罰内容の決定については、男女や会派の別を問わず全会一致で可決されています。子育て支援に熱心な政党の会派や他の女性議員も、緒方氏の一連の言動を問題視しているということです。
品位を欠いた行為に対する最初の注意の時点で、適切に謝罪していれば、議会の空転も出席停止も無かったと思われます。

【Q3.のどあめごときで8時間も休止するな】

A3.本会議中にイレギュラーな事態が生じ、これに対応するために議会運営委員会を開いて協議するとなると、1回につき準備等を含めて30分くらい要してしまうことがあります。ましてや、滅多に発生しない懲罰特別委員会の設置、開催となると、開催のたびに手順確認、資料作成、会派内の協議等で相当な時間を要します。議会運営委員会、懲罰特別委員会を複数回開催しなければならない状況となったことで、結果として当初予定されていた議事日程が8時間休止になったものです。
確かに、手続きが煩雑であるという印象は拭えません。しかし、本会議での議決はそのまま自治体全体の意思決定、または議会という機関の意思決定となるために、本会議の運営には厳格な手続きが定められているものです。

【Q4.請願の質疑の途中で緒方氏を退席させ、質疑を中断したまま表決を行ったのは請願権の侵害ではないか?】

A4.今回の請願は、請願権に基づき紹介議員を介して本会議で議題とされた後、所管する委員会に付託されました。委員会での審査を経て審査結果が本会議で報告され、表決に至りました。
一方、請願の委員会審査報告に対する質疑は議員の発言権の一環として実施されるものであり、請願権の一環として必ず質疑が行われなければならないというものではありません。質疑の途中で発言者が出席停止となったのは発言者の事情によるものであって、請願者の請願権侵害には当たりません。

【Q5.赤ちゃんを連れて議場に入るのをなぜ拒否したのか?】

A5.議場は、議題となった議案について説明を受け、質疑、討論、表決などを行う場所であって、子供の世話や高齢者の介護をするための場所ではありません。そのための設備もありません。熊本市議会事務局からは「議員がベビーシッターを手配して、会議中は議員控室で子供を見てもらったらどうか」という回答がなされています。
同じような対応をとった議会として、沖縄県北谷町議会があります。議員控室を保育スペースとして使用することを認め、会議中は議員が手配した有償ボランティアに子どもを預けるという対応をとっています。

【Q6.自費でベビーシッターを手配するのではなく、議会側が手配してあげるべきでは?】

A6.熊本市議会議員には1年間で議員報酬約1000万円が支給され、さらに議員活動に対する補助金として政務活動費が年240万円支給されています。一般の子育て世代の親とは異なり、緒方氏に対しては議員として十分すぎる金額が支払われています。緒方氏の要望に応じ税金で議員用ベビーシッター代や議員用託児室の整備費用を支出することは、過剰な議員特権と評価されるおそれがあります。

【Q7.ニュージーランドのアーダーン首相は国連に赤ちゃんを連れて出席していた。これが国際水準ではないのか?】

A7.アーダーン首相は事前に国連側に相談し、赤ちゃんに対し特別な身分証を発行してもらっていました。事前の相談・了承が必要なのは国際的に共通しています。
しかも、緒方氏はルールを作る立場の人間であるにも関わらず、事前に赤ちゃんを議場に連れて入るためのルールが無いまま無許可で強行しました。赤ちゃんを議場に連れて入ること自体が問題視されたというよりも、こうした緒方氏の政治姿勢が問題視されています。

【Q8.イギリスのメディアは、子連れ市議会/あめ玉市議会における議会側の対応を批判している。やはり前時代的な対応ではないか?】

A8.イギリスでは、ロンドンを除く地方議会の議員は無報酬(手当てのみ有)の名誉職という扱いになっています。イギリスのメディアは「地方議員=無報酬」という自国でのイメージに基づいて語っている可能性はないでしょうか。
このイメージに基づき、
「無報酬で頑張ってるんだから、会議時くらい議会側でベビーシッターを手配しても良いのでは。」
という誤った認識が形成されていないでしょうか。
熊本市議会議員の待遇を知ったら
「そんなに報酬を貰っているなら、ベビーシッターは議員側で手配し自費で対応して当然だ。」
と考えるのではないでしょうか。

また、イギリスのメイ首相が党大会演説中に咳が出て、財務大臣から渡されたのど飴を舐めながら演説を続けたということがあったようです。
Blomberg

これは、党大会における首相演説というメインの最中で首相が咳き込みだし、水を飲んでも咳が止まらないことから、財務大臣が見かねてのど飴を差し出すほどの場面。飴を舐めながらの演説がやむを得ない状況であるのは明らかです。緒方氏とはまず状況が違います。
また、周囲の聴衆に
「飴を舐めながらの演説でも、この人の演説をもっと聴きたい、最後まで聴きたい。」
と思わせたメイ首相の人柄や演説内容も背景にあるのだと思います。
少なくとも、
「いつまでこの演説を続けるのか。喉が痛いなら早く演説止めたらいいのに。」
という周囲の反感を買ってはいなかったでしょう。

熊本市議会の対応は間違っていない ~トラブルメーカー緒方氏に対する適切な処置~

2018年10月02日 | 地方議会・地方政治
熊本市議会あめ玉騒動の件でtwitterを眺めてると、結構な割合でこういう人を見かける。

ミミズクさんのツイート
======【引用ここから】======
熊本市議会・懲罰特別委員会こそ緒方市議に対して陳謝して欲しい。そんな理由で8時間も議会を止めた人たちこそ、出席停止にしたらいい。議会を何だと思ってるのか?
======【引用ここまで】======

緒方氏の出席停止に賛成した議員を出席停止にしたら、出席議員は緒方氏一人で定足数を満たせない。議会が開けないじゃないか。議会を何だと思ってるのか?

・・・というくだらないツッコミはさておき。

【議事日程というレールを直す時間】

地方議会における本会議は議事日程というレールの上を走る電車のようなもの。一度脱線したら曲がったレールの修復、緊急車両の手配、壊れた車体の整備など運行再開までに時間と手間を要するのと同じことだ。

ネット上のニュース記事を読んでの推定だが、今回の場合、本会議の質疑中断後、採決の再開までの間に

 議会運営委員会の開催
 本会議の再開、懲罰特別委員会の設置、委員の選任
 懲罰特別委員会の開催、委員長の選任、陳謝文起草
 緒方氏が陳謝文を拒否
 懲罰特別委員会の再開、出席停止の方針を決める
 本会議の再開、出席停止の議決

といった手続きが採られていると思われる。
実際には、さらに別の会議が開かれていたかもしれない。

議会事務局は、本会議や委員会が開かれるたびに、その会議のレジュメや資料を作成し人数分印刷しなければならない。また、議長や委員長との間で、会議を進行するための手順を打合せしなければならない。それらの手順が地方自治法や市議会会議規則に適合しているかを確認しなければならない。
一方、委員会が行われるたびに、委員会に出席した議員は、会議内容を待機していた会派の他の議員に報告し、対応を協議するといったことが行われる。
このため、とにかく時間がかかる。

これが通常の議事日程であれば、ある程度は想定可能なため、考えられるパターンに応じて資料作成や段取り確認、法令の読み込みといった準備を事前にすることができる。そうしておけば、会議当日はあまり時間と労力をかけることなくレールに沿って走ることができる。

しかし、イレギュラーな事態が生じた場合、その場でゼロから準備をしなければならない。準備、確認、印刷、会議後の打合せ等々を考えると、イレギュラーな委員会が1回発生するたびに短くて30分、内容によっては2時間近く要すると考えるべき。

私は、何度もイレギュラーな委員会が開催される中、8時間で正常運行再開に漕ぎ着けた熊本市議会事務局の処理能力は素晴らしいと思う。

【緒方氏による議会ルールの完全無視】

一方、会議規則に定められた陳謝文の朗読さえすれば正常運行再開というお膳立てをしてもらったのに、緒方氏はルールを曲げて陳謝文を拒否。
ご気分を害したのであればおわびします
という全く謝罪になっていない発言でレールを再度へし折った緒方氏に対しては、もう呆れて言葉も無い。ただの幼児。

「のど飴」で議会を退席に。乳児同伴で話題になった熊本・緒方夕佳市議に真意を聞いた。(ハフポスト日本版) - Yahoo!ニュース
======【引用ここから】======
休止して開かれた懲罰特別委員会では、陳謝させることが決まった。この時、「陳謝文」は本人が文言を考えるのではなく、緒方市議は用意された文章を事務局から渡され、そのまま読むようにと言われたという。
緒方市議は「自分の言葉ではない」として、用意された文書を読み上げるのではなく、自分自身の言葉で説明することにしたという。
だが、それが「陳謝文と内容が違う」として「違うだろ!」などと紛糾し、議会への一定期間の出席停止という、さらに重い処分となった。その結果、9月28日のその後の議会には出席できなくなった。

======【引用ここまで】======

この点については、ハフポストの記者も緒方氏も、ともに会議規則を読み込んでいないことが浮き彫りになっている。
(あれ?緒方氏は以前に「私もこういう行動をするからに会議規則はしっかり読み込んでいます」って言ってなかったっけ?)

注目すべきはこの部分。

『陳謝文』は本人が文言を考えるのではなく、緒方市議は用意された文章を事務局から渡され、そのまま読むようにと言われたという。

え っ ? 何 か 問 題 で も ?

============
○熊本市議会会議規則
(戒告又は陳謝の方法)
第143条 懲罰のうち公開の議場における戒告又は陳謝は、議会の定める戒告文又は陳謝文によって行うものとする。
2 前項の戒告文又は陳謝文は、当該懲罰の動議を付託された委員会が起草し、その報告とともに議長に提出しなければならない。

============

懲罰特別委員会も議会事務局も、この規定に沿った運用を進めていた。
陳謝文の朗読をもって騒動はひとまず終了し、中断していた緒方氏の質疑は再開するはずだった。

ところが、議会の定めた陳謝文を拒否した緒方氏。
この疑義を挟む余地のない明確な規則違反によって、陳謝文による陳謝よりも重たい出席停止処分となった。
出席停止により、再開が予定されていた質疑は発言者不在となり、このせいで質疑は終わってしまった。

市民団体の皆様へ。
請願の質疑が中断したまま終わってしまったのは、全て緒方氏の責任。
請願権の侵害?請願の質疑の再開?
緒方氏に紹介議員を依頼した自分たちの判断ミスを反省するのが先じゃないかな。

次に、

【議会運営委員会による有権解釈、議長の秩序維持権】

立川談四楼さんのツイート
======【引用ここから】======
熊本市の緒方夕佳市議が飲食について規定のない議場で、のど飴を舐めて退席処分となった。熊本市議会に伺います。安倍さんの読む紙には(ここで水を飲む)との指示がありますが、その瞬間「あ、水を飲んだ」と騒ぎ立てるのか、その水がのど飴を溶かし込んだものだった場合どうなるのか。どうぞお答えを。
======【引用ここまで】======

熊本市議会ではありませんが、独断と偏見で勝手に回答。

まず、熊本市議会には議場における飲食について明文規定はない。
一方で、物を食べながら公式の会議で発言することを失礼、だらしない、みっともない、品位を欠いた行為と考えている市民は多いはずだ。少なくとも、議員はそう考えた。
本会議の質疑中は、進行役の議長、報告を行う委員長、そして質疑を行う質問者は、その他大勢の議員よりも注目される立場にある。
このため、緒方氏の演壇あめ玉モゴモゴ質疑は

============
○熊本市議会会議規則
(品位の尊重)
第134条 議員は、議会の品位を重んじなければならない。

============

という規定に抵触するのではないかという疑義が議員から出された。
条例や規則には、幅広い解釈運用が可能な表現の条文が多い。疑義が生じた場合、権限のある機関によってこの条文を解釈する必要が生じる。

地方自治法上、会議規則を審査する機関として議会運営委員会が設置されている。
議会運営委員会がその権限に基づいて審査した結果、あめ玉をくわえながら演壇で発言をするという行為はこれを見た市民の議会へのイメージを低下させ、議会の品位を貶める行為であると判断し、緒方氏の行為を会議規則第134条違反であると解釈した。
この有権解釈に基づき、議場の秩序維持の権限と責務を持つ議長は、議会の品位回復を図るために緒方氏に謝罪を求めた。
しかし、緒方氏は議会運営員会において謝罪を拒否した。

このため、正式に謝罪をさせるべく懲罰特別委員会において対応を協議。会議規則に沿って陳謝文による陳謝を求めることとなったが、緒方氏はこれも拒否。会議規則に明確に定められた措置を拒んだ以上は、会議規則に基づく出席も認められないとして出席停止処分になるのは当然のことである。

なお、会議規則の解釈は個々の議会ごとになされる点に留意しなければならない。会議規則の文言や解釈、運用、それを明文化した内規には議会ごとに幅があり、特定の行為が品位尊重規定に抵触するかどうかは個々の議会の判断に委ねられるものである。

立川談四楼さんの指す「安倍さん」がどこの安倍さんかは分からないが、仮に総理大臣の安倍さんだとしたら、国会議員と地方議員とでは憲法上の免責特権の有無をはじめ、その会議規則の文言や運用方法は大きく異なるものと考えられる。熊本市議会には国会における内規や運用例といった判断するための情報は無く、権限に基づく解釈運用を行う立場にも無い。

こうしたことから、結論として、立川談四楼さんの問い自体が非常にくだらないということになる。

お手盛りの次は飴玉モゴモゴ また緒方夕佳さんですか? ~熊本市議会のトラブルメーカー~

2018年10月01日 | 地方議会・地方政治
熊本市議会の「子連れ市議」こと緒方夕佳さんについては、以前に
この人は合議体である市議会の議員には向いていない
という指摘をした。
(そういう意味で、当ブログでは「緒方市議」ではなく「緒方氏」と呼ぶ)

前回は子連れ市議会、今回はあめ玉市議会。
どうやら、トラブルメーカーな性格は相変わらずのようだ。


【あめをくわえてた事がそんなに悪いのか、という方へ】

経緯を見ていこう。
熊本市議会 緒方市議あめをなめながら登壇で紛糾 - FNN.jpプライムオンライン
======【引用ここから】======
午前10時に始まった市議会、議案の採決を前に請願の扱いをめぐり緒方議員が登壇、1時間近くが経過したとき、緒方議員が飴玉を口に入れたまま登壇し質疑を行っていたことが分かり議会が紛糾。
======【引用ここまで】======

この日の市議会本会議には、事前通告に基づき緒方氏の発言が日程に組み込まれていた。

○平成30年第3回定例会質疑通告(7件の請願の審査に対する質疑通告)
○平成30年第3回定例会討論通告(7件の請願に対する賛成討論通告)

項目が多く、見るからに長時間になりそうな質疑通告。
実際に、トラブルが起きた時点までで1時間を費やしている。
さらに討論まで予定されている。

他の市議達が

「この人は一人で何時間喋るつもりなんだ。」
「『採択すべきでは』という内容なら討論で述べるべき。この内容を質疑で喋り、しかも別枠で討論もやるのか。」
「同じ内容の繰り返しじゃないか。」

とウンザリしている中、あめ玉をくわえたことで

「傍聴者もおり、区役所でモニター中継もされ、録画して後日ネット上でも公開されるのに、あめをくわえながら演説するのは市民に対し失礼ではないか。」
「あめ玉モゴモゴをyoutube配信するために請願を審査してきたのか。」
「あめを舐めてるのか、市民を舐めてるのか。」

と、総ツッコミ状態になったであろうことは容易に想像される。
緒方氏は「咳き込むから~」と言い訳していたが、

「自席であめを舐めて喉をケアしておき、演壇に立つ前に包み紙に出す」
「あめをくわえながらではなく、咳き込みそうになった時に備えてペットボトルのお茶を手元に用意しておく」
「議長に対し、あめをくわえながら演説することについて事前に了解を得ておく」

といった、演壇で演説する人間としての配慮は全くない。
しかも、

 議場において議長や他の市議から指摘されても態度を改めない。
 本会議中断中に議会運営委員会で批判されても謝罪をしない。
 さらには懲罰特別委員会で決定した陳謝文の読み上げも拒否。

こうした一連の対応の結果として、最終的に出席停止処分となっている。
今回の騒動は、

「緒方さんがあめ玉をくわえているぞ!出席停止だ!」

といきなり出席停止になったわけではない。
段階を踏んでいった結果の出席停止処分である。
あめをくわえていたことが直接の理由というよりも、議長の議事整理権に基づく注意や懲罰特別委員会の決定に背いて議事を混乱させたことにより処分が重くなったと考えるべきだ。

【地方議会は信頼関係で成り立つ「合議体」】

演壇で喉あめ、出席停止=「子連れ市議」に―熊本市議会(時事通信) - Yahoo!ニュース
======【引用ここから】======
 議会運営委員会は「社会人としての常識を逸脱している」などと批判し、緒方氏に謝罪を求めたが、同氏は「品位を尊重しているが故に行った」として拒否。その後懲罰委が設置され、出席停止を議決した。この騒動で本会議は約8時間中断した。
======【引用ここまで】======

もし、この議会運営委員会の段階で

「すみませんでした、今後気をつけます。」

と謝罪しておけば、本会議は空転せず、懲罰までには至らなかっただろう。

なお、他市の例を見ても、物を食べながら議会に出席し発言をするのは注意を受ける対象となる。このこと自体は、社会通念に照らしても当然のことだ。

「のど飴」で議会を退席に。乳児同伴で話題になった熊本・緒方夕佳市議に真意を聞いた。
======【引用ここから】======
ほかの議会では?品位って何だろう

議会と飲食については、2009年に奈良市の仲川げん市長が、答弁中にガムを噛んでいたことで物議を醸したことがある。この時は、議会終了後に議長から注意を受け、市長が謝罪した。議会の中断や、退席といった処分に付されることはなかった。

======【引用ここまで】======

これについて、会議中に注意を受けるか、会議終了後に注意を受けるかは、会議の進行状況や当事者間の信頼関係の程度による。どの段階で注意を受けるにせよ、最初の注意を受けた時点で謝罪しておけばここまで大事にはならなかったであろう。
奈良市の市長は注意を受けて謝った。しかし、緒方氏は謝らなかった。

もし、この市議会の議長と緒方さんとの間に市議としての信頼関係が構築できていれば、他の市議から苦情が来ても、議長が他の市議に対し

「緒方さんに対しては、会議終了後に議長から注意しておきますから。」

と伝えて穏便に済ませることができたであろう。
また、信頼関係を構築できている市議が他にいれば、

「注意で済ませませんか。懲罰特別委員会の設置までする必要があるでしょうか。」

と擁護する意見も出たんじゃないかと思われる。
しかし実際には、他のどの市議も緒方さんを擁護しようとする動きを見せなかった。

熊本市議会 緒方市議あめをなめながら登壇で紛糾 - FNN.jpプライムオンライン
======【引用ここから】======
緒方議員を除く全員の賛成で設置された懲罰特別委員会で緒方議員に対して『公開の議場における陳謝』とすることが全会一致で決定しました。緒方議員は再開した本会議で「お断りします」と懲罰特別委員会の決定には応じず陳謝文の読み上げを拒否しました。
======【引用ここまで】======

老若男女問わず、保守・リベラル問わず、自民会派から共産会派、他の一人会派に至るまで、全員賛成で懲罰特別委員会の設置を決めている。

振り返ってみるに、緒方氏は、前回の子連れ騒動の時に、熊本市議会議員として年収1000万円を超えているにも関わらず
「自費のベビーシッターではダメなんだ。税金で私のための託児施設の整備をしろ」
と熊本市議会事務局に圧力をかけていた。
このような自分への利益誘導、醜いお手盛りを平然と行い、マスコミの前でパフォーマンスをする姿勢は、他の市議の不信感を募らせたことだろう。子どもをダシにして懐を肥やそうとする人間は最低である。信頼関係構築とは程遠い状況だ。

だから言ったでしょう、緒方氏は市議に向いてないんだって。
市議会は合議制であり、他の市議と交渉し合意形成できる性格・能力がなければどうにもならない組織なのだ。

【緒方さん寄りの市民団体の主張について】

さて、そうこうしていたら出てきました「市民団体」ですよ。
”のどあめ議会”市民団体が要請|NHK 熊本県のニュース
======【引用ここから】======
これをめぐって、熊本市の市民団体「熊本市自治基本条例をより良くする会」が1日、熊本市役所で記者会見を開き、議会の対応を批判しました。
この中で団体側は「議員はせきが出ないようのどあめを使っていて、懲罰には法的な正当性がなく議会の決定は納得できない」と訴えました。
また、審議が中断された時の議員の質疑は、団体が提出していた議会改革の実施を求める請願に関するものだったとして、「本会議を招集し、議員の質問や請願の採決などの手続きを再び行うべきだ」と訴えました。
このあと、団体のメンバーは、議会事務局を訪れ、主張をまとめた文書を議長などにあてて提出しました。

======【引用ここまで】======

私から言わせてもらえば、請願の紹介議員が市議会内での信頼の薄い緒方氏という時点で、この市民団体の負けである(笑)。そして、この市民団体は、緒方氏ではなく、共産党会派なりリベラル系会派なりに改めて紹介議員を頼んで出直した方がいいと思う。

この市民団体の主張のうち、気になった点が二つ。

一つ目は、
「懲罰には法的な正当性がなく議会の決定は納得できない」
という点について。

地方自治法は、議会の自律性を重視している。議場の秩序維持を目的として、議会に対し所属する議員に対する処分を行う権限を認めている。そして、議員の身分の得喪に関する処分(除名処分など)以外の処分については、議会の自律性を重視する観点から、司法審査の対象とはならないとされている。裁判では、今回の出席停止処分について法的な正当性を争うことは出来ない。

このため、熊本市議会としては、この市民団体の主張を無視、黙殺してしまっても構わない。
丁寧に対応して納得を得ようということあれば、市民団体から提出された文書に回答するという形で、今回の経緯をまとめた説明文を作成して市民団体に送付する方法を採ることになろう。説明文を送って、それでおしまいである。

二つ目は、
「本会議を招集し、議員の質問や請願の採決などの手続きを再び行うべきだ」
という点について。(これも無理筋だな~)

この件は、地方自治法の再議の類型には該当しないと思われるし、市長が緒方氏の肩を持って再議権を行使するとも思えないので、「手続きを再び行う」という場面は生じない。
この市民団体が請願事項の実現を本当に望んでいるのであれば、質問や採決などの手続きを再び行うことを求めるのではなく、緒方氏ではない別の市議に紹介議員を頼んで(笑)、新規に別の請願として提出するしかない。